神の国 [宗教]
橋爪 「神の国」というと、天国のことかと思っている日本人が多い。死んだら肉体が滅んで、霊魂がいく場所だ、みたいに考えている。
こういう考え方は、キリスト教と関係ありません。もちろん、イエスがそんなこと考えていたはずもない。
ふしぎなキリスト教
橋爪 大三郎 (著), 大澤 真幸 (著)
講談社 (2011/5/18)
P177
P181
橋爪 前略~
イエスのいう「神の国」は、まず、ユダヤ人でも行ける人といけない人がいる。行けるかどうかは、神に委ねる。つぎに、神の国に、政治は存在しない。経済は存在しない。性別や家族も存在しない。これらすべてがない状態で、神を中心に、楽しく生きていきましょう、と言っているわけだ。
大澤 うーん、それはほんとうに楽しいですかね(笑)。キリスト教の場合、神の国は「永遠の生命」ということのなっていますよね。
ようするに死なない。そうすると、逆に退屈な可能性もありますよね。ずっと生きていなくちゃいけなくて、性別もなければ、お金も権力もないとなると、人がふつう欲望するようなものは何もないのですから。
ちなみに、神の国に行けなかった人はどうなりますか? 地獄に行く?
橋爪 「地獄」というものは、ありません。聖書には書いていない。
火で焼かれる。
火で焼かれるとは、まず、洗礼者ヨハネが言っている。実を結ばない樹木みたいに、斧で伐って焼かれると。イエスも言っている。
~後略
大澤 前略~
で、ぼくはいつも思うんだけど、神の国があって、そこで一部救われる。他方で救われない人がいて、火で焼かれる。なんかそれも、残酷といいますか・・・・。
天国にひとりでいたら、
これより大きな苦痛はあるまい。
(「格言的」から)
ゲーテ格言集
ゲーテ (著), 高橋 健二 (翻訳)
新潮社; 改版 (1952/6/27)
P84
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