論語 [雑学]
「論語」は、孔子が弟子や同時代の政治家たちとかわした問答をはじめとして、弟子たち同志の会話などを編集した本である。
孔子は前四七九年に亡くなったが、深く傾倒していた弟子たちが、かれらが記憶していた先生の言葉をもちよって、一冊の書物としたものだといわれる。
~中略~
紀元前五世紀、いまから二千四百余年まえの中国には、まだ紙はなかったので、書物はすべて、竹や木の細い札の上に一行ずつ書いて、綴り合わせて巻物としたものであった。
たいへんかさばるので、書物はあまり多く流通していなかったし、だいたい孔子自身が自分で自分の思想を本に書こうともしなかった。
それは高い徳を備え、謙遜な人柄であった孔子だから、とくに他人に自分の思想を宣伝しようとしなかったからではない。当時の社会には今のように、自己の考えを本人が書くという習慣がなかったのである。
論語
孔子 (著), 貝塚 茂樹
中央公論新社 (1973/07)
P565
ここで考えねばならないことは、儒教は中国大陸の漢民族にとっては遠い文字以前の上古から血液化された当然の原理であったに相違ないということである。孔子が出てきてそれを思想化し規範化したが、もともと儒教的原理そのものは漢民族の古代社会に原型として存在したに相違ない。
街道をゆく (2)
司馬 遼太郎(著)
朝日新聞社 (1978/10)
P158
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