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免疫療法 [医学]

小野寺(住人注; 小野寺時夫) なんでも許されるという感覚で、免疫療法なんかもひどい。300万円から最高で2000万円かけた免疫療法をやった患者さんを、20人ほど知っていますが、ひとりも効いていません。

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ
別冊宝島編集部 (編集)
宝島社 (2013/4/22)
P39

DSC_0905 (Small).JPG両子寺

P40
小野寺 私は免疫療法に行きたいという人を止めないし、「効きませんよ」なんてことも言いません。なんでも好きなようにしてもらうのです。今までせっかく信じてやってきて、あといくらも生きられない人に、「あなたはムダなことをした」と言うのは酷ですよ。
それは温熱療法とか、ほかの治療法にも言えることですけれども。

P41
小野寺 アメリカでは、眼にあまるケースには「学会でデータを発表しなさい」と指導が入ります。日本の学会はなにもしません。
免疫療法を1万3000人にやって100億円単位の売り上げがある施設に対してすら、ガン治療学会も、免疫関係の学会も一言も「データを出しなさい」と言わない。それは犯罪だと、私は思っているんです。

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ (別冊宝島 2000)

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ (別冊宝島 2000)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2013/04/22
  • メディア: 大型本



P190
 がんワクチンに効果があるなら、データを統計的に解析すれば、本物のワクチンを投与したグループからは他方と比べてがん組織が小さくなったり、より延命期間が延びたりといった結果が現れるはずだ。
 ところが現実は厳しかった。数十人規模の臨床試験を実施すれば、何人かの容体は回復した。しかし患者全体のデータを統計的に分析してみると、がんワクチンの有効性を確認できなかったのだ。
 杉山のWT1とて例外ではない。既存の抗がん剤との併用療法を試みるなど努力を重ねたが、「統計の壁」はいまのところ越えられてはいない。がんワクチンは期待ほどには成長せず、日本では厚生労働省に承認されて公的医療保険の対象となったがんワクチンは存在していない。
がんワクチンはいまだ研究段階にとどまっているのだ。
 このように効用が未確認のがんペプチドワクチンや樹状細胞ワクチンによる治療を、自由診療の形でがん患者に施す民間のクリニックも少なからず現れた。公的な医療保険が適用されない治療なので患者の金銭的な負担は非常に重い。未成熟な技術が社会にもたらした影の部分である。

P193
 しかしがんは、彼らの挑戦を一世紀以上にわたって、はね返し続けてきた。なぜ免疫療法はがんに及ばなかったのか、そのわけは最近になってようやく判明した。
 私たちは「免疫チェックポイント分子」という重大な存在に気づいていなかったのだ。
 しかし、がんと戦う免疫というシステムの内側には、間違って自分を攻撃したり、相手を退治したあとも無意味に攻撃を続けたりするなどの「やりすぎ」が起こらないように、頃合いを見て「撃ち方やめ」のシグナルを出すチェックポイント分子がいた。
 チェックポイント分子とは、いわば自動車のブレーキペダルにあたる免疫のブレーキボタン。
そしてがんは、このブレーキボタンを押す特殊な分子を細胞表面に出して、免疫細胞の攻撃をストップさせるという悪知恵を持ちあわせていたのだ。
 だから、がんワクチンによってがんに対する攻撃力は高まっても、それは一時的で、長続きしない。がんと戦う免疫細胞の勢いは、次第に弱まっていく。煎じ詰めれば、免疫療法の邪魔をする「敵」は、免疫自身が内包していた攻撃抑制のからくりだったのだ。
 だが、私たち人類は二十一世紀に入って、免疫のがんへの攻撃をノンストップに続けさせるための新しい医薬を手に入れた。それが、撃ち方やめのシグナルを出すチェックポイント分子をがん細胞に操作されないようにブロックする抗体医薬だ。
 新薬の最終的な目標はがん退治であっても、抗体は直接がんを襲わない。標的として狙うのは、免疫の一員であるチェックポイント分子。かつてない顕著な効果を目の当たりにした研究者からは「がんの免疫治療にパラダイムシフトが起きた」という感激の言葉が漏れた。

P210
京都大学で発見された免疫チェックポイント分子PD-1の営みを阻害する抗体医薬オプジーボ(一般名ニボルマブ)にも、伝説が生まれた。それはブリストルによって実施された、悪性の皮膚がん、メラノーマに対するオプジーボの効用を調べる最終段階(第三相)の臨床試験がもたらしたものだった。
~中略~
 命を長らえた患者や家族はもちろん喜んだ。オプジーボの顕著な効用をあらためて確認できたブリストルの関係者も満足した。しかし、試験を監視していた第三者の委員会は、頭を抱えてしまった。
 オプジーボの投与の有無によってもたらされた「片方の多くは生き残り、片方のほぼすべて死亡する」という過酷な現実を目にした彼らは、試験をこのまま継続してよいものか、と良心の呵責を覚えたのだ。
 しばしの検討の結果、委員会はこんな勧告を打ち出した。
「二重盲検法の試験を中止せよ」
 新薬の効果がこれほどまでに顕著になった以上、効果が劣る抗がん剤の投与を患者に続けるのは倫理的に問題がある、として、彼らにも新薬を与えよと命じたのだ。

現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病
岸本 忠三(著), 中嶋 彰 (著)
講談社 (2016/1/21)


現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病 (ブルーバックス)

現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病 (ブルーバックス)

  • 作者: 岸本 忠三
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/01/21
  • メディア: 新書



 PD-1やCTLA4のような働きがある分子を免疫チェックポイント分子といいます。
だから、オプジーボやヤーボイといったお薬は、免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれるのです。
従来の、あまり効かなかったがん免疫療法は、がん細胞を攻撃する免疫細胞を活性化する、いわばアクセルを踏んでやるような治療法でした。それに対して免疫チェックポイント阻害剤は、ここまでかいてきたように、がん細胞によってT細胞にかけられたブレーキを解除してやる、まったく発想の異なった治療法なわけです。
 オプジーボはすべての種類のがんに効果がある訳ではありません。また、適応になっているがんでも、2~3割程度の患者さんにしか効果がありません。

(あまり)病気をしない暮らし
仲野徹 (著)
晶文社 (2018/12/6)
P204


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