モノ作りと偶像崇拝 [国際社会]
橋爪 日本人がモノづくりに長けているのは、アニミズムと関係があって、ロボットにも全然抵抗がないし、モノに何かスピリットのようなものが宿っていると思っている。
ロボットに「ももえちゃん」とか名前をつけて、共存しているわけです。中国もインドも、モノづくりにそこまで入れ込みがない。モノをつくる人よりも、何か考える人のほうが偉いとおう世界なので、モノをつくる人の社会的地位はそんなに高くない。
それでも、モノをつくることがそんなに下手でもないし、嫌でもない。日本が、モノをつくる人の社会的評価がいちばん高いと思う。
イスラムは、モノをつくることが下手で、嫌なんじゃないかな。理由はよくわからないが、もしかすると、クルアーンがあまりに文学的にすばらしくできていて、クルアーンの精神世界が魅力的すぎるせいじゃないかと思う。だから、クルアーンに触発された文学などはとても立派。
それから、クルアーンに基づいた法学、これも素晴らしく立派。政治もそれなりにうまい。ビジネス、商業もうまい。でも、製造業がちょっと見劣りします。
クルアーンが描くのは徹底した一神教の世界だから、モノにスピリットをみとめる余地がない。
ふしぎなキリスト教
橋爪 大三郎 (著), 大澤 真幸 (著)
講談社 (2011/5/18)
P334
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