ジュンサイ [言葉]
蓴菜(じゅんさい) とは汁のみ(住人注;具)につかうあのトロリとした粘液質の物質をかぶった食用水草のことで、上方では如才ない、いい加減な口上手のことを「あの人はジュンサイなお人や」という。
「ジュンサイなこと言いなはんな」など「増補俚言(りげん)集覧」という本に、「じゅんさいとは大阪詞(ことば)。じゃらじゃら言うこと。蓴菜より出たる詞なり」とあるから、ひょっとするとジュンサイを口中に入れたときの感触から、ある種の人間典型を連想してできたことばかもしれない。上方語には、そういう感覚的なことばが多い。
街道をゆく (1)
司馬 遼太郎 (著)
朝日新聞社 (1978/10)
P46
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