「社縁」以外の人間関係を構築しとけ [処世]
はたからみても前向きで、定年後も生きいき暮らしている自他ともに任ずる「モデル定年退職者」には、共通点があった。
それは、「社縁」以外の人間関係が豊かなことである。
P105
定年になってから「家庭への回帰」など、してもらわなくてもかまわない。そんなことしてもらったら、かえってはた迷惑になる。
定年になってから必要なのは、職場でもなく、家庭でもない、第三の自分の居場所である。
男おひとりさま道
上野 千鶴子 (著)
文藝春秋 (2012/12/4)
P99
P284
だが、多くの男おひとりさまに取材して気がついたことがある。おだやかで幸せな老後を送っている男おひとりさまの共通点は、妻がいなくても女性の友人が多いことだ。最後はカネ持ちより人持ち、それも男性は異性の友人を、女性は同性の友人を持つことが秘訣のようだ。「弱さの情報公開」のできない男同士の関係では、困ったときの助けにならないからだ。
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P76
奥さんと親密な関係を保てている人ならまだいいが、子育ても終わり、会話もほとんどなくなっている状態になると、一日中、ほとんどしゃべらなくなってしまうこともある。
P102
世間が狭い人ほど、ひとたび自己愛が満たされなくなったときに、ポキンと折れてしまう可能性も高い。仕事一筋で真面目な人が、会社で左遷されたらあっという間にうつ病になってしまうようなケースだ。
P190
定年後もずっと遊び仲間を維持していくのは、それほど簡単なことではない。
すごく賢いとか人徳があるとか、いるだけでホッとさせるとか、人が自分を魅力的と思って必要としてくれる、自分なりのポイントを見つけておくことが必要だろう。それを知って、強化しようと努力することも大切だ。
こうした準備をしないと、ある日、突然、まったく必要とされない自分に気づいて呆然とすることになる。
人から必要とされない存在になると、耐え難いほど寂しい思いをすることになる。これでは感情がまた一気に老化してしまう。
P208
高齢者専門の総合病院である浴風会病院勤めていたころに痛感したことがある。
有名企業の社長だったり、一流大学の教授だったという入院患者にも、慕われていたことがよくわかる人と、まったく見舞いの来ない人とがいた。
~中略~
ちゃんとした人間的魅力で、目下の人たちとつき合ってきた人は、その職を退いてからも、交流が続くものだ。
人生の最晩年を満ちたりた気持ちで安らかに過ごすために、今、できることは何か。それを自問して実行していれば、年をとる不安も消えていくはずである。
和田 秀樹 (著)
祥伝社 (2006/10)
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