科学と臨床 [ものの見方、考え方]
われわれは、ダーウィンに匹敵する粘り強さと慎重さを持って、気まぐれな思いつきや考えに捉われず、偏見を持たずに、注意深く事実を集めねばならない。事実、例証、実権を積み重ねてゆく。
そして相互関係が把握できる傑出した人物の手によって、集められた事実は統合され、一般原理として確立される。
ところで臨床医学においては、われわれの強みであるはずの点が、かえって弱みになってしまう。
われわれが扱うのは、事故に遭い、病気に罹った人間である。
ウィリアム・オスラー (著), William Osler (著), 日野原 重明 (翻訳), 仁木 久恵 (翻訳)
医学書院; 新訂増補版 (2003/9/1)
P54
P59
病めるとき健やかなるときを問わず、われわれ人間に関することで絶対的な真理を得るのは困難であるという事実を悟らねばならない。さらに、最上の訓練を受けた能力の持ち主でも観察のミスは避けられないこと、さまざまな憶測で事を行なうような医術(アート)の場合には、判断の誤りがどうしても起こりうること、この点をはっきり心得ておくべきである。
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