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お互い様なんだから [処世]

年上の医師は、その近所で始めた年下の医師をライバル視せずに、息子として受け入れるべきである。かつて開業したての若い頃、皆さんが年配の開業医にしたことが起るかもしれない。
つまり、年下の医師は皆さんの患者を多数奪うことになるかもしれないが、皆さんのほうでそれは避けられない、已むを得ない、これが世間の通例なのだと悟るならば、しかも最初に起った微妙な行き違いを好意的な態度で話し合うだけの度量を持ち合わせているならば、障害はなくなり、二度と同じような事態を迎えずにすむことであろう。反面、若い医師のほうも年配の医師の気持を十分に酌み、その判断に敬意を表し、相談に乗ってもらう態度をとるべきである。~中略~
医者の風上にも置けないという悪評を受けている医師や、悪影響を及ぼす者の見本と思われている医師も、本当は善良な人間であり、つまらない嫉妬の犠牲者であって、対立派の攻撃の的にされたにすぎないかもしれない。付き合ってみると、彼は愛妻家で子煩悩であり、さらに彼に心を寄せ尊敬する人たちがいることが判明するかもしれない。
要は心の持ち方次第であり、それが協調を図るための何よりも重要な要素である。

平静の心―オスラー博士講演集
ウィリアム・オスラー (著), William Osler (著), 日野原 重明 (翻訳), 仁木 久恵 (翻訳)
医学書院; 新訂増補版 (2003/9/1)
P413

平静の心―オスラー博士講演集

平静の心―オスラー博士講演集

  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 2003/09/01
  • メディア: 単行本

 

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 他人から道具や機械を借りたら、借りたときよりもきれいな状態にしてから返す。鎌や鍬は砥石で磨いて返す。トラクターなどは川の水で汚れをきれいに落としてから返す。
これが暗黙の礼儀でした。
 農家の集落はまさに、運命共同体です。家計としては独立していても、同じ場所で生き、同じ川の水を共有して田畑をつくる。自然を相手に仕事をし、時に苦労を共にする同志なのです。
 だからこそ農家の人たちは、「相手の立場に立ち」「全体にとって一番大切なこと」を察知する能力を、太陽に照らされながら鍛えてきたのだと思います。
 借りた農具は借りたときよりもピカピカに磨いて返す。これは単にきれいにするという気くばりで終わっていないのです。
 農村という狭い社会。時として難しさを伴う複雑な人間関係。そのなかにあって、一人ひとりが和を尊ぶ気の働かせ方を身につけていったのだと思うのです。より能動的な、全体最適を見据えた、大きな心の構え方であるともいえましょう。
 でも、それは農村だけで育まれる感性ではありません。
 「お互いさま」という感謝と謙虚さから細やかな気くばりが生まれます。それが組織の中に温かな空気と活力を生み出します。

一流の男は「気働き」で決める
高野 登 (著)
かんき出版 (2014/4/23)
P143

一流の男は「気働き」で決める

一流の男は「気働き」で決める

  • 作者: 高野 登
  • 出版社/メーカー: かんき出版
  • 発売日: 2014/04/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

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