優しい父親は娘を不幸にする [家族]
世間には優しいお父さんを持つ幸運な家庭がある。お父さんは家で荒い言葉など決して口にしない。いつも機嫌よく、妻子の毎日の幸福をすべてに優先している。そういう父親を、私は若い時に何人か知っていた。
するとこうした父親の娘として育った女性は、皮肉なことだが、結婚に失敗することが多いのである。
娘が夫として選ぶ男に対する眼がなかったのではない。そうした家庭の娘たちの多くは、私から見ると賢い女性たちだ。
しかし賢さにも人生の落とし穴はあるのである。つまり彼女たちはあまりにも抵抗なく育ったので、世の中の裏を知ろうなどという意識を持たず、すべての世間の男たちは父親のように穏やかな家庭生活を率いて行くものだと信じ切って、内実はもっと未熟で自分勝手な男を選んでしまうのである。
曾野 綾子 (著)
河出書房新社 (2013/1/9)
P71
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