「忙しい」と言ってはいけない [倫理]
忙しいということは現代人に共通の口癖の一つですが、忙しいということは本来よいことではない。
文字そのものがうまく表現している。
「忙」とは、心が亡(に)げる、亡(うしな)われる、亡(な)くなる意味で、世人の通弊として「事に先立っては体怠け、神昏(こころくら)し、
事に臨んでは手忙しく脚乱る。事既(おわ)れば意散り、心安んず。これお事の賊なり」(明の呂新呉「呻吟語」)という通り、ろくなことがない。
佐藤一斎の名作「重職心得箇条」の中に「重役たる者は忙しいと言うべきではない。随分手のすき(隙)心の余裕がなければ、大事にぬかりができるものである。
重役が小事を自分でして、部下に回すことができないから、部下の者が自然ともたれて、重役が忙しくなるのである」と言っている。
安岡正篤
運命を創る―人間学講話
プレジデント社 (1985/12/10)
P229
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これからは、「忙しい」「疲れた」などと言いたくなったら、他の言葉に言い換えてみましょう。「充実している」「がんばったな」などは、どうでしょうか。
また、そんな言葉がつい出てしまうのは、何かを変えろというサインだと考えるのも一案です。~中略~
仏教には「愛語施(あいごせ)という「お布施」の形があります。愛語、つまり思いやりのある言葉を相手にかけてあげることです。
あなたの愛語施を一番必要としているのは、あなた自身かもしれません。
怒らない 禅の作法
枡野 俊明 (著)
河出書房新社 (2016/4/6)
P111
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