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士気 [倫理]

   気とは、人に負けまいと思う心、すなわち負けじ魂と、恥辱を知ってそれを悔しく思う気象のことである。
それを振うというのは、常にそうした心を持って、その精神を振い立て振い起し、絶えず、緊張をゆるめず油断のないように努力することである。
 この気というものは、生命のあるものはみな備えているものであって、鳥や獣でさえ持っている。
それで鳥や獣でも、ひどく気が立った時は、人に危害を加えたり苦しめたりすることがあるのだから、人間の場合は、なおさらである。
その人間の中でも、武士が一番この気を強く身につけているから、一般にこれを士気(しき)とよんでいる。
どんな年若な武士に対してでも、それが武士であるならば無礼を加えようとしないのは、この士気を恐れてのことであって、別にその人の腕前や身分を恐れるからではないのである。
 ところが、長く無事平穏な時代が続くうちに、武士本来の気風が衰え、気力も弱々しくなり他人に媚びへつらい、武士の家柄に生まれながら武道の修行を忘れてしまい、出世を望み遊興におぼれ、何事もまず損得を計算し、ことの是非を二の次にして大勢につくといった情けない武士が多くなった。
そのため昨今の武士は、人には負けぬ、恥辱は耐えられないという男らしい勇ましい気象をすっかり失って、腰にこそ大小を帯びて入るものの、内実は呉服反物(たんもの)の包みをかついだ商人や、樽を背にした樽拾いにも劣るほどで、雷鳴や犬の声にも後ずさりするような、腰抜けになってしまった。

啓発録
  橋本 左内 (著)
  講談社 (1982/7/7)
   27

P30
 この忠義の精神をゆるめず常に引き立て、後戻りせぬようにするためには。以上述べた士気を引き立て振い起し、人には負けぬとい決意を忘れぬことが大切である。
とはおいえ、いくらこの士気を振い立てても、それに伴って志が立っていなければ、ちょうど氷がとけ酔いがさめていくように、決心がゆるみ後戻りすることがある。それゆえ、一度士気を振い起したならば、次はしっかりと、志を立てることが大切である。


タグ:橋本 左内
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