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日本 [日本(人)]

 それでは、「日本」という国号はどういう意味なのでしょうか。中国大陸の史書などにも多少、それに関する記述がありますが、「日出づるところ」という意味が背後にあることは確かだと思われます。当時の人もそう考えていたようですし、現代の学者の理解もほぼ、その点では共通しています。
~中略~
 とすると、日の出るところは即ち、東の方角を指しているに過ぎないと理解するほかありません。つまり、日本と地名ではなく、東の方角を意味する国名ということになります。
 そうなると、日の出る方角つまり東とは、どこから見ての話なのかが当然、問題になってきます。ハワイから見れば日本は日の沈む方角になるでしょうから。結局、これは中国大陸から見て東ということになるわけです。
 これは余談ですが、聖徳太子が出した「日出づる処の天子」という言葉で有名な国書に、なぜ隋の皇帝が怒ったのかについて、かつては「日没する処」と言われたことに対して腹を立てたといわれていましたが、中国大陸にはそれほど強い太陽信仰はないようで、最近ではこれは誤りだといわれています。
日本列島人には太陽の出る所をプラスと考える発想がありますが、中国大陸人は日が沈むところと言われても軽蔑されたとは考えないようです。隋の皇帝を怒らせた理由は「天子」という言葉をこの国書が使っていたからで、天子は世界に一人しかいないのに、東の野蛮人ごときが何を言うか、と隋帝は起ったのだと、最近の学者は考えています。
 いずれにしても、これまで多くの学者が「日本」が中国大陸からの視点で決められた国名であることを、問題にしてきました。

歴史を考えるヒント
網野 善彦(著)
新潮社 (2001/01)
P20


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