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日本人のミトコンドリアDNA [日本(人)]

 この章のはじめに示した図5-1を見てもわかるように、日本人にもっとも多いハプログループはDです。
~中略~
D4、D5の双方で日本の人口に占める割合は四割弱となります。ハプログループD4と5は中央アジアから東アジアにかけてもっとも優勢なハプログループで、朝鮮半島や中国の東北地方の集団でも、この二つがおおむね人口の三割から四割程度を占めています。ですからハプログループDを持つひとの総人口は数億を数えるでしょう。東アジア最大のハプログループです。


日本人になった祖先たち―DNAから解明するその多元的構造
篠田 謙一 (著)
日本放送出版協会 (2007/02)
P103

 


新版 日本人になった祖先たち―DNAが解明する多元的構造 (NHKブックス No.1255)

新版 日本人になった祖先たち―DNAが解明する多元的構造 (NHKブックス No.1255)

  • 作者: 篠田 謙一
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2019/03/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)





DSC_0650 (Small).JPG鶴林寺 (加古川市)

P106
日本人の七人に一人が該当する第二のグループがハプログループBです。~中略~
 ハプログループBは、およそ四万年ほどまえに、中国の南部で誕生したと推定されています。~中略~
誕生の地である中国南部から東南アジアにかけて人口に占める割合が大きくなっていますが、それ以外ににも南米の山岳地域や南太平洋の集団に多いことが分ります。
~中略~
 人類のアメリカ大陸への進出には複数のルートが想定されていて、彼らに見られるハプログループA,B,C,D,Xのうち、Bのみがアジア南部で誕生したハプログループであることから、これだけが別のルートで進出したという説が有力になっていることは前章で説明しました。その場合、ハプログループBの集団は大陸の沿岸地帯を伝って新大陸に入り、そこから海岸沿いに南下したとかんがえられます。その進路の途中には日本列島がありますから、当然東南アジアの沿岸を北上する集団の中には、日本にとどまった人たちもいたと思います。ですからこのハプログループは日本には比較的古い時代に到達した可能性があります。
一番最初に日本列島に入った、このハプログループに属する人たちは、東アジアの南から北上する大きな人の流れの主体を構成していたのでしょう。
 一方、南太平洋への展開は約六〇〇〇年ほど前のできごとですので、歴史的に見ればごく最近のことになります。現在の南太平洋の先住民は、ほとんどすべてがこのハプログループを持っていますから、中国南部もしくは台湾から農耕をたずさえて東南アジアの海岸地帯へ展開した集団の主体をなしたのが、このハプログループBに属する人たちだったと考えられています。メラネシアの海岸地域に到達した彼らは、やがて遠洋航海の技術を身につけて、南太平洋の島々に進出します。
~中略~
 彼らの外洋への進出は、ポリネシアの島々を征服して終わりますが、そのすぐ先には南米大陸がありますから、なかには南米の西海岸にたどり着いた人たちもいた思います。アンデス原産の植物のなかには、ヨーロッパ人が南太平洋に到達する以前にポリネシアの人々の間に伝わっていたものもあります。古代におけるアンデス住民とポリネシア人の遭遇があったことは明らかです。そのアンデスの人たちもやはりハプログループBを主体とする人たちだったのです。もちろんお互いに気がつくことはなかったでしょうが、彼らは四万年前の中国南部に共通の祖先を持ち、一方は北へ、他方は南へ拡散した集団の子孫でした。
~中略~
 それでは南へ進出した人たちと、私たち日本人の関係はどうでしょうか。人骨の形態学的な研究からは、縄文人の南方起源説が提唱されてきました。
しかし、拡散の方向と時期から見て、ポリネシアに進出した人々と縄文人の関係は薄そうですし、彼らは基本的に農耕民であったと考えられていますので、その点でも主に狩猟採集生活をしていた縄文人との共通性はなさそうです。
むしろ、最初に北上した新大陸にまで到達するハプログループBの人たちの中に、後に縄文人となった人たちがいたのかもしれません。

P112
M7が生まれたのが四万年以上前、各サブグループが生まれたのが二万五〇〇〇年ほど前と計算されています。
その時代には、地球の寒冷化によって、極地方に大量の水が集積して、海水は低下していましたから、黄海から東シナ海にかけては広大な陸地が出現していました。おそらくM7の起源地は、今は海底に沈んでいるこの地域だったのでしょう。
そこで生まれたサブグループのうち、ハプログループM7aは、琉球列島を伝って日本に入ってきたと考えられます。このハプログループは本土の日本人では約7%を占めるだけですが、沖縄に行くと実に四人に一人が持っているのです。また、同じM7aのD-ループ領域のDNA配列を比較すると、沖縄のものがもっとも多様性に富んでいることもわかっています。まさに、沖縄はこのハプログループのルーツの地なのです。
 日本人の成立については人骨の形態学的な研究から、弥生時代に大陸から北部九州に渡来した大量の移民が在来の縄文人と混血して成立したとする、いわゆる「二重構造論」が唱えられています。
そのなかで、現代のアイヌと沖縄の人たちは、大陸からの渡来系移民の影響をあまり受けない縄文系の人々であると説明されています。とすると沖縄にもっとも普遍的に見られるM7aは、縄文人を代表するハプログループの候補として資格がありそうです。
ただ、二重構造論にしたがうと、沖縄は縄文時代にあっても、その中心地から遠くへだたった辺境の地というイメージを受けるのですが、このハプログループが南から日本に入って縄文人のある部分を形成したと考えると、ここは縄文の源郷の一つで、決して辺境の地ではないことになります。

P114
 このハプログループは日本人では七%を占めるだけで、しかもユーラシア全体の分布も、主として中央アジアから北アジアに限られています。~中略~ ハプログループAの起源地はバイカル湖周辺と推定され、その成立は分岐年代の計算から三万年ほど前だと考えられています。
~中略~
A5は分布が朝鮮半島および日本に限られる特異なサブグループなのです。~中略~ ともにバイカル湖周辺から南下したのでしょうが、A4が東アジアの各地に広がったのに対し、A5の方は、比較的一直線に朝鮮半島に向かったようにもみえます。その成立年代は、彼らが縄文以降に日本に入ったことをうかがわせますが、渡来系弥生人との関連は薄いようです。

P117
G1は本土日本やアイヌ、朝鮮半島などに少数見られます。G2は中央アジアに分布の中心があり、南中国や東南アジアではほとんど見ることができません。G3はあまりハッキリした分布境界を持たず、中央アジア、モンゴルなどを中心に少数が分布しています。

P121
稲作の伝わらなかった北海道では縄文時代に続いて、弥生時代から古墳時代に相当する続縄文時代を経て、飛鳥時代から平安時代に相当する擦文(さつもん)時代へと変遷していきます。
その後、一三世紀以降はアイヌ文化の時代を迎えるのですが、その直前の五世紀末から一〇世紀まで北海道のオホーツク沿岸には「オホーツク文化」と呼ばれる独特の文化が栄えました。オホーツク文化を担った人々は、考古遺物や人骨の研究からアムール川流域の漁撈民をルーツに持つと考えられています。彼らはオットセイやアザラシを捕獲する漁撈民でしたが、アイヌ文化の発展とともに姿を消してしましました。


新版 日本人になった祖先たち―DNAが解明する多元的構造 (NHKブックス No.1255)

新版 日本人になった祖先たち―DNAが解明する多元的構造 (NHKブックス No.1255)

  • 作者: 篠田 謙一
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  • 発売日: 2019/03/25
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シシリー

本土日本人(大和民族)は「縄文人」と「弥生人」とのほぼ半々の比率の混血民族です。「本土日本人、沖縄県民(琉球民族)」 と 「中国人(漢民族)、韓国人(韓民族)」とはかなり異なります。

↓Y染色体ハプロタイプ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA#Y.E6.9F.93.E8.89.B2.E4.BD.93.EF.BC.88.E7.88.B6.E7.B3.BB.EF.BC.89.E3.81.AB.E3.82.88.E3.82.8B.E7.B3.BB.E7.B5.B1.E5.88.86.E6.9E.90

↓2008年、住斉(すみ・ひとし)筑波大名誉教授による「縄文人特有mtDNA」と「弥生人特有mtDNA」による計算結果より
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/imgview/2009/05/24/a542e.jpg.html
(産経新聞より抜粋)
by シシリー (2014-07-20 16:31) 

シシリー

↓★「総合研究大学院大学のプレスリリース(2012年11月1日)」日本列島3人類集団の遺伝的近縁性より、まず最後の「図4a、図4b、図5」以外は全て「縄文的要素」だけについて述べられています。(以下のプレスリリースを開き、比較しながら以下の文を読んでみてください)
http://www.soken.ac.jp/news/5276/
by シシリー (2014-07-20 16:33) 

シシリー

「ミトコンドリアDNA(mtDNA)、Y染色体ハプロタイプ、HLA(人白血球型抗原)」の調査結果から、例えば「アイヌ」には「ニヴフ(Nivkh)」の系統が混じっていると、かなり以前から指摘されていました。
【アイヌ】Y染色体(C3)=12%、mtDNA(Y)=21%
【ニヴフ】Y染色体(C3)=43%、mtDNA(Y)=66%
単純計算で「((12÷43×100)+(21÷66×100))÷2 ≒ 30%」となります。但し、「ニヴフ」は「アイヌ」との交流の他、別の民族とも交流があったと見られ、今の構成の「ニヴフ」ではなく、過去はこうであったろうと推定される「ニヴフ」との交流があったという事です。現在より「ニヴフ」の「C3/Y」が高かったと推定されるので、個人的には「20%以下」ではないかと見ています。これは、「プレスリリース」であらためて言われるまでもなく、以前から知られていた事です。

by シシリー (2014-07-20 16:34) 

シシリー

また、
【縄文系】Y染色体=DE系統D、mtDNA=M7a、M10等
【弥生系】Y染色体=NO系統O、mtDNA=Z、N9a等
であり、「本土日本人と沖縄県民」は「縄文」と「弥生」との混血、「縄文」の「DE系統D」は他の東アジア集団には、ほとんど見られないとも指摘されていました。しかし、これらは単なる「マーカ」を調査した結果であり、常染色体そのものを調査した結果ではありません。そこで、常染色体についても調査してみよう、「縄文的要素」という観点で、日本列島3集団、合わせて他の東アジア集団も調査してみようというのが、この「プレスリリース」の主旨です。

by シシリー (2014-07-20 16:35) 

シシリー

「図1a、図3a、図3b」については「横軸(PC1)」が「弥生的要素⇔縄文的要素」を示し、「縦軸(PC2)」が「弥生的及び縄文的要素と相関関係にない他要素」を示します。「図1a」の説明の中に、
・「横軸(PC1)は、左にゆくほどより縄文的要素を、右にゆくほどより弥生的要素を示していると解釈できる」
・「縦軸(PC2)は横軸で説明された分散以外」
とあります。つまり「横軸(PC1)」は、縄文と弥生との差異が分かる要素(主成分)について、分散の度合いが最大になるように「線形代数」を用いて示しているのです。だから「★縄文的要素がどれ位あるか(横軸(PC1))」と「★別の要素がどれ位あるか(縦軸(PC2))」しか分かりません。図3a、図3bは左右は逆ですが、同じ内容を表しています(但し縦軸(PC2)の距離を狭めて他の東アジア集団も図に入るようにしています)。

「図1a、図3a、図3b」は「弥生的要素」内での差異を示すような要素は全く入っていません。あっても縦軸で示されます。つまり韓国人から「縄文的要素」を除けば、中国人(CHB=北京)と同じクラスタにほぼ入ってしまい中国人と全く区別がつかなくなります。これは本土日本人から「縄文的要素」を除いても同じ結果となります。

韓国人の「縄文的要素」は「10%」もないでしょう。「Y染色体ハプロタイプ」からも「mtDNAのM7a」も今のところ「数%」しか検出されません。しかし、比率が少なくても縄文と弥生との差異が大きいので影響も大きいという事も考えられます。よって、
・「図1a、図3a、図3b」の「横軸(PC1)」が「弥生的要素⇔縄文的要素」を示している以上、韓国人にも僅かとはいえ「縄文的要素」が存在する事を示しています(縄文的要素としてのクラスタに含まれる)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E6%B0%91%E6%97%8F#.E9.81.BA.E4.BC.9D.E5.AD.90.E7.9A.84.E7.B3.BB.E8.AD.9C

by シシリー (2014-07-20 16:36) 

シシリー

・韓国南部の一部地域は、その他の朝鮮半島とは異なったクラスタ構成を持っている。
・日本統治時代の痕跡(D1B、M7aなど)も見られる(同じような痕跡がミクロネシアでも見られる)。

-----【縄文人の正体について】-------------
「東アジアに定住したもっとも早期の現生人類とりわけチベット人集団と日本人集団の共通の起源に関するY染色体上の証拠について(2008年)」
↓英文の論文
http://www.biomedcentral.com/1741-7007/6/45
↓日本語翻訳
http://www.geocities.jp/ikoh12/kennkyuuno_to/012_4Y_chromosome_no_kennkyuu.html
----------------------------------------------
by シシリー (2014-07-20 16:37) 

シシリー

「総合研究大学院大学のプレスリリース」の「図4a、図4b」は上記と異なり、「標準遺伝距離を東アジアの29人類集団間で計算し、それらに対して近隣結合法(塩基の置換数による測定)により系統樹を作成した結果」とあります。まず、弥生的系統内における違いは、縄文と弥生との差異と比べると段違いに小さいという事が前提となります。それだけ縄文は他とかけ離れた存在なのです。韓国人から「縄文的要素」を取り除いた「弥生的要素」と、日本人から「縄文的要素」を取り除いた「弥生的要素」が同じであれば、韓国人は「図4a、図4b」の日本列島クラスタの「枝」の途中(根元側に近い位置)に入りますが、入っていないので、韓国人と「弥生人」とは構成が異なる事を示します。韓国人の「縄文的要素」が日本列島クラスタの方向に引っ張っているにも関わらずです。沖縄県民(琉球民族)は「図5」からもわかる通り、弥生系は同じです。「縄文系+本土日本人=琉球民族」と示しているので、中国は(起源を主張するなどは)一言も言えないでしょう。

「弥生的要素」について、韓国人と日本人とで比較対象となる「Y染色体ハプロタイプ」は(C3はここでは除かれます)
・O2B系(O2B*とO2B1)
・03
の2つとなりますが、O2B*とO2B1は同じO2B系であり差異も少ないと考えられるため除外します。そうすると残るのは中国人の「主系統」でもある「O3」です。「O3」は「他O系」と比較しても20000~25000年(ISOGGによる)の隔たりがあり、「他O系」との差異もそれなりに存在すると考えられます。「O3」の比率を調べると、
・中国人:55~66%
・韓国人:45~50%(←「O3」は韓国人の主系統でもある)
・本土日本人:10~16%

となります。一概に上記の比率通りとは限りませんが、今の韓国人の約半分(混血)近くが「中国人の主系統」、これは、朝鮮民族が強く漢民族などの影響(混血)を受けている事を示しており、またこれは「HLA(人白血球型抗原)」による調査結果「朝鮮民族は満州族や中国東北部の漢民族と近い」とも一致します。しかし、韓国南部の一部地域は除外されるかもしれません。

by シシリー (2014-07-20 16:38) 

シシリー

「総合研究大学院大学のプレスリリース」からまとめると、
・「ミトコンドリアDNA、Y染色体ハプロタイプ、HLA」調査結果が「常染色体」にもあてはまる(そのままの値とは限りません)。
・日本人は他の東アジア集団には見られない「縄文的要素の特異性」があらためて確認された(Y染色体ハプロタイプD1Bの事が該当します)。
・「図1a、図3a、図3b」の「横軸(PC1)」が「弥生的要素⇔縄文的要素」を示している以上、韓国人にも僅かとはいえ「縄文的要素」が存在する。
・「図4a、図4b」で韓国人が日本列島クラスタの「枝」から外れていることは、日本人の弥生的要素と韓国人の弥生的要素に違いが存在する事を示す。

by シシリー (2014-07-20 16:39) 

シシリー

【Y染色体ハプロタイプ(日本人)】
・D1A
・D1B1/D1B2←本土縄文人特有★
・D1B*←アイヌ系縄文人特有★
・O1A
・O2A
・O2B*
・O2B1←弥生人特有☆
・O3←弥生人および有史以降の渡来人?☆
・C1←日本固有(徳島県に多い)★
・C3
・N

【ミトコンドリアDNA(mtDNA)(日本人)】
・D
・G
・M7a←縄文人特有★
・M7bc←縄文人特有★
・M8
・M10←縄文人特有★
・M←縄文人特有★
・A
・B
・F
・Z←弥生人特有☆
・N9a←弥生人特有☆
・Y←日本ではアイヌ民族特有
※mtDNAの特有とは、日本特有という意味ではありません。

【参考となる資料等】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97D_(Y%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97D2_(Y%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%99%E3%83%83%E3%83%88%E6%B0%91%E6%97%8F#.E6.97.A5.E6.9C.AC.E4.BA.BA.E3.81.A8.E3.83.81.E3.83.99.E3.83.83.E3.83.88.E7.B3.BB.E6.B0.91.E6.97.8F.E3.81.AE.E8.BF.91.E7.B8.81.E6.80.A7

ISOGG(遺伝的系譜国際学会)
http://www.isogg.org/tree/
http://www.isogg.org/tree/ISOGG_HapgrpD.html
http://www.isogg.org/tree/ISOGG_HapgrpO.html

http://ja.wikipedia.org/wiki/Y%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93%E3%83%8F%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97%E3%81%AE%E5%88%86%E5%B8%83_(%E6%9D%B1%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2)




by シシリー (2014-07-20 16:40) 

シシリー

Y染色体ハプロタイプの一部名称が変わりました。内容に変化はありませんが、名称が以下の通りかわりました。

今までは
D1←チベット民族
D2←日本人(アイヌ、琉球含む)
D3←チベット民族
D4←フィリピン・マクタン島住民
でしたが、

D1→D1A
D2→D1B
D3→D1C
D4→D2

とISOGG(遺伝的系譜国際学会)により変更になりました。日本人については、なじみ深いD2からD1Bとなりました。※「Wikipedia」では、まだ変更しきれていない部分があります。また、本来は「D1b」と記述しますが、見やすいように「D1B」と記載致します。


by シシリー (2014-07-20 16:41) 

シシリー

【日本3民族 遺伝子上(Y染色体ハプロタイプ)】
----------------------------------------
【 本土日本人 (%は混血比率)】
・DE系統D亜型D1B1/D1B2(約40~45% YAPあり)
・NO系統O亜型O2B1(約20~30%)
・NO系統O亜型O3(約10~16%)

※ 縄文人:D1B1/D1B2
※ 弥生人:O2B1(O3も含む可能性あり)
その他として数%「C1(日本固有)」「N」「C3」「O2B*」検出。
----------------------------------------
【 沖縄県民(琉球民族)(%は混血比率)】
・DE系統D亜型D1B1/D1B2(約50~60% YAPあり)←本土日本人より高い
・NO系統O亜型O2B1(約20%)
・NO系統O亜型O3(約20%)
----------------------------------------
【 アイヌ民族 (%は混血比率)】←★NO系統無し
・DE系統D亜型D1B*(約80% YAPあり)←極めて高い
・DE系統D亜型D1B1(約6% YAPあり)
・CF系統C亜型C3(約10~15%)←【*注】
【*注】オホーツク沿岸民族と推定される系統
----------------------------------------
「本土日本人、沖縄県民(琉球民族)」 と 「中国人(漢民族)、韓国人(韓民族)」とはかなり異なります。
----------------------------------------
【 中国人(漢民族 %は混血比率)】←★DE系統なし
・CF系統C亜型C3 (約 8%)
・NO系統O亜型O1A(約10%)
・NO系統O亜型O2*(約10%)
・NO系統O亜型O2A(約 5%)
・NO系統O亜型O3 (約54%)←★中国人(漢民族)の主系統
※地方差あり
----------------------------------------
【 朝鮮人(韓民族 %は混血比率)】←★DE系統なし
・NO系統O亜型O2B*(約30%)
・NO系統O亜型O3(約45%)←★中国人(漢民族)の系統
・CF系統C亜型C3(約12%)

その他として、数%「D1A」「O1A」「N」「K」「D1B」「O2B1」が検出。
----------------------------------------
by シシリー (2014-07-20 16:42) 

シシリー

朝鮮人は、O2B*とC3の混血をベースに、中国人(漢民族)が大量流入したように見える。「DE系統D亜型D1B1/D1B2」については、韓民族は全く含まれていませんから論外です。「O2B1(弥生人)」と「O2B*(韓民族)」ですが、
==============================================
・O2B*(O-M176*)→ベトナム、満州族、朝鮮民族(47z突然変異なし)
・O2B1(O-47z)→本土日本人、沖縄人(47z突然変異あり)
==============================================
「ISOGG Possible time of origin O-47z→7,870 [95% CI 5,720~12,630] years」 「47z突然変異」は約7870年前(最小5720年~最大12630年前 確率95%)に発生。

,,,,,,,,,,,,,,+----------------------- O2B*
O2B ---+
,,,,,,,,,,,,,+---★------------------ O2B1
,,,,,,,,,,,,,,,, O-47z発生
,,,,,,,,,, (5720~12630年前)

満州族、朝鮮民族、ベトナム民族等の「O2B*」と、弥生人の「O2B1」は、約7870年前に完全に別れ、その後、何ら接触がなかった。もちろん、弥生人は朝鮮半島を経由したのかもしれないし、あるいは中国から直接来たのかもしれない。しかし、経由でも痕跡くらいは残っているはずだが、中国東北部から「O2B1」が全く検出されない為、弥生人は中国本土から直接渡来した可能性がある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E6%B0%91%E6%97%8F#.E9.81.BA.E4.BC.9D.E5.AD.90.E7.9A.84.E7.B3.BB.E8.AD.9C

by シシリー (2014-07-20 16:43) 

シシリー

「Y染色体ハプロタイプ」から「日本民族」の系統を、おおよそでまとめてみると以下の通り。

私たち、現世人類(ホモサピエンス)は、東アフリカの熱帯で誕生(約20万年前)し、約14万年間はそこで暮らしていました。いわば熱帯産まれの熱帯育ちです。そこで、部族間で顔かたちがある程度異なるような多様化をしていたと思われます。 今から70000年~75000年前、インドネシアのスマトラ島にある「トバ火山」で、極めて大きな大噴火が発生し、噴煙が地球を覆って、地球規模の大寒冷化を引き起こしました。アフリカも、深刻な寒冷化、大干ばつが発生し、サピエンスを襲いました。 しかし、これをきっかけとして、今から約6万年前(もう少し早かったのではという説もありますが)に、生まれ故郷であるアフリカの熱帯を後にして、東へ向かったサピエンスが現れました。それが今、アフリカ以外の世界中に広まり、私達の元となった「CF系統」「DE系統」の民族です。(出アフリカを6万年前として以下にまとめてみます)
-----------------------------
・AとBはアフリカに留まりました。
・CF系統から約70000年前(アフリカ内)でCが産まれました(CF系統C)
・CF系統から約45000年前(インドあたり)でFが産まれました(CF系統F)
・DE系統から約68000年前(アフリカ内)でDが産まれました(DE系統D)
・DE系統から約55000年前(中東あたり)でEが産まれました(DE系統E)
-----------------------------
・CF系統C → 後のモンゴル人です(その他の民族もあります)。
・CF系統F → 後のヨーロッパ民族(白人)、東南アジア、中国人、朝鮮人、そして「弥生人」です。
・DE系統D → 後のチベット人、そして「縄文人」です。
・DE系統E → 後に中東、地中海沿岸、アフリカに広まった民族です。
-----------------------------

by シシリー (2014-07-20 16:44) 

シシリー

「DE系統DE」と「DE系統D」は、アフリカを出て東へ向かいましたが、中東付近で「DE系統DE」は留まりました。しかし、「D」は更に、東へと向かい、途中、インド洋のアンダマン諸島に一部を残して、更に東へと向かって、今から4~5万年前に、初めて東アジアに到達しました。東アジアに到達した「D」は、今から3万8千年前に、2つに分かれ、その一方は、日本列島に向かって、今の日本人(大和民族)、アイヌ民族、琉球民族の3民族の元となった民族(D1B、すなわち縄文人)となりました。そしてもう一方は、チベット、ブータンに至った民族(D1AとD1C)となります。さて、中東付近に留まった「DE系統DE」は、こちらも2つに分かれ、新たに産まれた「DE系統E」は中東、アフリカ、ヨーロッパ地中海沿岸(ギリシャ、イタリア、エジプト、その他)へと向かいました。しかし、2つの系統「D」と「E」を産み出した「DE系統DE」は、その後、地球上から消えてしまいます。
★日本人と「チベット民族、そして中東、地中海沿岸民族」とは近縁であるというのは、こういった経緯があるからです。そして、日本列島では、しばらくの間(1万年~2万6千年間)、縄文人(D1B)だけの世界が続きます。

↓ 「wikipedia」を参照して下さい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97D_(Y%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97D2_(Y%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%99%E3%83%83%E3%83%88%E6%B0%91%E6%97%8F#.E6.97.A5.E6.9C.AC.E4.BA.BA.E3.81.A8.E3.83.81.E3.83.99.E3.83.83.E3.83.88.E7.B3.BB.E6.B0.91.E6.97.8F.E3.81.AE.E8.BF.91.E7.B8.81.E6.80.A7
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%8C#.E7.8F.BE.E5.9C.A8.E3.81.AE.E5.AD.A6.E8.AA.AC

「DE系統D」と同じ祖を持つ「DE系統E」
http://www.eupedia.com/europe/Haplogroup_E1b1b_Y-DNA.shtml
by シシリー (2014-07-20 16:45) 

シシリー

さて次に、やはり6万年前にアフリカを出て東へ向かった、別の系統「CF系統F」です。「CF系統CF」から「CF系統F」が誕生し、中央アジア(インド付近)に留まります。その後、幾たびかの変遷を経て、東アジアで一般的な「NO系統O」の民族が誕生します。2万年~2万5千年前に「O3」が誕生し、今の中国人(漢民族)となります。また「O2B」も誕生しますが、こちらは今から約7870年前に、2つに分かれ、その一方は、ベトナム人、満州族、韓国人(韓民族)の「O2B*」、もう一方は「弥生人」の「O2B1」となります。 「O2B1」に「O3」も加わって、有史以前の、今から3千年ほど前に日本列島に渡来しました(有史以降の渡来は少数です)。日本列島へ「弥生人(O2B1とO3)」が渡来した後、「縄文人(D1B)」との混血として今の日本人(大和民族)と琉球民族が誕生します。しかし、アイヌ民族は、弥生人と混血する事はありませんでした。
↓「総合研究大学院大学のプレスリリース(2012年11月1日)」
http://www.soken.ac.jp/news/5276/
by シシリー (2014-07-20 16:45) 

シシリー

Y染色体ハプログループの系統分類に使われる突然変異として、例えば「O2B」は、一塩基多型(SNPs:スニップス)で判別します。しかし「D1B(旧D2)」は「YAP」と呼ばれる特異な配列(約300塩基)を持っています。Y染色体長腕部「Yq11 DYS287」にある塩基配列に「YAP」が存在します。

【Y染色体】
DXYS1Y Yp11
PABY Yp11.3
DYS1 Yq11.2
DYS287 Yq11 ←★YAPが存在する位置
DYZ8 Yq11

元々、人の遺伝子の約13%に、SNIEというDNA配列があります。SNIEは、逆転写された RNA分子を表現する短いDNA配列であり、本来ならtRNA、rRNA、その他の核内低分子RNAに転写されるべきものであるのが、DNAに配列挿入されてしまったものです。生体内での使用目的は、まだ判っていません。最も多く見られるSNIEとして、Alu 配列(Alu sequence)があり、蛋白質コード配列を全く含みません。制限酵素AluIで認識されるため、「Alu(アル)」と呼ばれます。YAP(Y Alu polymorphic element)は、Y染色体の特定位置「Yq11 DYS287」に、SNIEの主要となるAlu配列が飛び込んでしまったY染色体ハプログループマーカで、約300塩基で構成されています。インターネットで「Alu 配列」などで検索するといいでしょう。 「生体内での使用目的は、まだ判っていません」←と記載しましたが、常染色体にAlu 配列が飛び込む場合、規則性があり、ある特定の塩基配列にだけ入り込むことが分かっています。しかし、遺伝子がぶっち切れることに変わりなく、その遺伝子の機能が無くなってしまうかどうかがよく分かりません。しかし、ロバストネスもあるので、救済される場合もあるのかもしれません。タンパク質コードがないので、そのままでは遺伝子としては機能しないと考えますが、それが進化(新規形質の取得)等にどう影響するか等がまだよくわかりません。 Alu配列は、めずらしくもなんともない、ありきたりの遺伝子配列(遺伝子としては機能しない)ですが、Y染色体の特定のエリアに飛び込んでしまったという点がめずらしいという事になります。

by シシリー (2014-07-20 16:46) 

シシリー

よくある疑問点として、縄文系とか弥生系とか言われていますが、結論としては、日本人は混血となります。
① 人間の染色体は46本で、2本は性染色体、44本は常染色体です。
② Y染色体は親(男性)から子(男性)に継承される→Y染色体ハプロタイプ(ここではo2b1)も「Y染色体(性染色体)」によって、親(男性)から子(男性)に継承される。
③ 殆どの遺伝子は「常染色体」にあって、「Y染色体(性染色体)」の引き継がれ方と連動せずに引き継がれる、つまり、「常染色体」と「Y染色体(性染色体)」の引き継がれ方に「相関関係」は全く無い。

by シシリー (2014-07-20 16:47) 

シシリー

-----------------------------------------------------------------------------
【O2b1の男性O】(つまり弥生系)
Y染色体.............常染色体
.Y(O2b1).....X(o01)..X(o02)..X(o03)..X(o04)..X(o05)..X(o06)---
.X(----).....X(o21)..X(o22)..X(o23)..X(o24)..X(o25)..X(o26)---
※目の一重二重、顔かたち等の容姿も含め殆どの遺伝子は常染色体にある

+(プラス)

【D1B(男性)の子(女性D)】(つまり縄文系) ※分かりやすいように「★」で示す。
Y染色体なし.........常染色体
.X(----).....X(★01)..X(★02)..X(★03)..X(★04)..X(★05)..X(★06)---
.X(----).....X(★21)..X(★22)..X(★23)..X(★24)..X(★25)..X(★26)---


【上記の子(男性)】
Y染色体.............常染色体
.Y(O2b1).....X(o01)..X(★02)..X(★03)..X(o04)..X(o05)..X(★06)---
.X(----).....X(★21)..X(o22)..X(o23)..X(★24)..X(★d25)..X(o26)---
↑Y染色体はそのまま引き継ぐ
by シシリー (2014-07-20 16:47) 

シシリー

④ 上記より【上記の子(男性)】のY染色体ハプロタイプのマーカは「O2b1」のままだが、常染色体は混じった状態となる。また、上記のイメージとは別に、減数分裂の際の遺伝子間の一部組み換えも発生する。つまり、常染色体は代を重ねる毎に、複雑に混じり合います。

⑤ 目の一重二重、顔の形態はY染色体ではなく常染色体にあるから、「Y染色体=O2B1」にもかかわらず、目が二重で、立体的な顔となる場合もあるし、逆パターンの「Y染色体=D1B」なのに、目が一重で、平べったい顔の場合もあります。

⑥ 約3000年の経過により、縄文系と弥生系が完全に混じっていますので、例えば目が一重なのに、髭が濃く、髪が癖毛であるなど、混在しており、それは、混血である日本人の「個性」と考えればいいでしょう。


by シシリー (2014-07-20 16:48) 

シシリー

ほんの僅かな数の遺伝子ですが、マーカとともに引き継がれる遺伝子も、例外としてあります。
それは、Y染色体そのものに入っている遺伝子です。この遺伝子だけは、Y染色体と一緒に引き継がれる。つまり「相関関係」がある遺伝子となります。 縄文人の全部ではありませんが、統計的に、縄文人にその傾向が見られ、弥生人には見られない事象であったと考えられ、そして、現代の日本人の「D」にその傾向が見られ、「O」には見られない事象、つまり、Y染色体ハプロタイプのマーカと連動するものもあります。極めて数は少なく、今確認されているものを以下に示します。↓

http://www.jsog.or.jp/PDF/56/5609-612.pdf#search='%EF%BD%99%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93%E3%83%8F%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%97+%E7%94%A3%E5%A9%A6%E4%BA%BA%E7%A7%91%E5%AD%A6%E4%BC%9A'

上記の「日産婦誌56巻9号」は、まだ「O2B1」の由来が問題視される以前なので、「朝鮮半島から」との記載がありますが、そこは無視していいでしょう。。

by シシリー (2014-07-20 16:48) 

シシリー

一般的な遺伝子(DNA)検査で、個人レベルの「民族」判定は出来ません。 「ミトコンドリアDNA」、又は「Y染色体ハプロタイプ」の「マーカ」自体の「ルーツ」を調べる事はできますが、ご自身(個人レベルで)の「ルーツ」を調べる事はできません(結論として、一般的なDNA検査では、ご自身が「大和民族」「漢族」「韓民族」なのかを識別する事はできません。これはDNA「マーカ」というものの性質上そうなります)。

日本人の例として(D1Bは、旧D2で示します)、
---------------------------------
・ミトコンドリアDNA=M7a1a3 (ハプロタイプM7a)
・Y染色体ハプロタイプ=D2a1a1 (DE系統D亜型D2)
---------------------------------
というように、1種類ずつしかわかりません(上記は日本人「大和民族」で検出される、わりと多いマーカですが、これが出たからといって「大和民族」であるという保証にはなりません。また他のマーカが出たからといって「大和民族」ではないという事でもありません。日本人は混血民族であり、結局は何が出てもおかしくはないのです)。

「ミトコンドリアDNA」「Y染色体ハプロタイプ」で民族の系統分析が出来ます。しかし、これらは大規模な集団についてはその比率において民族の違いが判別できますが、個人レベルでは不可能です。例えば、日本人でよく検出される「Y染色体ハプロタイプ」の主なマーカは「D1B1」「D1B2」「O2B1」「O3」「C1」「N」です(アイヌの人達は「D1B*」「D1B1」「C3」)。日本人集団の中でその占める比率は、日本人であるあなた個人の体の、混血比率となります。マーカ「D1B1」を持っている日本人と、マーカ「O3」を持っている日本人、それと日本人女性(Y染色体を持たない)も、その混血比率はほぼ同じです。

by シシリー (2014-07-20 16:49) 

シシリー

しかしながら、マーカはその人(男性)が偶然もっているだけで(mtDNAについては男女ともあります)、個人に対しては何の意味もなさないのです。例えば、韓国の人の中にも、数こそ少ないながら、マーカ「D1B1」を持っている方がおそらくいるでしょう。しかし、その人の混血比率は朝鮮民族の比率であって、日本人とは違うのです。その人は遠い過去にあったマーカ「D1B1」を偶然持たされただけにすぎません。「マーカ」はいわば気まぐれカードです。色々なカードがある中で、偶然それを持っているだけにすぎません。Y染色体ハプロタイプにしても、またミトコンドリア遺伝子にしても、「マーカ」は「大規模な集団」については強力な判別情報となりますが、「個人レベル」では全く意味をなさないのです。有名な良い例をもう一つ上げますと、どこからどう見ても白人のイギリス人なのに、黒人の「Y染色体ハプロタイプA系統」を持っている人がいます。これも同じです。「マーカ」は、その比率のみ、その集団を他と識別する情報となる意外、何にも使えないという事を理解しておいて下さい。特に個人レベルでは全く判別不能です。有史以前から日本人として続いている家系でも、Y染色体ハプロタイプ(もちろんmtDNAも)では何が出ても不思議ではなく、また何の意味もなさないという事です。


by シシリー (2014-07-20 16:50) 

シシリー

唯一、中国人、韓国人、日本人を、個人レベルで、おおよそで区別ができそうなのは、現在のところ「DNAマイクロアレイ」による分析だけと推定されます(一般的な検査ではありません)。
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=73749&type=0
http://j.people.com.cn/95952/8293122.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/DNA%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%A4
by シシリー (2014-07-20 22:29) 

シシリー

JAPAN DNA Project
https://www.familytreedna.com/public/japan/default.aspx?section=yresults
https://www.familytreedna.com/public/japan/default.aspx?section=mtresults

↑注意:Y染色体ハプロタイプについては、以下のISOGG(遺伝的系譜国際学会)を参照し、
http://www.isogg.org/tree/
http://www.isogg.org/tree/ISOGG_HapgrpD.html
http://www.isogg.org/tree/ISOGG_HapgrpO.html
例えば「O-47z = O2B1」と読み換えて下さい。Y染色体ハプロタイプの「Haplogroup」は、現在、突然変異名で記載されています。
by シシリー (2014-07-20 22:31) 

シシリー

Y染色体ハプロタイプ=分散が少なく、集団(部族、民族)の移動と合致する。
ミトコンドリアDNA=分散する傾向があり、集団(部族、民族)の移動を表さない(マーカが分散)。
→自然界は、例えば水の入ったコップに角砂糖を入れると溶けて分散するが、溶けた砂糖入りの水が角砂糖へは戻らない。これと同じように、遺伝子マーカ(実遺伝子が同じ比率でとは限らない)も他の民族に分散するのが普通と考えられる。これに従うと、ミトコンドリアDNAマーカの分散は自然な姿と見ることができる。しかしY染色体ハプロタイプは分散しない。これは女性側に問題があるのではなくて、男性側にそれを抑制する原因がある。→女性は他の部族に入ることが許されたが、男性は他の部族に入ることが(部族のあととりでもあるので)許されなかった等が主な原因として考えられる(アンマッチとなる特殊なケースとしては→イギリスウェールズ北部では、DE系統E亜型E1b1bが約40%を占めていて、これは過去、古代ローマ帝国の兵士がここに駐留していたためと分析されている)。その為、Y染色体ハプロタイプは分散しなかった。→日本列島に渡来する以前から。
※mtDNAは広がり(面)を表し、Y染色体ハプロタイプは道筋(線)を表す。と見ることができます。→起源はアフリカです。それ以外は中継地点、若しくは共通したmtDNAの到達地点(別の場所で接触)でしかありません。Y染色体ハプロタイプが異なり、mtDNAが共通しているのは、後者となります(→今では、バイカル湖起源は根拠が全くありません)。→集団(部族、民族)とY染色体ハプロタイプが一致する事から、欧米ではすでに、Y染色体ハプロタイプによる経路分析が主流となっています(これは、mtDNAによる分析を無視するという事ではなく、引き続き、重要な情報である事に変わりはありません)。

by シシリー (2014-07-20 22:44) 

シシリー

本土日本人(大和民族)は「縄文人」と「弥生人」とのほぼ半々の比率の混血民族です。これは「Y染色体ハプロタイプ」からも、また「ミトコンドリアDNA」から見てもほぼ半々の混血となります。

↓Y染色体ハプロタイプ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA#Y.E6.9F.93.E8.89.B2.E4.BD.93.EF.BC.88.E7.88.B6.E7.B3.BB.EF.BC.89.E3.81.AB.E3.82.88.E3.82.8B.E7.B3.BB.E7.B5.B1.E5.88.86.E6.9E.90

↓2008年、住斉(すみ・ひとし)筑波大名誉教授による「縄文人特有mtDNA」と「弥生人特有mtDNA」による計算結果より
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/imgview/2009/05/24/a542e.jpg.html
(産経新聞より抜粋)
by シシリー (2014-07-20 22:48) 

シシリー

しかし、朝鮮民族は違います。

① 朝鮮民族について、Y染色体ハプロタイプの縄文的要素を示すマーカは殆ど「0(ゼロ)」、若しくはあっても痕跡程度にしか検出されない。
② 「HLA(人白血球型抗原)」による調査結果では、朝鮮民族は満州族や中国東北部の漢民族と近い。
③ 上記①②にもかかわらず「常染色体」については、僅かだが「縄文的要素」が存在する。
④ mtDNAについては、日本人と朝鮮民族は似た点が存在する。(←ここはご存知でしょう)

上記4つの連立方程式が成り立つ回答を考えて見て下さい。
ヒント1は「mtDNA」は今の朝鮮民族の姿を映していない、遥か過去2000年以上前の姿を映している。
ヒント2は「朝鮮民族」の成り立ちです。ある条件で「Y染色体ハプロタイプ」の縄文的要素を示すマーカは少しずつ消えていきますが、「mtDNA」は殆ど変りません。

by シシリー (2014-07-20 22:51) 

シシリー

↓ここからは、私自身の自論となります。きちんとした根拠がある訳ではありません。他の説も考えられるでしょう。あまり興味がなければスルーして下さい。

縄文人は、1万年~3万年前から日本列島付近(朝鮮半島を含む)に住んでいて、また、弥生人は今から約3000年前(←これは現在の常識)に、
おそらく「日本列島(九州)」と「朝鮮半島(南部)」にほぼ同時期に到着したのでしょう。日本列島は「縄文人」と「弥生人」の混血となって
今に至ったが、朝鮮半島については、その後の中国東北部からの別民族が何度も多数到来が繰り返され(男女の比では、結果的に男の方が多かった=Y染色体ハプロタイプの縄文的要素を示すマーカは殆ど「0(ゼロ)」なのに「常染色体」については「縄文的要素」が存在、但し、戦争で全滅等をした場合、それは兵士(男子)であって、女子、子供は生き残る←想定は出来るが、その根拠はありません。)
現在の朝鮮民族(おそらく朝鮮南部地域はそう言える)が形成された可能性があると考えた方がいいでしょう。
by シシリー (2014-07-20 22:58) 

シシリー

↑朝鮮南部というより、韓国南部の一部地域といった方がいいのかもしれません。朝鮮半島のその他の地域については、中国東北部からの移民でしょう。
by シシリー (2014-07-20 23:02) 

シシリー

「↑・CF系統F → 後のヨーロッパ民族(白人)、東南アジア、中国人、朝鮮人、そして「弥生人」です。」も疑問に思ったでしょう。

私たち現生人類(ホモサピエンス)は東アフリカで誕生しました。そして、出アフリカ(約6万年前)以前の現生人類(ホモサピエンス)の肌の色は、皆、「黒」若しくは「褐色」であったと推定されます。私たち日本人も、そしていわゆる白人と呼ばれている人達も同じです。

突然変異とは「DNAの塩基の並びの変化」です。例えば、細胞分裂の際の「コピー(複製)ミス、(SNIE含)」、染色体レベルでは「欠失、重複、逆位」で発生し、この変化は子世代に引き継がれる場合があります。それが子世代にとって生存や繁殖に有利な変化であれば、「新しい手直し」としてそのまま引き継がれていきます。しかし、進化(新規形質の獲得)は単純ではない事が判っています。ここでは、目に見えて確認できる変化を「表現型」として説明します。遺伝子とタンパク質の間にネットワーク構造(遺伝子制御ネットワーク)があり、その中で、まず前提として、遺伝子制御ネットワークによって、突然変異が生じても、目に見える違いとして現れにくい性質があります(頑健性:ロバストネスと言います)。そのため、
●通常は表現型に影響を与えないまま保持される中立変異があり、環境的変化を受けると目に見えて多くの変化を生じ、適応的な新規形質を生じる可能性が高まります。
●生物はまず、環境変化に、遺伝的変異によらない対応で変化し順応する。その後、その変化を作り出す遺伝的変異が生じ、環境に対応した表現型が固定する。
●多くの新規形質は、別の表現型で利用されていた遺伝子ネットワークを利用し、新しい表現型を作り出す。
ということが判っています。
by シシリー (2014-07-20 23:05) 

シシリー

つまり、表現型に出てこない中立の突然変異が、常に起こっており、表に出ない状態で、ダムにせき止められた水のように、どんどんと蓄積されていく。そうなると、ほんの僅かな突然変異をトリガとして、まるでスイッチが切り替わったかのような、大きな変化、早いスピードで表現型の変化が起こりうるという事です。その変化は何処でも発生しているが、アフリカでは、紫外線が強いという制約があります。極端な例ですが、母親の卵子を作るさいの、ほんの僅かなコピーミス(突然変異)をトリガとして、「黒人」の両親から、メラニン色素減少、肌が白、連動して目が青、金髪の子供が生まれるという事も十分にあり得るという事です。しかし、アフリカは紫外線が強いため、その子は選択されず、集団としては変化がない、つまり、黒い肌が「選択」され、「固定」してしまったという事です。しかし、出アフリカとなると、紫外線が強いという制約が無くなります。そうなると、目に見えて多くの変化を生じ、「適応的」な新規形質を生じる可能性が高まる。つまり、制約、枠が無くなったので、変化が次々と発生し、集団を作っていくという事です。もちろん、集団の密度、隔離度、その他のもろもろの条件も影響するでしょう。結果として、その環境に適合したもの(つまり肌が黒ではない)が「選択」「固定」され、結果として、今の世界の民族となったという事です。

実際には、「肌の色が黒い集団」が突然「肌が白く、目が青い集団」になった訳ではないようです。約10000年前の「黒海周辺」の地域で、「目(つまり虹彩)が青」の民族が突然変異で発生したと推定されています。また「金髪」は北欧で発生したと推定されています。つまり段階的に突然変異により発生した模様です。


by シシリー (2014-07-20 23:06) 

シシリー

DNA分析による遺伝学が進歩したことも加わって、「人種」と言う分類法は用いられなくなりつつあり、かわりに民族集団や連続的な遺伝的特徴(例えばクライン)といった概念が用いられるようになってきています。世界的な「Y染色体ハプロタイプ」の調査が1990年後半から始まり、2000年代になってだいたいの状況が判明してきています。そして、それまでの定説が次々と覆されています。「現生人類」は「ホモ・サピエンス」一種のみです。2万年前には別の種「ネアンデルタール人」がいましたが、今はもういません。人種とは、ヒト・人間を分類する用法の1つですが、 生物学的な種や亜種とは、異なる概念であり、現生するヒトは、遺伝的に極めて均質であり、種や亜種に値する差異も存在しません。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E7%A8%AE

↓例えば、「アメリカ先住民」はDNA上、ヨーロッパ民族と近縁の模様です。
http://jp.sciencenewsline.com/articles/2012113020150001.html

「ネイティブアメリカン」は「Y染色体ハプロタイプ」では「Q2」の民族です。「Q2」は一般的なヨーロッパ民族(R1A/R1B)と近縁の民族です。また、このDNA(マーカ)は日本では全く検出されません。
-------------------------------------------
【 アメリカ先住民(南北アメリカで混血比率は異なる)】
・QR(P)系統Q亜型Q2(多数)←ヨーロッパ民族と近縁の系統
・CF系統C亜型C3(僅か)←モンゴル人等と同じ系統
-------------------------------------------

つまり、失礼な言い方ですが、基本的な考え方として、
「アメリカインディアン」+「漂白剤につける」=「イギリス人、フランス人、ロシア人」
と考えればいいでしょう。単なるメラニン色素の量の問題ということですね。遺伝的にはゴミみたいな違いでしかないのです。
「アフリカ大陸内」の民族は、その他の大陸の民族全てより多様性が高いのです。もちろんメラニン色素による違いを除けばですが。

by シシリー (2014-07-20 23:06) 

シシリー

↓目の色、つまり青い虹彩は、レイリー散乱で青く見えます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%83%BC%E6%95%A3%E4%B9%B1

メラニンが極端に少ない事を示し、実際に青い色素がある訳ではありません。メラニンは、主に黒褐色の真性メラニン(eumelanin)と、橙赤色の亜メラニン(Pheomelanin)の2種類があります。

日本人で多い茶色の目(虹彩)ですが、メラニンが減少すると「茶→緑→青→紫」と変化します。「構造色」と言います。東北地方では、日本人なのに青い目の方がいます。メラニンが極端に無くなると、白くならず、虹彩の構造で「青」になります。もっと進むと、血液の赤とまざって「紫」になります。鮮やかな青で知られる「モルフォ蝶」の実際の羽の色は無色です。青の波長は乱反射しやすい為、青く見えているだけです。空が青く、夕日が赤いのと原理は同じです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%88%E3%81%AE%E8%99%B9%E5%BD%A9%E3%81%AE%E8%89%B2#.E3.83.96.E3.83.AB.E3.83.BC.EF.BC.88.E9.9D.92.E8.89.B2.EF.BC.89

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%A9%E3%83%8B%E3%83%B3

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%81%E3%83%A7%E3%82%A6%E5%B1%9E
by シシリー (2014-07-20 23:07) 

シシリー

【NO系統Oの由来】「NO系統O亜型」は、約6万年前に出アフリカし、中央アジア(インドもしくはその西側)で、「CF系統CF」から分岐(約45000年前)した「CF系統F亜型」の集団が、北上、幾たびかの変遷後に現れた集団です。マーカ「О」は「Y染色体ハプロタイプ」上の突然変異を示しますので、例えば「О」になったから、突然「中国人(漢民族)」の容姿の民族が発生したという事ではありませんので注意して下さい。2万年~2万5千年前に「O3」が誕生し、主に今の中国人(漢民族)の主系統となります。
↓図「西ユーラシアのY染色体ハロタイプの概略」に載っている右側の「O」です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%B3%E4%BB%AE%E8%AA%AC#.E3.82.AF.E3.83.AB.E3.82.AC.E3.83.B3.E6.96.87.E5.8C.96.E3.81.AE.E6.8B.85.E3.81.84.E6.89.8B.E3.81.AE.E9.81.BA.E4.BC.9D.E7.9A.84.E7.89.B9.E5.BE.B4


by シシリー (2014-07-20 23:08) 

シシリー

Y染色体ハプロタイプ「D」が「O」に駆逐されたという言い方をする方もいますが、それは根拠がありません。時期的には、石または骨を加工した槍のような武器で、かつ自分の足で、走って相手を追っかけ回していた程度の時代です。また、「D」は狩猟採集の民族、「O」は土地に根差した農耕民族との違いもあるでしょう。おそらく「D」の分断は、氷河期最寒気による影響が高いと考えますが、これについてもまだ根拠らしきものはありません。以上となります。
by シシリー (2014-07-20 23:20) 

シシリー

↑もうひとつだけ、弥生人は、おそらく海上ルートで、中国から直接渡来したと考える方がいいかもしれません。但し、沖縄ルートではなさそうです。遥か南琉球は別として、沖縄本島の琉球民族DNAからは、弥生人が沖縄を中継して渡来した痕跡が見当たりません。おそらく中国沿海ルートで九州、朝鮮南部に多数(←これもポイントです)渡来したのでしょう。朝鮮北部ルートは可能性がかなり低いと考えられます。
by シシリー (2014-07-20 23:43) 

NO NAME

もう一度ですが、Y染色体ハプロタイプの一部名称が変わりました。内容に変化はありませんが、名称が以下の通りかわりました。

今までは
D1←チベット民族
D2←日本人(アイヌ、琉球含む)
D3←チベット民族
D4←フィリピン・マクタン島住民
でしたが、

D1→D1A
D2→D1B
D3→D1C
D4→D2

とISOGG(遺伝的系譜国際学会)により変更になりました。日本人については、なじみ深いD2からD1Bとなりました。※「Wikipedia」では、まだ変更しきれていない部分があります。 また、本来は「D1b」と記述しますが、見やすいように「D1B」と記載致しました。

ISOGG(遺伝的系譜国際学会)
http://www.isogg.org/tree/
http://www.isogg.org/tree/ISOGG_HapgrpD.html
http://www.isogg.org/tree/ISOGG_HapgrpO.html

ここ、数年で、2回も大きく体系が変わりました。今年初めに、韓国で、僅かだが、古いタイプのD1bが発見されたばかりです。私も、数か月周期で書き直さなければならないほど、目まぐるしく進歩、変化しているようです。
by NO NAME (2014-07-21 01:03) 

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