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憲法九条と日米安保はワンセット [国際社会]


笠井 アメリカ大統領のフランクリン・ルーズヴェルトは、この戦争が世界国家を樹立するための戦争であることを自覚していた。枢軸国への無条件降伏要求は、世界戦争の絶対的性格から必然的でした。ドイツと日本を「平和に対する罪」で裁いたのも、この戦争が侵略者、犯罪者に対する正義の自衛戦争であるという建前からです。
 言うまでもありませんが、枢軸国を粉砕した連合国が国際連合の前身です。ルーズヴェルトは世界国家が国連を通じ、国際社会のメタレヴェルに立つ戦後世界を展望していた。
リベラルなGHQ官僚が作った憲法九条は、このようなアメリカ国家の意向を正確に反映しています。
世界国家アメリカが君臨するだろう戦後世界に、もう戦争は存在しえない。あるとすれば国際的な犯罪で、これにはアメリカ軍を中核とした国連軍など世界的な警察力で封じこめる。
世界国家の権力を承認するオブジェクトレヴェルの諸国家は、交戦権を持つ必要はないし、交戦権を行使するための軍事力を持つことも許されない。
白井 それで憲法九条が成立したわけですね。
笠井 日本国憲法の序文、「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」というところの国際社会とは、ルーズヴェルトが構想していた戦後世界に他なりません。
~中略~
笠井 だからGHQは、日本国憲法に交戦権の放棄を明記したわけです。しかし、ルーズヴェルトの思惑は大きく狂いました。
東欧と中国を勢力圏に加えたソ連が、ドイツに代わる新たな競争者として登場してきたからです。まだ世界戦争は終わっていませんでした。
 冷戦の開始と同時に、出来たばかりの国連は機能麻痺に陥ってしま。問題が生じる度に、ソ連が安全保障理事会で拒否権を行使したからです。
日本はアメリカの従属国として冷戦を戦い、憲法九条は日米安保条約と相互補完的な関係になりました。


日本劣化論
笠井 潔 (著), 白井 聡 (著)
筑摩書房 (2014/7/9)

P240




DSC_0697 (Small).JPG達身寺







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