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国を捨てた人たち [国際社会]

  朝鮮半島から外国(日本、中国東北部、ハワイ、北米)へ渡った韓僑は総人口の八パーセントを越えます。この朝鮮・韓族の国外離散は、割合からだけからいえば中国の華僑の国外離散よりも率が高い。
北米では寿司屋をはじめとする日本料理店も韓国人が開いているものが多い。アメリカでも韓国のロビー活動は日本よりも活発です。
韓国アイデンティティにこだわるため、エスニック・マイノリティーとして摩擦もよく起します。なお在外朝鮮・韓国人で一番日本に好意を持っているのは中国東北部の朝鮮族でしょう。これは漢族に対する反感の裏返しとして生じた感情です。


日本人に生まれて、まあよかった
平川 祐弘 (著)
新潮社 (2014/5/16)
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DSC_0710 (Small).JPG達身寺

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 また海外に住む中国系の人々の総数は三千万に近く、これはオランダとベルギーの人口を合わせたほどの数で総数としては多いが、しかしディアスポラ(民族離散)の割合としては中国の総人口比の二パーセント程度です。
アメリカで華僑や中国系アメリカ人のロビー活動は第一次世界大戦後から盛んとなりました。
 第二次大戦後は戦前と違って海外に預金口座を設ける日本人も出てきましたが、一族の何人かは外国に住まわせ、その一人は外国人と結婚させて、万一の際にはそれをたよりに海外で暮らそう、というような心づもりをして生きている人は、日本人にはまだほとんどいないでしょう。
しかし中国の特権階級や東南部の沿岸地域の富裕層はそういう準備を進めています。旅券も用意してあるでしょう。
読者の中にも、近所に新しく建った高級マンションが実は中国系の所有だという噂をお聞きの方もおられるはずです。
 一九一七年のロシア革命の後は白系ロシア人が日本にも亡命して来ましたが、中華人民共和国で「権貴階級」に反感を持つ民衆の間から大暴動が発生すれば、現在の共産党幹部の家族が「赤い貴族」として日本にも逃げてくるでしょう。


P79
 佐藤 それと、国家の空洞化と並行して、ナショナリズムの新たな形態も生まれています。
とくにアメリカで大きな問題になるのは、遠隔地ナショナリズムです。アメリカが世界各地のトラブルの発生地になる可能性があります。
 現在、慰安婦が深刻な問題になっていますが、その追及の激しさを比べてみると、韓国国内よりもアメリカのほうが激しいのです。
 池上 アメリカでは、訴訟になって話題になったカリフォルニア州のグランデールほか各地に慰安婦像が建てられています。
 佐藤 それは、もはや韓国には帰らず、また韓国語よりも英語のほうがはるかに上手になり、子どもたちもアメリカ社会に同化させようと思っている在米韓国人たちがやっている運動です。
ふるさとの韓国で、その歴史について勉強したこともなかった韓国で、こんなことが行われていたんだ、と聞いて、自分たちの心の祖国を大事にしたいという、ナショナリズム論でいうところの「遠隔地(遠距離)ナショナリズム」が働いている。ナショナリズム論のベネディクト・アンダーソンは、こう言っています。
「このナショナリズムは、生真面目なものではあるがしかし根本的に無責任であるような政治活動を生みだす。遠くの地から政治に割り込む人々は、活動の舞台としている国に税を支払うことはまずないし、その国の司法制度から責任を問われることはない。

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 佐藤 今回、ウクライナ情勢がこれだけ険悪化したことの背景にも、カナダのエドモントン周辺に住んでいるウクライナ人(約一二〇万人)の遠隔地ナショナリズムが関わっています。
~中略~
 こうなると、世界各地の地域紛争がアメリカから生じてくることになる。その第一号が慰安婦問題ではないか。ですから、慰安婦問題に関しては、日本がいくら韓国と交渉しても埒があかない。あめりか政府と交渉しても打開できません。在米韓国人ときちんと交渉しないと解決しないと思いますが、これが非常に難しいわけです。
 池上 彼らは、日本の歴代の首相が元慰安婦にお詫びの手紙を送ったことを知りません。「日本は謝罪を拒否している」と思い込んでいます。「日本は謝罪をしている」という事実を伝えることから始めるしかありません。「慰安婦を強制連行した証拠は見つかっていない」とだけ言っていると、謝罪していないと誤解されてしまうのです。

新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方
池上 彰(著), 佐藤 優(著)
文藝春秋 (2014/11/20)






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