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スイス式積極的平和主義 [国際社会]

また大国が安全保障理事会で拒否権を持つ国際連合も、日本の安全を必ずしも保障してくれそうにありません。日本は国際連合に多額の分担金を払いながら、安全保障理事会の常任のメンバーにもなれない。
国連が第二次世界大戦の戦勝国クラブという面を強く維持しようとする限り、頼りにならないことがはっきりしてきました。だとすると日本が国連中心主義的な非武装中立主義を掲げても、それは現実的な選択ではあり得ないようです。

 それでは、どうすればよいのか。
 敗戦後、戦争に懲りた日本国民は東洋における永世中立国となることを望み、東洋におけるスイスとなることを夢見ました。そのように平和を希求することはまことに結構で、私も平和主義を奉じたく思います。
~中略~
 その小国が第二次世界大戦中はなぜ自由主義諸国から尊敬をかちえたのか。それはナチス・ドイツの隣国でありながら、また全国境を枢軸軍の勢力によって囲まれるにいたったにもかかわらず、反ナチスの亡命者を受け入れ彼らを保護し、ドイツ側の圧力に屈せず、毅然として積極的武装中立を貫いたからです。
国民皆兵のスイスは外敵の侵入があれば国をあげて戦う意思を示しましたから、軍事強国のドイツといえどもスイスを敵にまわすことに利益なしと判断し、攻撃しかねたのでしょう。
 平和主義を言うなら、このようなスイス式の積極的平和主義を奉じたい。~中略~
自分から先に手を出すことはしないが、侮りがたい力を秘めている日本。そしてその日本の平和を守ることが自由な世界を守ることに通じることを、内外に示さなければいけないと思います。一国主義的愛国主義だけでは不十分です。


日本人に生まれて、まあよかった
平川 祐弘 (著)
新潮社 (2014/5/16)
P62

 

日本人に生まれて、まあよかった (新潮新書)

日本人に生まれて、まあよかった (新潮新書)

  • 作者: 平川 祐弘
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/05/16
  • メディア: 新書




DSC_0711 (Small).JPG達身寺


タグ:平川 祐弘
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