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村里の生活 [日本(人)]

 こうした話を細々と書いたのは、昔の村の姿がどのようなものであったか、村の伝承がどのような場で、どんな時に必要であったか、昔のしきたりを語りあうということがどういう意味をもっていたかということを具体的に知っていただきたいためであった。
 日本中の村がこのようであったとはいわぬ。がすくなくとも京都、大阪から西の村々には、こうした村寄りあいが古くからおこなわれて来ており、そういう会合では郷士も百姓も区別はなかったようである。
領主―藩士―百姓という系列の中へおかれると、百姓の身分は低いものになるが、村落共同体の一員ということになると発言は互角であったようである。
~中略~
といって郷士と百姓は通婚できなかったり、盆踊りに歌舞伎芝居の一齣(ひとこま)のできるのは郷士に限られていたり、両者にいろいろの差別は見られたのである。差別だけからみると、階級制度がつよかったようだが、村里内の生活からみると郷士が百姓の家の小作をしている例も少なくなかったのである。そしてそれは決して対馬だけのことではなかった。
そうなると村里の中にはまた村里としての生活があったことがわかる。


忘れられた日本人
宮本常一 (著)
岩波書店 (1984/5/16)
P19


忘れられた日本人 (岩波文庫)

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戸上神社秋季大祭

タグ:宮本 常一
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