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アトピー [医療]

私がかつて勤めていた大学病院では、当時、奇病の研究には余念がなかったが、アトピーとわかると、研修医が当番制で務める「なんでも外来」に回されてしまい、まともな治療を受けられなかった。
 適当にステロイドの外用剤を出しておいて、それが効かなくなればもっと強いステロイドを出しておけばいい」といった具合で、どんどん症状を重症化させてしまうようなこともしばしばだった。~中略~
 街のクリニックの医師でも、皮膚科の専門知識がないにもかかわらず治療をおこなっているケースは多い。日本では、自分の専門外の分野であっても「標榜」して良いという制度になっているため、たとえば内科医であっても、「内科、、皮膚科」という看板を立ててクリニック運営することが可能なのだ。
 ~中略~ そういう医師に限って「皮膚科ではステロイドと抗真菌薬(水虫の薬)と抗生物質の軟膏のどれか適当に塗っておけば治る」と信じている。
 極端な例だと、これらを三つ混合して、「どれかの成分が効くだろう」と処方してしまうかなり乱暴な医師もいる。 ~中略~
 医師からしてこのような状態なのだから、患者さんが民間療法などに頼りたくなるのも無理はない。~中略~
 アトピーはたしかに原因が分かりにくく、治療にもかなりの時間がかかる厄介な病気だが、根気よく原因を探し出し、それを除去するという治療法を続けていけば、必ず良くなる病気である。


なぜ皮膚はかゆくなるのか
菊池 新(著)
PHP研究所 (2014/10/16)
P110





平城宮跡 (10).JPG平城宮跡

P195
アトピーを発症するには、大きく分けて二つ条件がある。一つは「先天的に皮膚が弱いこと」、もう一つは「アレルギーを持っていること」である。
「皮膚が弱い」とは、この場合は皮膚表面のバリア機能が弱いということである。もともとアレルギーを持っていても、皮膚のバリアがしっかりしていれば、アトピーにはならず、アレルギー反応は、鼻水や咳などの別の形でであるだけである。
 また、アトピーの人は「アレルギー体質」であるともいえる。
~中略~
 皮膚のバリアが弱くても、アレルギー体質でなければアトピーにならない。
 ただし、もともとアレルギーのなかった人が、皮膚のバリア機能が低下したことで不幸にしてアレルギーを引き起こしてしまい、結果アトピーになってしまうというケースがあることが最近わかってきた。

P195
蛇足になるが、アトピーの患者さんに、「掻いてはいけないので叩きなさい」と指導する医療機関がある。これはまったくの誤りで、これまでにも述べたようにアトピーの人は皮膚が弱く壊れやすい、つまり細胞間の接着因子の働きが弱いため、特に顔がかゆいからといって顔面を叩き続けると、網膜剥離を起しやすく失明にもつながることがあるので、絶対にやめてほしい。

P148
 アレルギーやかゆみのメカニズムを理解した医師であれば、原因療法をきちんとおこなったうえで、症状が悪くなったときは上手にステロイドをい使う治療もおこなう。
 もちろんその患者さんが過去に他の病院などで強いステロイドをい処方されているケースもあるだろう。
そのような場合、症状を診ながら徐々に弱いものに変えたり、使用回数を減らしたりしていく。
 うまれつきの乾燥しやすいデリケートな肌に対して、冬場保湿剤を塗る程度で 日常生活にはまったく支障をきたさないようにする。そこが治療のゴールであり、すべてのアトピー治療は、そこを目指さなくてはならないのだ。

P191
洗剤や柔軟剤のかぶれをアトピーと誤診されている乳児は多い。
 現代の子供の皮膚は、昔に比べてアレルギーを起しやすくなっている。そのバックグラウンドには、抗生剤の乱用による腸内環境の悪化、水道水の塩素濃度、周囲の環境因子などが少なからず絡んでいる。また、石鹸などの洗浄力が強くなっているにもかかわらず、日本人特有のきれい好き習慣があいまってバリア機能は逆に低下し、このような事態が増えているのだ。

P180
 皮膚科の病気、特にアトピーなどのアレルギーは、その人の日常の生活環境や過ごし方が治療効果を左右する場合が多い。この医師と一緒に治していくと決めたら、その指導をできるだけ守ってほしい。それが治癒への近道なのである。


タグ:菊池 新
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