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誰が子供をしつけますか? [社会]

  「学校現場が人手不足だ」という主張はそのままではのみ込めません。なぜなら少子化で児童数は減少しているのに対し、教員数横ばいだからです。
 文部省科学統計要覧によると、一九八〇年の小学校に通う児童は約一一八二万人だったのに比べて、二〇一三年は約六六七万人と、四割以上も減っています。
一方で、小学校教員数は八〇年の約四六万人に対し、一三年は四一万人と、一割程度の減少に留まっています。教員一人当たりで見た場合、八〇年の二五・二七人に比べて、一三年は一五・九九人であり、そもそも教員が受け持つ子供の数は少なくなっている現状があります。
~中略~
 教育現場のブラック化についても、その原因は、本来ならば家庭で行われるべき「しつけ」や「生活指導」が、学校に投げっぱなしになった結果とも言えます。女性の社会進出が進み、共働きの家庭が増える中で、従来であれば家庭が担っていた教育が、学校に期待されるようになったとも言い換えられるでしょう。
 日本は諸外国に比べて、GDPに対する教育予算が少ないという指摘もありますが、これは急激な少子化を踏まえると単純には言い切れません。
OECD加盟国の教育機関への公的支出の割合は平均五・四%で、日本は三・六%です。その一方で、日本は少子化により、総人口に占める子どもの割合がOECD平均値の約〇・七倍になっています。
この数字を教育予算の対GDP比に当てはめると、日本の教育予算は決して少なくないことがわかります。
予算に対して教員の不足感がある理由は、日本の教員給与が各国に比べて高いことにあり、強い労働組合に守られている側面も否定できません。
~中略~
現状の教育現場が疲弊しているとすれば、学校、地域、家庭が、それぞれ負うべき責任の比重を見直すことが必要になるはずです。
公教育の役割を限定的にして家庭での教育を求めるか。もしくは女性の社会進出を促して公教育が負担する部分を大きくするか。議論の方向性は大きく二分されます。

PRESIDENT (プレジデント) 2014年 12/15号
山本一郎
P22 


伊勢神宮 外宮 (62) (Small).JPG伊勢神宮 外宮


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