勝ち馬に乗れ [処世]
とにかく、(住人注;石田)三成の身上は小さい。強大な信用を借りてくる必要があった。それが、中国の王ともいっていい毛利百二十万五千石である。
この毛利氏の信用をもって、諸大名を大坂方に吸収しようとした。
三成にすれば、輝元が大坂城内にすわってくれた、というだけでうれしかったのである。今日流でいえば、三成は、毛利氏の身上を「見せ金」につかった。
が、毛利氏は大坂に着陣するや、どうやら三成に利用されていることを知った。内心、次の政権は家康に渡るものとみている。
そんため、到着の前日の日付で「三成の動きとは関係ない」旨の手紙を分家の吉川広家の名で、家康の幕将榊原康政に出している。~中略~
関ヶ原前夜の政情というのは、じつに複雑で、これほどおもしろい事件もすくないが、とくに西軍の旗頭におしたてられたはずの毛利家がこうであった。
司馬遼太郎が考えたこと〈2〉エッセイ1961.10~1964.10
司馬遼太郎 (著)
新潮社 (2004/12/22)
P375
日本人は勝ち組をかぎ分けてそちらに流れるのは得意なので、二大政党制が定着した最近の国政選挙では、いずれも一方が圧勝する形になっている。
また、勝負というものには、それにかかわる人たちは一生忘れないくらいの強い執念を持って臨んでいる。たとえ圧勝したとしても自分に向かってきた相手のことはずっと覚えていて、嫌って憎しみを持つことは先に述べた通りだ。
ここから学べることは、間違っても負け組に乗らないことだ。勝ち組の候補者があなたを心の底から憎んでいて100パーセント間違いなく冷や飯を食わされる可能性が高いなど、よほどのことがあれば別だが、意気に感じたり妙な正義感を出したりして、負け組に乗っかってはいけない。
頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法
田村耕太郎 (著)
朝日新聞出版 (2014/7/8)
P152
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