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自分は死なないと思っている [日本(人)]

P40
中川 まず、私を含めて、がんに携わる医者が受けてきた教育というのは、病気を治すことが第一であるわけです。何割完治できるかというような教育をずっと受けてきていますので、そこからはずれた患者さんに対しては、冷たいというよりも、どうしていいかわからなくなっています。
養老 お医者さんのほうからいえば、どう対処したらいいか、その方法が見つからないというわけですね。
中川 でも、実はあるんですね。それが緩和医療ということになってくるわけですけど、これはすでに学問体系としてできています。ただ、医者の側に非常に関心が薄いという問題があって、勉強もあまりしていません。
 そもそも「自分は死なない」「生き続ける」ということを前提に医者自信も生きているし、医療もその方向ですすめられているわけです。つまり、がんを治療する先生方に、どれだけ死に対する考えができているかわからない面もあります。
~中略~
 いま、病院というのは人間が亡くなるところではなくなってきているんですね。先生がよくお話しになっているように、死というのを病院に押し込めているけれども、いつの間にか、その病院ですら生を求めるようになっていて、病院で死ぬのはけしからんということになってしまっているんですね。

P44
中川 がんについていうと、いま95%近くの患者さんが病院で亡くなっています。ですから、死は病院に押し込めたはずなんだけれども、その病院でも、やはり「死なない」という前提が入り込んできているので、やはり患者さんが病院で亡くなるということは問題なんですね。
 ですから、亡くなる最後のようすというのも、非常に、なんというのでしょうね、密室的とでもいうのでしょうか。たとえば、家族の方は病室から外へ出されて、モニター類の数値がある所までくると、法律的な死というものを医師が見定めて、そこでご家族を中に入れて、「何時何分亡くなりました」と告げますよね。そして、ご遺体は、病院のいちばん目立たない霊安室というところから、何もなかったように、そっと出て行くということですよね。
養老 患者さんが死ぬということをいちばん知っているはずのお医者さんが、死んだ瞬間に背中向けていなくなるっていう現象が起こってくるわけですね。どこが本当の死かというのは、なかなかわからないですよ。

 

自分を生ききる -日本のがん治療と死生観
中川恵一 (著), 養老孟司 (著)
小学館 (2005/8/10)

自分を生ききる: 日本のがん治療と死生観

自分を生ききる: 日本のがん治療と死生観

  • 作者: 中川 恵一
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2005/07/15
  • メディア: 単行本




DSC_1690 (Small).JPG吉野ヶ里遺跡


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