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絵事後素 [ものの見方、考え方]


君子は其の位に素(そ)して行ない、その外を願わず、富貴に素しては富貴に行ない、貧賤に素しては貧賤に行なう。
夷狄(いてき)に素しては夷狄に行い、患難に素しては患難に行う。君子入るとして自得せざるなし。~中略~
〔中庸〕
これは有名な「素行自得」という熟語の典拠で、「中庸」のなかの最も有名な一章です。~中略~
 君子、つまり立派な指導者はその位に素して行なう。自分の立つ場、自分の存立する場に素して行なう。
 素はふつう「もと」と読む。元来この文字のはじまりは絵を描く白い絹、素絹(しろぎぬ)のことです。
この素絹がなければ表現のしようがない。つまり絵画という芸術を表現する生地(きじ)だ。それから素地という意味になる。したがって素質、本質という意味になる。いろいろの表現技術、あるいは着色などは、みな素絹の上にやるわけだ。
 そこで「論語」八佾(はちいつ)篇に「絵の事は素より後にす〈絵事後素〉」という名高い言葉がある。
ここから後素という語をとって大塩平八郎が自分の号にしている。

知命と立命―人間学講話
安岡 正篤 (著)
プレジデント社 (1991/05))
P116



IMG_0155 (Small).JPG旭川市旭山動物園








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