怒り [倫理]
私たちが怒る理由は簡単です。自分が信じている「~べき」「~べきでない」が目の前で裏切られたときに怒りを感じるのです。
イラッとしない思考術
安藤 俊介 (著)
ベストセラーズ (2014/11/26)
P027
P062
専門的に言うと、怒りは《第二次感情》と呼ばれています。第二次があるからには、《第一次感情》もあります。
私たちの”心にはコップがある”と想像してみてください。私たちは毎日、そのコップに「辛い、苦しい、寂しい、悲しい、不安、痛い」といった一般的に言うとところのネガティブな感情の水を注いでいきます。これが《第一次感情》です。
そしてそのコップに第一次感情がいっぱいに入っているときに、何かきっかけがあると怒りという感情としてあふれ出ます。
あなたが同僚に感じているイライラの前には、どのような第一次感情があるかを思い起こして、その第一次感情を特定しましょう。
なぜなら、その第一次感情のなかに答えを見つけることが、怒りの感情と上手に向き合うための大きな鍵となるからです。
P193
怒っている人に上手に対処できる人は、怒っている人の第一次感情を上手に聞ける人です。
怒っている人は、第一次感情を聞いてほしいから怒っているとも言えます。そして、とても都合のよいことに、怒っている人は怒りながら、必ず第一次感情を言葉の端々に散りばめています。
P101
イライラが続くというのは、コップのなかが、ネガティブな第一次感情でいっぱいになっている状態です。
普段は睡眠をとることで、ある程度はコップから水がこぼれてくれるのですが、あまりにも溜まっていると、眠ることでは水がこぼれません。
P078
私たちが比較をされて不愉快に思う裏にあるのは、「自信のなさ」です。比較されることについて自信がないから、比較をされると劣等感を感じ、責められているような気持になってしまうのです。
自分でも自身がないことを心のどこかでは知っているので必要以上に過敏になり、ほんの少しのことでも気にさわります。自分を責められている気分になるので、自分を守るために怒りを感じます。
怒りというのは本来、身を守るためにある感情です。
怒りは誰もが持っている感情です。それを完全になくすことは難しいかもしれません。
だからといって怒りに振り回され、人にぶつければ人間関係にヒビが入ります。さらに、怒りを我慢すれば後々までストレスとして残ります。
怒らない 禅の作法
枡野 俊明 (著)
河出書房新社 (2016/4/6)
P4
(2)怒り―これは、不満・不快を感じている状態です。イライラしている、機嫌が悪い、ストレスを感じているときは、「これは怒りの状態だ」と理解するようにしましょう。
もともと”求める心”に始まる人間の人生には、「怒り」が潜在的につきまとっているものです。「よくわからないけど、どこか不満を感じている」人は、かなり多いはずです。
~中略~
こうした怒りを放っておくのは、「もったいない」(人生を損している)と考えましょう。
というのは、怒りは「理解する」という心の習慣によって解消できるからです。
逆に放っておくと、怒りは徐々に蓄積されていきます。怒りっぽさや、欲求不満、気難しい性格となって、年を取るほどに外に現れてきます。
心の状態をよく見て、怒りがあると感じたら、「怒りがある」と理解しましょう。そうやって、怒りを「洗い流して」いけば、心はすっきりと軽くなっていくものです。
よく注意して、落ち着きを保っている人は、怒りによって、行いが、言葉が、思いがざわつくことを、よく防いでいる。かくして、心の自由をよく保っている。
―ダンマパダ <怒り>の章
反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
草薙龍瞬 (著)
KADOKAWA/中経出版 (2015/7/31)
P40
反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
- 作者: 草薙龍瞬
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
- 発売日: 2015/07/31
- メディア: 単行本
P91
怒りは恐怖や不安を喚起させる体験や喪失体験により引き起こされることが多い2,3)。
がん医療の場合,はんの発症や再発によって生命の危険を感じるとき,手術による身体機能の喪失や病状の進行によって職業的役割や家族内の役割などを喪失したとき,もしくはその可能性を認識したとき,言い換えれば医師が患者に悪い知らせを伝えるときに,患者は怒りを表出しやすい状況にあるといえよう。
また疼痛や呼吸苦などの身体症状が増悪した場合にも,患者がコントロール感を喪失したり死の恐怖を感じたりすることで,医師や看護師に怒りを向けることがある3)。その他,医療者が患者に取った対応に対して患者は傷つけられたと感じ,怒りを喚起させることがある2)。
P92
医療者が患者の怒りに効果的に対処するには,まず怒りの感情に巻き込まれて怒りで返さないように注意する1,4~6)。 そして自分の感情に注意を払いながら,患者の話に集中して耳を傾ける(話を聴くスキルについては,次項「不安への対応」表10-12参照)。
医療者は途中で反論したい誘惑にかられてもそれを抑えて,ひととおり話を聴くようする2)。医療者に反論されてしまうと,自分の気持ちを理解しようとしていない医療者の態度に,患者はいっそう怒りをおぼえる可能性がある。患者の言い分をよく聴いて問題点を明らかにするとともに,患者と共同で問題を解決していこうとする姿勢を患者に示すことが必要である。
~中略~
これまであげたような過程を踏んでも怒りが持続するのであれば,その背景要因を探索することが重要である。
例えば,病前からの精神科的問題,使用している薬剤の副作用,脳転移,意識障害といったものの影響による可能性などである。
表10-9 怒っている患者への対応のポイント
自分の感情と言語的(言葉)・非言語的(表情・姿勢・身ぶりなど)表現に注意して怒り返さないようにする
患者の話をさえぎらずに最後まで聴く
患者の話の途中で反論しない
患者に共感を示す
医療者に非があれば謝罪する
患者に誤解がある場合には,自分の感情に注意しながら説明する
怒りが持続する場合には背景要因を探索する
がん医療におけるコミュニケーション・スキル―悪い知らせをどう伝えるか
内富 庸介 藤森 麻衣子 (編集)
医学書院 (2007/10/1)
三八 「物事に対して腹を立てるのは無益なことだ。なぜなら物事のほうではそんなことにおかまいなしなのだから(35)。」
マルクス・アウレーリウス 自省録
マルクス・アウレーリウス (著), 神谷 美恵子 (翻訳)
岩波書店 (1991/12/5)
P128
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