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自然主義バイアス [言葉]


 自然が一番、という世に広く信じられている信条のためにスタチン(世界で最も処方されている薬の一つ、コレステロールを下げるための薬)を飲むのを拒むひともいる。
自然は賢いのだから、自然に任せていれば体は自分で最善のことをする、というのだ。
この考えの信奉者であったヴォルテールは、「医学の技とは、自然が病気を治療している間、患者を退屈させないことにある」と述べている。
 これに賛同するひとたちは、高コレステロール治療は、運動や、オートブラン(オート麦のふすま、80年代後半にコレステロール値を改善するとして米国で大流行した)や赤ワイン、あるいは「自然素材」のサプリメントによるべきだ、と信じている。
薬は不必要な危険をはらむ不自然な化学物質だと彼らは見なす。この考え方は「自然主義」志向、あるいは認知科学の用語でいえば「自然主義バイアス」と呼ばれる。
つまり、人工的な方法に頼らなくても、病気を予防、治療するためのより賢明で、安全な方法が自然界には存在する、という強固な信念である。


決められない患者たち
Jerome Groopman MD (著), Pamela Hartzband MD (著), 堀内 志奈 (翻訳)
医学書院 (2013/4/5)
P21



決められない患者たち

決められない患者たち

  • 作者: Jerome Groopman MD
  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 2013/04/05
  • メディア: 単行本





DSC_1984 (Small).JPG旭川市旭山動物園

 発がん物質というと、人工的な物質というイメージを持たれるかもしれませんが、決してそうではありません。
自然に存在する有名な発がん物質として、アフラトキシンがあります。これは、おもにビスタチオやピーナッツといったナッツ類にはえるカビが産生する毒です。アフラトキシンは代謝されて、がん抑制遺伝子のp53に突然変異を誘導し、肝臓ガンを生じさせやすくします。なのでカビのはえた豆類は食べないようにしましょう。


こわいもの知らずの病理学講義
仲野徹 (著)
晶文社 (2017/9/19)
P274




こわいもの知らずの病理学講義

こわいもの知らずの病理学講義

  • 作者: 仲野徹
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2017/09/19
  • メディア: 単行本



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