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リスク分析 [雑学]

生命や健康,財産,環境,人間関係などは,私たちにとって重要で価値がある.そういった価値に対する脅威はさまざまだが,それらをリスクという概念で統合的にとらえ,対処していこうというにがリスク分析の考え方である.

リスク 不確実性の中での意思決定
Baruch Fischhoff (著), John Kadvany (著),中谷内 一也 (翻訳)
丸善出版 (2015/4/26)
訳者まえがき




リスク 不確実性の中での意思決定 (サイエンス・パレット)

リスク 不確実性の中での意思決定 (サイエンス・パレット)

  • 出版社/メーカー: 丸善出版
  • 発売日: 2015/04/26
  • メディア: 新書


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P66
内科医のジョン・スノウ卿は,当時の限られた健康科学の中でさえ,注意深い観察と明敏な判断力があればコレラの原因を特定できることを,彼の有名な分析によって証明している. ~中略~
スノウ卿の研究は,感染源に対するぜい弱な仮説であっても,思慮深い観察と計数によって何をなしうるか示している.
それは「疑わしい水の利用を停止せよ」ということである.
それ以降,コレラに関する科学的な理解が深まったが、今日でも流行が発生したときにリスク分析者が用いるのはスノウ卿と同じ基本的アプローチである.
すなわち,死者数をカウントし,ありうる原因を調べ,その原因の状況を改善し,危険の削減を期待して見守る,というものである.
もし,その”リスク管理”が機能したなら問題は解決し,理論は支持されることになる.スノウ卿の仕事はさまざまな情報源からの不確実な知識を統合して分析を進めるという,現代のリスク分析の嚆矢といえる.

P219
 社会の重要な価値には,リスクを避けることだけでなく,達成すべき前向きな目標がある.
それには,若い世代を育てたり,文化的な伝統を維持したり,自由を共有したり,意義ある労働や自己表現を見つけ出したり,といったことが含まれる.
アリストテレスがいうところの”善き生”を達成するための最適な冒険は,個人的,共同体的,そして,社会的価値の文脈の中で,リスクについての意思決定をとらえることである.
"risk"という言葉は古代ローマの"risicare"という言葉からきており、”思い切ってやる”あるいは”不確実性に直面しての行為”という意味を持つ.
リスク分析は危険を削減し,偶然の果たす役割を小さくすることで幸福に到達するための知的道具なのである.
~中略~ リスクは私たちの認識や生活の中に深く組み込まれていて,ほとんどそれと気づかないこともありうる.それに対して,リスクについての研究は,リスクについての意思決定がいかにフレーミングされているのか,リスクがどのように定義されているのか,自分たちの信念がいかに世界を浮き彫りにするか,自分たちの優先順位をどうやって明らかにできるのか,といった問題を意識化し,明示的に深く考えることでリスクの存在に気づかせてくれる.

 

リスク 不確実性の中での意思決定 (サイエンス・パレット)

リスク 不確実性の中での意思決定 (サイエンス・パレット)

  • 出版社/メーカー: 丸善出版
  • 発売日: 2015/04/26
  • メディア: 新書





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