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インド [国際社会]


先に言ったごとく、インド人は想像力の豊富な民族である。数字で現わすことなども、とうてい中国や日本などの真似ができないものがある。
普通ならば、非常に大きな数であったと言うべきところ、すなわち漠然とした概念だけしか得られぬところを、インド人はちゃんとそれを細かに記述して行く。
~中略~
かくのごとく言葉で表現のできないことを言い表そうとするときには、想像力に訴えてやるより他はなかろうと、私は思う。
これがインド流の禅の意味の表し方でないかと思う。
 中国になるとよほど様子が変わって来る。中国人というものはきわめて実行的な人間である。
老荘の書物などを読んでみても、やはり天下国家というものを口にしている、老子のような超越的な人でも天下国家を論じている。どうしても中国人はこの世の係累を離れることのできない人間らしい。
これが中国人の理想に現れる。すなわち福禄寿ということになる。

禅とは何か
鈴木 大拙
角川書店; 改訂版 (1999/03)
P97


新版 禅とは何か (角川ソフィア文庫)

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DSC_2237 (Small).JPG風のガーデン

P104
仏法が中国に渡来してから、すでに何百年と経過しておったのであるが、中国人がインドの仏教に対して、第一に感心したところは、すなわち、中国人の心を動かしたところは、どの点であるかといえば、いかにも論理のつんだ、知というものの働きの盛んに動いているところのその一点であった。これは中国人には足りないところである。
中国という国は古い国で世界文化の一つの中心であるが、論理というものは中国に発達しなかったものである。
ところが、これに反してギリシャにはアリストテレスの論理が完成した。インドでは因明(いんみょう)というもの、すなわち近ごろのわれわれの言葉でいうと論理ということに当たるのであるが、それが発達しておった。


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