肉親の看護にまさるものはございません [医療]
「患者本位」というと、患者さんのがわには、病院に頼る、医師に頼る、薬に治してもらう、という感覚があると思いますが、そうではなくて、医療の原点は患者さん自身にあるのです。これをしっかりと理解していただきたいと思います。
うちなる回復力を高めるためには、肉親の情、肉親の看とりもだいじなことです。
たとえば、子供さんが入院されたときに、入院期間中でも、子供さんはどんどん成長しています。
その成長過程には、親の愛情がとてもだいじなのです。この代役は、医者にも看護婦にも、つとまりません。
なのに病院には、面会時間を何時から何時までと決めて、親や家族まで追い払うような姿勢がございます。これはおかしいと思います。
病院が最善を尽くすのは当然ですが、やはり、肉親の情、肉親の看護にまさるものはございません。
それを「基準看護」(注2)の名のもとに、規則一点ばりで、大切な家族まで追い払うようまなことは、戒めなければならないと思います。
患者本位の病院改革
新村 明(著),藤田 真一(著)
朝日新聞社 (1990/06)
P29
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