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高野山 [雑学]


 いや、かくいう高野山も実際のところ特別に選ばれた聖地であり、そこでは弘法大師が高野山金剛峯寺を建立するずっと以前から多くの山岳修行者がそれぞれ庵をつくって祈りを捧げた場所せあったことはたしかである。
そもそも弘法大師は金剛峯寺を建立する際に、丹生都比売(にうつひめ)を鎮守として祀ったと伝えられている。ここでもすでに神仏混淆である。
丹生都比売の起源は金剛峯寺が創建されるよりもさらに古く、もともと高野山一帯の地主神として崇拝の対象とされていたのだった。
高野山には根本大塔を中心とした壇上伽藍があるのだが、そこに丹生明神と高野明神を祀る神社(御社(みやしろ)があ堂々と並んでおり、しかも、弘法大師がその場所をもっとも重視したとなると、もともと真言密教と神道(女神崇拝)との間にはどこか通底するものがあったと考えざるをえない。
 ところで、ちょっとわき道にそれるかもしれないが、この丹生都比売の「丹」はまた朱色を指すもので、おそらく精製すると水銀がとれる朱砂(しゅしゃ)(硫化水素)のことではないかといわれており、「丹生」となるとその鉱脈を意味するのではないかとされている(永江秀雄「水銀産地名「丹生」を追って」「金属と地名」。谷川健一著、三一書房、一九九八年、二五八頁、二六二頁、二六三頁)。
また、水銀は水の神との結びつきも強く、水源、水分信仰とかかわっているとの見方もある。
其の点では、大丹倉(おおにぐら)、丹倉(あかぐら)神社なども、水の神を祀るとともに、朱砂を含む大きな鉱脈がその背景にあると考えることができるであろう。

世界遺産神々の眠る「熊野」を歩く
植島 啓司 (著), 鈴木 理策=編 (著)
集英社 (2009/4/17)
P123


世界遺産神々の眠る「熊野」を歩く (集英社新書 ビジュアル版 13V)

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  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2009/04/17
  • メディア: 新書

 










高野山


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