ストレス [言葉]
ストレスとは、なんらかの「刺激」によって心身に「ひずみ」が生じた状態のことをいいます。そして、ひずみの症状であるストレス反応は、心と身体の両方に現れます。
たとえば、怒りや不安、悲しみなどが、心のストレス反応。心拍数や血圧の上昇、発汗などが、身体のストレス反応です。
これらは急性的な症状であり、日常生活にもさほど差し支えありませんが、ストレスが慢性化して、ひずみが大きくなると、心身の健康を損ねるような深刻な事態になりかねません。そうなる前に、早期に自分のストレスに気づき、対処することが重要です。
ストレスの原因となる心理的な刺激は、大きく「ライフイベント」と「デイリーハッスル」の二つに分かれます。
ライフイベントとは、受験や就職、結婚、そして、まさに「リーダーになる」といったような人生の節目の出来事。先に述べた「過去への執着」や「未来への不安」によるストレスは、ライフイベントのストレスということになります。
そして、デイリーハッスルとは、「電車に乗り遅れる」「上司に怒られる」など、日常に起こる些細な出来事。職場での人間関係のストレスなども、このデイリーハッスルのストレスです。
メンタルトレーニング実践講座
田中ウルヴェ京 (著)
PHP研究所 (2009/7/18)
P26
ストレスによって急に血圧が上がると、脳出血・くも膜下出血などの致命的な脳血管障害を発症したり、心臓の周りの動脈に関して言えば、動脈硬化を経て狭心症や心筋梗塞に至ってしまうことになるのである。
このような心臓疾患と脳血管障害は日本人の死因の第2位と第3位を占め、両方合わせると約30%の国民がこの両者で命を落としている。
~中略~
このような急性のストレスでも慢性のストレスでも、免疫機能が低下すると、感染症に罹りやすくなる。具体的には、たとえば風邪を引きやすくなったり、風邪をこじらせて気管支炎や肺炎になってしまうような場合である。
さらには、医学的に実証されているわけではないが、免疫機能が低下すると毎日3500個ほど生じている「異型細胞」をリンパ球が処理できなくなり、最終的には、がん細胞にまで発展する可能性が出てくる。
言うまでもなく、がんは日本人の死因の第1位を占めていて、今では国民の約30%が、がんで亡くなっている。
このように考えてくると、日本人の死因の第1位から第3位までを合計した60%を占める死因は、実はストレスが深く関与した体の病気ということになるのである。
空海に出会った精神科医: その生き方・死に方に現代を問う
保坂 隆 (著)
大法輪閣 (2017/1/11)
P164
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