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在宅介護が第2の患者を作っている [医療]

 P8
 介護をする家族の心と体の負担がどれだけ大きくて重いか想像に難くありません。  実際に、認知症の在宅介護をしていて「介護うつ」になる人が増えています。介護をしている人の4人に1人が介護うつになっており、しかも年々増加傾向にあるという厚生労働省の発表もありました。
 家族の介護をしながら、”自分が壊れてしまう”介護者が増えているのです。

P12
認知症に限らず、在宅で介護をするにあたって何よりも重要なこと、それは「介護をするあなた自身の心体の健康を守り、大事にする」ことです。
 介護をしている人は、自分が想像する以上に大きな負担を心と体に抱えています。
日々の生活に追われ、疲れ切っていることすら気づいていない人が多いのです。介護が中心の生活になると、どうしても患者さんが1番で、自分のことは2番、3番と後回しになってしまいがち。それも状況的にある程度は致し方のないことかもしれまでんが、何もかもを後回しにしていたらあなたはあなたでなくなってしまします。
 自分の健康を後回しにして、自分が自分であることえを犠牲にして、何もかもひとりで抱え込んで耐え忍ぶような介護では、どこかに歪が出てきて当たり前です。
 そうした苦行のような介護を休みなく続けて、あなたがもし倒れてしまったら、親や連れ合いを誰が看るのか―。

認知症の人がスッと落ち着く言葉かけ
右馬埜 節子 (著)
講談社 (2016/3/23)

DSC_3284 (Small).JPG海峡花火大会

在宅介護者の4人に1人は、中等度以上の抑うつを合併している。抑うつの症状として希死念慮があるが、65歳を超える介護者は介護に疲れて(おそらくうつ病を発症して)「もう死んでしまいたい」と思うのである。
しかし、目の前の被介護者(多くの場合は配偶者)を見ると、「私が自殺してしまったら、この人は誰が見てくれるんだろう」と1人で思い悩み、それならいっそのこと、「この人を先に殺してしまい、後追い自殺をしよう」と思うのである。
それが完遂されれると「無理心中」と言い、被介護者を殺めてしまいその後後追い自殺ができなかった場合には「殺人事件」となり、被介護者を殺めることができなかったら、それは「自殺」ということになる。
新聞などで、「老老介護の末に・・・・・」という不幸な記事をみることがあるが、その裏にはこのような心理的な背景が推測できるのである。
 この抑うつは、専門的に言えば、終わりのない精神的・身体的負荷が持続した結果の「消耗性うつ」の形態をとっている。薬物療法と休養が必要であるが、それ以前に医療機関を受診して正しい診断を受けなければならない。
 うつだけでなく、身体的な健康度が損なわれているという指摘をしたが、いずれは患者になったり、入院患者になる予備軍をつくっているという意味である。高騰する医療費抑制策のひとつとして、入院から外来へ、病院から在宅へ、と急速に動き始めたはずだが、それが「第2の患者」をつくっているとは何とも皮肉な結果である。

空海に出会った精神科医: その生き方・死に方に現代を問う
保坂 隆 (著)
大法輪閣 (2017/1/11)
P139

 前に紹介した「未来の年表」という本の中で、著者・河合雅司(かわいまさし)さんは、二〇二一年には、介護離職が大量発生するとしています。
 これは団塊世代が七十五歳を超え、介護認定を受ける人の数が、圧倒的に増えると推測されるからです。そうなると、介護保険財政が悪化します。政府もそれを見越し、制度を大幅に見直し、自己負担額を引き上げたり、介護政策も「施設」から「在宅」へと移行していく方針を打ち出しました。そこで問題になるのが、介護サービスを受けられない「介護難民」が大量に出現することです。
 施設にもはいれない、在宅でもヘルパーなどの十分なサービスが受けられない。そうなると親の介護は、すべて子供がみることになります。その人たちが、団塊ジュニアという、人口ボリュームが大きい層なのです。
 五十代にさしかかった彼らは、会社では働き盛りの大黒柱であり、家では介護の責任者となるわけです。~中略~
 ある時期、私の周囲の人たちが、親の介護で心身をすり減らし、壊れかけている例をいくつか見たため、「子供は親の介護をしてはいけない」という法律を作るべきだなどと、暴言を吐き、顰蹙(ひんしゅく)を買ったことがあります。

百歳人生を生きるヒント
五木 寛之 (著)
日本経済新聞出版社 (2017/12/21)
P116


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