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ウェストファリア体制 [国際社会]

 一六四八年一月三十日のスペイン・ネーデルランドの講和条約調印を皮切りに、最終的には十月二十四日の講和条約正式調印に至り、ようやく三十年に及ぶ欧州の大戦は終結した。
 条約の主な内容は、以下の通りである。
~中略~
 この条約によって成立した体制を、ウェストファリア体制と称する。世界中の国際法の教科書では、次の三つの要点が強調される。
 一つは帝国から主権国家の独立、二つは対等な主権国家の並立、三つは教会権力と世俗権力の対等である。要するに、我々現代人が想像する主権国家は、ウェストファリア条約によって成立したのであり、広義にはいまだに世界はウェストファリア体制なのである。  ローマ教皇や神聖ローマ皇帝の支配を脱しようと、オランダ、フランス、イングランドで始まった舌体王権による国家の統一とそれらの国々の並立は、ウェストファリア体制により、急速にヨーロッパ中に広まる。
 現代の国家は、土地を基盤とした領域国家であるが、この時点のヨーロッパはまだまだ属地法ではなく国王を核とする属人法の世界であった。
国王はその領内で権力を行使し、すべての特権階級を従わせる。そして他の国王の介入を許さないことで、現在に至る主権国家の原型ができあがるのである。

日本人だけが知らない「本当の世界史」
倉山 満 (著)
PHP研究所 (2016/4/3)
P85

日本人だけが知らない「本当の世界史」 なぜ歴史問題は解決しないのか (PHP文庫)

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  • 作者: 倉山 満
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/04/03
  • メディア: 文庫

 DSC_3761 (Small).JPG赤間神宮

P99
ウェストファリア会議において、戦勝国のスウェーデンのクリスティーナ女王が人類史に残る画期的な一言を言い放った。
「異教徒を殺さなくてよい」
 本書をここまでお読みいただいた読者諸氏は、この一言以前のヨーロッパ社会がどのようなものだったか、そしてなぜ画期的だったかが理解できるだろう。
「異教徒は殺さなければならない」
 敵に対する魔女狩りや十字軍は言うに及ばず、裏切り者は異端審問にかけて苦しめて殺さねばならない。これが、ローマ帝国末期から三十年戦争にかけて、ヨーロッパの暗黒の世紀において支配的だった価値観である。

日本人だけが知らない「本当の世界史」 なぜ歴史問題は解決しないのか (PHP文庫)

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