コモディティ化 [言葉]
コモディティ(comodity)とは英語で石鹸や歯ブラシなどの「日用品」を指すときによく使われる言葉だが、経済学や投資の世界ではちょっと違う意味で使われる。
市場に出回っている商品が、個性を失ってしまい、消費者にとってみればメーカーのどの商品を買っても大差がない状態。それを「コモディティ化」と呼ぶ。
経済学の定義によれば、コモディティとは「スペックが明確に定義できるもの】のことを指す。材質、重さ、大きさ、数量など、数値や言葉ではっきりと定義できるものは、すべてコモディティだ。
つまり「個性のないものはすべてコモディティ」なのである。どんなに優れた商品でも、スペックが明確に定義できて、同じ商品を売る複数の供給者がいれば、それはコモディティになる。
一定のレベルを満たしていれば、製品の品質は関係ない。たとえば、日本の自動車部品メーカーが作る製品の質は、非常に高いレベルにある。しかし、グローバル化して少しでも安い部品を調達したい自動車会社から見れば、一定のスペックを満たしていれば、それらの部品はすべて「同じ」と判断される。
だとすれば、少しでも価格が安いほうから買いたい。
だから、今の自動車業界、とくに部品を教習するビジネスは、どれほど品質が高くても買い叩かれる構造となっている。
僕は君たちに武器を配りたい
瀧本 哲史 (著)
講談社 (2011/9/22)
P31
P32
コモディティ化した市場で商売をすることの最大の弊害は、「徹底的に買い叩かれること」にある。
コモディティ市場において、商品の値段がいくらに決まるかは、非常に明快だ。資本主義市場では、商品が需要に対して不足しているときは値上がりし、余っていれば値下がりするのが根本ルールとなる。
コモディティ化した市場は、恒常的に商品が余っている状態になるので、そこでの商品の値段は、供給側の(買ってもらう側)の「限界利益」がゼロになるまで下がる。
身近な例でいえば、最近の牛丼チェーンの値下げ競争に、コモディティ市場の典型を見ることができる。
P35
こうした「コモディテイ化」の潮流が、世界中のあらゆる産業で同時に進行している。その流れから逃れることは、現代社会に生きる限り、誰にもできない。」
これからの時代、すべての企業、個人にとって重要なのは、「コモディティにならないようにすること」なのだ。
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