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貧困救済策 [社会]

 最低賃金引き上げは、貧困解消手段として政治的にアピールしやすい。だがこの結果、一番被害を受ける恐れがあるのは、前述のとおり最も貧しい勤労者やこれから仕事に就こうとする若者・既婚女性だ。
雇用者同士の賃金格差は縮小し、労働組合には、有効な格差是正策である。ただし、それは最低賃金の引き上げで職を失ったり、職を得られなかった人を排除した結果得られたものである。社会全体でみれば、最低賃金引き上げで職を失った人まで考えれば、格差はむしろ拡大することになる。
 真の貧困救済策はどうあるべきか。第一は、教育訓練を充実することだ。質の高い労働者なら、企業はそれだけ高い賃金を喜んで払うだろう。子どもの頃からの教育の充実も大事だ。
第二は、給付付き税額控除や勤労所得税額控除のような負の所得税を作ることだ。賃金規制という強硬手段で失業という歪みをもたらすのではなく、税と社会保障を用いた所得再分配で貧困問題に対応するのが筋である。

競争と公平感―市場経済の本当のメリット
大竹 文雄 (著)
中央公論新社 (2010/3/1)
P200


タグ:大竹 文雄
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