遊牧民族 [雑学]
遊牧民族が国家をつくった場合、そのまま収奪国家になるということは、さきにのべた。
遊牧民は本質的に武人であり掠奪者であり、遊牧以外の生産をいやしんだ。
とくに地をはいまわって耕す農民や、細工台にかがみこんでいる彫金工や、また原始的な森林の人―狩猟採集生活者―をばかにしきっているところに、かれらの遊牧者の誇り高さがあった。
卑屈な顔つきの遊牧者というものはありえないといっていいほどかれらは誇り高く昂然(こうぜん)としているものであったが、一面、農民のように大地に固執しないために、その帝国はいったん結束と武力をうしなうと、脆(もろ)かった。
ロシアについて―北方の原形
司馬 遼太郎 (著)
文藝春秋 (1989/6/1)
P51
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