地域社会が無くなる [社会]
国土交通省の「国土のグランドデザイン2050」(2014年)が、三大都市圏を除いた地域において主なサービスごとに立地必要な需要規模を、「存在確率50%」と「存在確率80%」という形で計算している。
「存在確率50%」とは、その人口規模を下回ると、廃業や撤退するところが出てくるラインだ。逆に「存在確率80%」とされる人口規模であれば、ほぼ存在し得る。
次ページの図をご覧いただきたい。たとえば、食料品の小売店や郵便局、一般診療所の存在確率は80%は500人だから、その人数規模の集落であればこうした事業は成り立つ。
一方、介護老人福祉施設では4500人の人口規模なら存在確率は80%だが、500人では50%。銀行は9500人の人口規模の自治体であれば存在するが、6500人になると撤退を始める。一般病院は2万7500人規模の自治体ならほぼ存在するが、5500人になると、あったりなかったりする。
~中略~
2040年時点での人口規模が2万人以下になるとペットショップや英会話教室が、1万人以下では救急病院や介護施設、税理士事務所などが、5000人以下になると一般病院や銀行といった日常生活の中でよく利用するサービスまでもが姿を消す。
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること
河合 雅司 (著)
講談社 (2017/6/14)
P90
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)
- 作者: 河合 雅司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/06/14
- メディア: 新書
P94
能村総合研究所の試算(2016年)によれば、2033年の総住宅数は約7126万戸へと増大し、空き家数は2167万戸弱、空き家率は30.4%にまで上昇するという。 つまり、全国の約3戸に1戸が空き家となってしまうのである。
~中略~
空き家と聞くと、「朽ち果てた一軒家」のイメージが強いが、実はマンションも少なくない。総務省の分析では、2013年の空き家総数820万戸のうち、約60%になたる471万戸がマンションなどの共同住宅だった。
~中略~
しかも、少子化で相続する子供が減った、相続人がいても、都会に出た若者が、”田舎の家”には価値を見出せない例も多い。少子化が進めば、さらに空き家は増えよう。
P141
人口減少社会においては、人の住むエリアも必然的に縮小する。すでに、多くの自治体で空き家の急増が社会問題となっているが、2050年には、現在の居住地域の約20%が「誰も住んでいない土地」に転じるというのだ。
日本列島全体で見ると、現在の約50%から60%へと拡大する。2050年にしてこのような状況であるから、2065年以降さらに時代が進めば、日本列島はスカスカな状態になるだろう。少なくなった日本人が、日本列島にまばらに住んでいる情景が目に浮かぶ。
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)
- 作者: 河合 雅司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/06/14
- メディア: 新書
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