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痛みの意味 [医学]

痛みの原因がからだに存在しないにもかかわらず痛みを訴える、心因性疼痛、精神疾患性疼痛(一三六ページ)、さらに、からだの異常が治癒した後にも痛みが持続する慢性痛(一〇五ページ)などには、まさに、警報信号としての意味は全く認められない。
種々さまざまな痛みのなかで、私たちにとって、警報信号とは考え難い痛みの方が、警報信号としての痛みよりは圧倒的に多い。
つまり、痛みというものは、そのほとんどは、私たちを苦しめ、悩ましつづけるだけの意味しか有していないのである。
 しかも、いかなる場合でも気づかれないままに進行する心臓病にみられるような、痛みを伴わない重篤な疾患は、くらでも存在することを考え合わせると、「痛みは生体の警報信号である」という、一見、説得力のあるこの意味づけだけで、痛みというものを単純に割り切ってしまうことは、いかに空虚なものであるか、数々の臨床的事実によって、痛いほど重いしらされるのである。

痛みとはなにか―人間性とのかかわりを探る
柳田 尚 (著)
講談社 (1988/09)
P59

痛みとはなにか―人間性とのかかわりを探る (ブルーバックス)

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  • 作者: 柳田 尚
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/05/06
  • メディア: 新書

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