明徳 [倫理]
P58
人間の万苦は明徳のくらきよりおこり、天下の兵乱(ひょうらん)も又明徳のくらきよりおこれり。これ天下の大不幸にあらずや。聖人是(これ)をあわれみたまい、明徳を明(あきら)かにする教(おしえ)を立て。人の形(かたち)あるほどのものには学問をすすめたまえり。四書五経にのする所もみな是(これ)なり。(下 丁亥の春)
P64
倩(つらつら)世間の福(さいわい)を思いくらべるに、身やすく心たのしみ、子孫のさかえるを上(かみ)とす。
命(いのち)のながきを次とす。位(くらい)たかく富(と)めるを下(しも)とす。此(この)福(さいわい)の種は明徳仏性なり。此(この)種をまきて此(この)福を造(つく)る田地(でんち)は、人倫日用(じんりんにちよう)の交(まじわり)(住人注;日常生活の営みのなかにある)なり。(序)
中江藤樹 人生百訓
中江 彰 (著)
致知出版社 (2007/6/1)
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