ナッジ [言葉]
ノーベル経済学賞受賞者のリチャード・セイラーは、ナッジを「選択を禁じることも、経済的なインセンティブを大きく変えることもなく、人々の行動を予測可能な形で変える選択アーキテクチャーのあらゆる要素を意味する(11)」と定義している。
一般的に、人々の行動を変えようとするとき、法的な規制で罰則を設けて、特定の行動を禁止して選択の自由そのものを奪うか、税や補助金を創設して、金銭的なインセンティブを使うことが多い。
もう一つの手段は、教育によって人々の価値観そのものを変更することである。しかし、教育を通じた価値観の形成は、短期的な効果を大きく期待できるものではないし、義務教育年齢の子どもに対しては有効な手段であるかもしれないが、それ以外の年齢層には必ずしも有効な手法ではない。
行動経済学的な手段を用いて、選択の自由を確保しながら、金銭的なインセンティブを用いないで、行動変容を引き起こすことがナッジである。
医療現場の行動経済学: すれ違う医者と患者
大竹 文雄 (著), 平井 啓 (著)
東洋経済新報社 (2018/7/27)
P38
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