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選択せずに、なんとなく生きてる [人生]

P97
 実は、私たちの生活の中で、選択をしなければならない局面はたくさんある。思い返してみてほしい。
私たちは1日を「選ぶ」ということをせずに、終えることがでえきるであろうか?「生きる」ということは「選ぶ」ことである。とはいえ、私たちのすべての行為が能動的な「選択」をもって行われているわけではない。
もし、すべての行為をあらかじめ「選択」して行わねばならないとしたら、こんなに窮屈なことはない。「真剣に考えず、なんとなくそうしている」ことがたくさんあることに気がつくだろう。そして、その瞬間、瞬間で、実際に行った行為以外の、別の行為を行うことはできなかったか?と考えてみる。これを「他行為可能性」と呼ぶ。
 私たちは、常に「他行為可能性」をはらみつつも、実際には一つの行為を行っている。しかし、そこで明らかな「選択」はしていない(24)。人間の行為の多くには「習慣」というものがあり、他にも習慣以外の「なんとなく」している行為も多くある(25)。
実は、日常生活の中には、なんとなくそうしているというヒューリスティックス(第2章参照)による選択があふれていて、おかげで私たちは、些末なことにはとらわれずに生活できているのである。

P107
 内閣府が行った「がん対策に関する世論調査」(2017年度)によれば、がん検診を受けない理由には「受ける時間がないから」「健康状態に自信があり、必要性を感じないから」「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」などが多く、がん検診のを受けない「強い理由」は見当たらない。 ほとんどの人はがんになることを怖いと感じ、がん検診は受けた方がよいことをわかってはいるが、がんになる可能性は未来に起きうる不利益である一方、がん検診をいま受けに行くことは目の前で生じる不利益(面倒くささ)であるため、将来の不利益を割り引いて感じるので、がん検診に足が向かないという状況が生じている。
しかしながら、実際にがんでなくなるとなると、「なぜもっと早く見つけなかったのか」と悔やむけーすが多い。
いかにして「自覚症状もなく、毎日の生活に忙しくしている一見健康な人」にがん検診を定期的に受診してもらうように行動を促すことができるかというのは、社会全体が高齢化しがんの好発年齢である60~70代の国民が増えた近年、非常に重要な課題である。

医療現場の行動経済学: すれ違う医者と患者
大竹 文雄 (著), 平井 啓 (著)
東洋経済新報社 (2018/7/27)

DSC_5879 (Small).JPG宝満山


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