二日酔い防止 [雑学]
P148 その物質が、からだに何らかの悪さをする、ひろい意味での「毒」である場合、口にしてしまった時、いかにして、その毒性を抑えることができるかが問題になります。
先に書いた順でいくと、第一段階としては、吸収を抑えてやる、次には代謝をあげて速やかに分解してやる、そして、排出を促してやる、ということになります。~中略~
物質によって、消化管のどの部位において吸収されるかが決まっています。アルコールは、炭水化物のように酵素で分解などされることなく、アルコールのままで胃や所長の上部から吸収されます。~中略~
胃の中にアルコール以外のなにかがはいっていたら吸収は遅くなり、なにもなかったらアルコールの濃度が高くなって、吸収されやすいということです。
これを避けるためには、まずなにか胃に入れてからアルコールを飲めばよろしい。簡単なことです。嫌いだから決して飲みませんが、牛乳がよいという話はよく聞きます。胃粘膜に層を作って吸収が抑えられると説明されていますが、どうやらその説はウソらしくて、単に濃度の問題のようです。
P151
お次は代謝。いかにして肝臓におけるアルコールの代謝をあげてやるか、です。悪酔いを抑えるとか二日酔いの防止を謳うサプリメントなどがたくさん売られていますが、その多くはこのカテゴリーに入ります。
~中略~
ひとつは、ご存じウコン系。飲み物やら錠剤やらパウダーやら、いろんなものがいくつものメーカーから発売されています。その主成分はクルクミン。別名ターメリック、カレーにも入っているやつです。調べてみましたが、クルクミンが肝臓の働きをよくする、そして、経験的にアルコールの悪い影響をなくす、ということはわかっているけど、実際にどんなメカニズムで効いているかはよくわかっていないようです。あれだけ飲まれているのに、ちょっと意外です。
ふたつめはアミノ酸系。ウコン系が苦くてやや飲みにくいのに比べると、こちらは味付けがよろしくて飲みやすい。アミノ酸を混合したものだけでなく、肝臓水解物、しじみエキス、牡蠣エキス、とかそれぞれ成分に特徴がありますが、おおむねアミノ酸系+αと考えていいでしょう。
こういったサプリメントにも、肝臓の働きをあげる、といった漠然とした書き方がされているだけで、アルコールそのものの代謝にどの程度関係しているのか、というのはいまひとつわかりません。
P154
吸収、代謝がすんで、三つ目は排出です。摂取されたアルコールの一部は、汗、尿、呼気などから直接出て行きます。ただし、通常の状態では、その量がたかだか摂取量の10%以下とされています。~中略~
ついでにいうと、漢方薬である五苓散は二日酔いに効くとされています。うれしいことに、このお薬は、体の中の水の分布をただすことによって、悪心、嘔吐、頭痛といった悪酔いや二日酔いの症状をすべてやわらげてくれるそうです。
(あまり)病気をしない暮らし
仲野徹 (著)
晶文社 (2018/12/6)
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