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五倫五常 [学問]

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私が教えの道を志した動機から話そう。「孟子」(籐文公(とうぶんこう)上篇)に、こんな言葉がある。

「人には人としての道が備わっている。だが、飽きるほどたらふく食べ、ぬくぬくとした衣服を着るといった自堕落な暮らしを続けて、何の教えも受けないのは、鳥や獣に近い生き方である。
民がそのようになるのを憂慮した古(いにしえ)の伝説の聖人舜(しゅん)は、重臣の一人である契(せつ)に命じて人としての「五倫の道」を教えさせた。
五倫とは、父子間の親愛、君臣間の礼儀、夫婦間の区別、長幼間の順序、盟友間の信義を指す」(人の道あるや。胞食煖衣(だんい)、逸居(いつきょ)して教え無ければ、則と禽獣(禽獣)に近し。
聖人これを憂うることありて、契(せつ)をして司徒(しと)たらしめ、教ふるに人倫を以てす。父子親あり、君子義あり、夫婦別あり、長幼序あり、盟友信あり)
 これら五つの人倫の道をわきまえるようになるのが、学問の功徳なのだ。
このことから、古の人たちの学問に対する取り組む姿勢を知るとよい。「君子は、本(もと)を務(つと)む」(君子は、物事の根本を理解しようと努力する)と、「論語」(学而(がくじ)篇)にあるように、学問では根本を重視して学ぶことが大切である。
 ※五倫 「五常」と合せて「五倫五常」と表現されることも多い。本文にあるように、①父子間の親愛、②君臣間の礼儀、③夫婦間の区別、長幼間の順序、⑤盟友間の信義から成る「五倫」に対し、「五常」は①仁、②義、③礼、④智、⑤信で、「五徳」という場合もある。
徳目が重なっているように思えるが、五倫は対象を絞り、五常は対象を絞っていない点が異なる。
滝沢馬琴の小説「南総里見八犬伝」では「五常」の順を少し変え、三つ加えて「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌(てい)」の八つとした。

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人倫の道は、その大本(おおもと)を天に発し、仁・義・礼・智という四つの徳(良心)が中心で、「それ以外に学問の道はない。失ってしまった徳を求めるだけだ」(学問の道は他なし。その放心(ほうしん)を求むるのみ)と「孟子」(告子(こくし)上篇)は説明している。
この心を胸に深く刻んで、聖人の行った足跡を見聞し、手本とすることが大事である。

石田梅岩『都鄙問答』 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ14)
石田梅岩 (著), 城島明彦 (翻訳)
致知出版社 (2016/9/29)

 

DSC_6287 (Small).JPG丹生川上神社下社


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