商人の道 [処世]
遠い昔、自分のところで余った物を、不足している物と物々交換することで、相互間に流通させたのが、商人の発祥(おこり)とのことだ。商人は、銭勘定に精通することで日々の生計を立てているので、一銭たりとも軽視するようなことを口にしてはならない。そうした日々をこつこつと積み重ねて富を貯えるのが、商人としての正しい道である。
その場合の”富の主人(あるじ)”は誰かというと、世の中の人々である。買う側と売る側という立場の違いはあっても、、主人も商人自分も互いの心に違いはないのだから、一銭を惜しむ自分が気持ちから推し量って、売り物の商品は大切に考え、決して粗末に扱わずに売り渡すことだ。そうすれば、買った人も、最初のうちは金が惜しいと思うようなことがあっても、商品のよさが次第にわかってくると、金を惜しむ気持ちはいつの間にかなくなるはず。
~中略~
いわずもがなのことであるが、商人は、国の法をよく守り、わが身をよく慎まなければならない。商人といえども、人としての道を知らずに金儲けをし、しかも不義の金を儲けるようなことがあっては、やがては子孫が絶える結果を招きかねない。心底から子々孫々を愛する気持ちがあるなら、まず人としての正しい道を学んで家業が栄えるようにするべきであろう。
その場合の”富の主人(あるじ)”は誰かというと、世の中の人々である。買う側と売る側という立場の違いはあっても、、主人も商人自分も互いの心に違いはないのだから、一銭を惜しむ自分が気持ちから推し量って、売り物の商品は大切に考え、決して粗末に扱わずに売り渡すことだ。そうすれば、買った人も、最初のうちは金が惜しいと思うようなことがあっても、商品のよさが次第にわかってくると、金を惜しむ気持ちはいつの間にかなくなるはず。
~中略~
いわずもがなのことであるが、商人は、国の法をよく守り、わが身をよく慎まなければならない。商人といえども、人としての道を知らずに金儲けをし、しかも不義の金を儲けるようなことがあっては、やがては子孫が絶える結果を招きかねない。心底から子々孫々を愛する気持ちがあるなら、まず人としての正しい道を学んで家業が栄えるようにするべきであろう。
石田梅岩『都鄙問答』 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ14)
石田梅岩 (著), 城島明彦 (翻訳)
致知出版社 (2016/9/29)
P63
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