お子ちゃまの脳 [雑学]
P172
長い休みが終わるとき、子どもに異変が起き始めます。体調を崩し、情緒不安定になり、攻撃的になったり押し黙ったりします。一年で最も子供の自殺率が高くなるのは8月の終わりだといいます。
たしかに日曜の夜には大人でもネガティブな感情を抱えることがあるのですから、もう少ししたら学校だ、となれば憂うつな気持ちが強くなるのも理解できます。けれども、子どもの脳には大人よりもずっとこのストレスが重くのしかかっているのです。
~中略~
子どもの脳が大人の脳と特に異なる点は、ストレス耐性です。
子どもの脳は大人と比べるとずっとストレスに弱い。その特性から、不安障害にもなりやすいと考えられています。
P175
10代は「若気の至り」と言われるほど衝動的で計画性に欠け、後先考えず危険な行動に走りやすく、感情を抑えることが大人に比べると難しい。集中力や根気がなく、イライラしやすく、誘惑に弱いものです。
とはいえ、本稿を読まれた10代の読者、もしくはその養育者の方に、自分または子どもにこうした性質が当てはまっても、多くの場合心配はいらないとお伝えしておきましょう。
10代の脳とはそういうものだからです。これらを制御するコントロールセンターは20歳になってもまだ建設中なのです。
P176
成人後にも神経細胞が新生することがわかり(逆の主張をする文献もありますが)、さらに20歳前後の脳は完成するどころか、かなりの部分が未熟な、いわば「子どもの脳」であるということも示されました。この年齢では、まだまだ判断力も知的能力も成長を続けている最中だということが明らかになってきたのです。
中でも、知的能力を担う前頭前野と、情動の座である扁桃体は未熟であり、20代になっても成長は続いていきます。
空気を読む脳
中野 信子 (著)
講談社 (2020/2/20)
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