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「ごまかす気持ち」は感染する [社会]

 以上の結果を考え合わせると、ごまかしがごくあたりまえに行われること、そしてごまかしには感染性があり、周りの人の問題行動を目撃することで量が増える場合がることがわかる。
具体的言うと、わたしたちをとり巻く社会的な力は、二つの方法で作用するように思われる。ごまかしをする人が自分と同じ社会集団に属しているとき、わたしたちはその人を自分と重ね合わせ、ごまかしが社会的により受け入れられやすくなったと感じる。
だがごまかしをする人がよそ者だと、自分の不品行を正当化しにくくなり、その不道徳な人物や、その人が属するほかの(ずっと道徳性の低い)外集団から距離を置きたいという願望から、かえって倫理性を高めるのだ。
 より一般的には、わたしたちが自分の行動(ごまかしをふくむ)の許容範囲をきめるうえで、他人の存在がとても重要だということを、これらの結果は示している。
わたしたちは自分と同じ社会集団のだれかが、許容範囲を逸脱した行動をとるのを見ると、それに合わせて自分の道徳的指針を微調整し、彼らの行動を規範としてとり入れるのだろう。その内集団のだれかが、権威のある人物―親や上司、教師、その他尊敬する人―であれば、引きずられる可能性はさらに高くなる。

ずる―嘘とごまかしの行動経済学
ダン アリエリー (著), Dan Ariely (著), 櫻井 祐子 (翻訳)
早川書房 (2012/12/7)
P231

ずる 嘘とごまかしの行動経済学

ずる 嘘とごまかしの行動経済学

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/01/25
  • メディア: Kindle版

 

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銀行 [社会]


 事業家がよく銀行へ行って腹を立てるのはそれだ。「おれはこういうことをやるんだから金を貸せ」というと、さっそく審査部、調査部へ回して、この仕事は安全か、安全でないか、有利か有利でないかということを一ヵ月も二ヶ月も調べる。こちらは明日にも金が欲しいのである。
いわゆる気合だ、機をつかんでやらなければ仕事にならない。この安全第一主義はのんべんだらりと調べて、「こういう仕事は当行としてはまだ手がけたことがない。先例がないからお断り申しあげる」などと、三ヶ月も待たせて断ったりする。
ところが出来上がった大企業などに対しては争って金を貸したがる。絶対に貸し倒れはないから安全だし、そして儲かる。だからそれほど必要のないところへも「貸してやるから使わないか、使わないか」という。本当に差し迫って必要なところへは一向に金を貸さない。
そこで「銀行とは何ぞや。金の要らぬ者に金を貸して、要るところへ貸さないところを銀行という」なんて定義がアメリカにあるところをみると、どこも同じだろうと思う。

知命と立命―人間学講話
安岡 正篤 (著)
プレジデント社 (1991/05))
P104


人間学講話第6集 知命と立命 (安岡正篤人間学講話)

人間学講話第6集 知命と立命 (安岡正篤人間学講話)

  • 作者: 安岡 正篤
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 1991/05/27
  • メディア: 単行本

 



DSC_1966 (Small).JPG旭川市旭山動物園


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可能性はゼロではない [社会]

 原子力安全委員会の委員長で、原子力工学の専門家である斑目(まだらめ)春樹・元東大教授は四年前、「(あらゆる事態を想定していたら)原発は作れない」と国会で答弁した。
 それを言っちゃあ、おしまいよ、とつっこみを入れたくなるが、まさに人間の営みの限界を言い当てている。
 人間とはしょせんその程度であって失敗するものなのだ、という思想において、欧州の人たちは日本人より賢明だ。 「ネバー・セイ・ネバー」(絶対ない、とは絶対言うな)。これが、人工的なシステムを構築する時の命題になっている。
 日本だって、科学者や技術者全員が「100パーセント安全も、リスクゼロもない」ことを知っている。だが、それが社会に根付く過程で「安全神話」になるのは不思議だ。
 たとえば自分の街に原発を建てたいという電力会社の人がこんな説明をしたら、真っ先に反対する。
「この原発は、一定の確率で必ず事故を起こします」
 だが、「絶対に事故を起こさないとは言えませんが、あり得る事態を想定して、全力で安全対策を講じます」と言われたら、少しは考えてみようかなと思うだろう。
 しかし、その言葉を裏返せば「想定外のことが起きたら保証の限りではありません」という事実が隠れている。それが今回の本質だ。
 彼らが「想定外」を免罪符にするのは論外だが、私たちも「想定外の事態が手に負えなくなるようなことには手を出さない」という賢明さを求められている。それも甘受するというなら別だけれども。

気になる科学 (調べて、悩んで、考える)
元村有希子 (著)
毎日新聞社 (2012/12/21)
P204

気になる科学 (調べて、悩んで、考える)

気になる科学 (調べて、悩んで、考える)

  • 作者: 元村有希子
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
  • 発売日: 2012/12/20
  • メディア: 単行本

 

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個としての存在と社会的存在 [社会]

ヨーロッパ近代において明確にそのすがたをあらわす自由で自立した個人は、その内面からすれば、「われ思う、ゆえにわれあり」というかたちで自分の思考と存在を確信する個人であり、社会にたいしては、「人は、自由かつ権利において平等ものとして出生し、かつ生存する」というかたちでおのれの人権を主張する個人である。
 こういう個人は、社会生活において、なによりもまず自分の存在や価値をつらぬこうとする。どんな関係のなかでも、自分を失わないことがなにより大切なことなのだ。そういう個人は、他人にもその存在と価値をつらぬいてほしいと願うし、自分を失わないでほしいと願う。
近代社会を個人主義の社会だというとき、いう意味は、そのようにおのれをつらぬく個人を基本的な単位とする社会だということである。
 そういう個は、容易に和やまとまりを作りだしはしない。外からくる力にたいしては、つねに警戒と抵抗のかまえをくずさず、内面の確信にもとづくのでないかぎり、これを受けいれようとはしない。歴史的に見て、神や王権の支配と対決するかたちで個の自由や自立が主張された経緯からしても、個が容易に統合へとむかわないのは当然だったのだ。

新しいヘーゲル
長谷川 宏(著)
講談社 (1997/5/20)
P24

新しいヘーゲル (講談社現代新書)

新しいヘーゲル (講談社現代新書)

  • 作者: 長谷川宏
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/05/17
  • メディア: Kindle版

 

DSC_4650 (Small).JPG求菩提山

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寡頭政治の台頭 [社会]

  米国では誰もが政治プロセスに公平に参加できるとされているが、実際には億万長者には有利でも持たざるものには不利になっている。
金持ちはロビイストを雇うことができるし、政策を彼らの有利にするようなレポートをシンクタンクに出資して書かせることもできる。
また、(コーク兄弟とウォーカー知事のように)政治家を買収することもできる。
紙の上では一人一票だが、このような現実をみると、民主主義というよりも一握りの富裕者に支配される寡頭政治が行なわれている、とクルーグマンは言う。
~中略~

民主主義の本質と言われる「人民の人民による人民のための政治」というリンカーンのことばをもじり、経済学者ジョセフ・スティグリッツはこれを「一%の一%による一%のための政治」と言う。

米国に広がる民主主義の崩壊と寡頭政治の台頭
  金克美 (ライター、翻訳家=TUP)

世界 2011年 06月号

岩波書店; 月刊版 (2011/5/7)
P28

世界 2011年 06月号 [雑誌]

世界 2011年 06月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/05/07
  • メディア: 雑誌

 

-00338.jpg善光寺本堂
タグ:金克美
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考古学者たちはサインを出していた [社会]


 いま思えば、考古学者たちは震災前からサインを出していた。仙台平野に沓形(くつかた)遺跡という約二〇〇〇年前の弥生時代の遺跡がある。
震災の五年前から本格的に発掘され、当時は二キロ(現在は四キロ)内陸のこの遺跡から津波の砂の層が発見されていた。砂は分厚いところで五センチを超えていた。
集落は津波で徹底的に破壊され、再び人が住みはじめたのは津波から四〇〇年後という衝撃的な事実もわかっていた。
 つまり、仙台平野は約二〇〇〇年前、約一一〇〇年前(貞観津波)、四〇〇年前(慶長三陸津波)、そして二〇一一年(東日本大震災の津波)と、はっきりしているだけで、二〇〇〇年間に四回もの大津波に襲われている。
いずれも内陸四キロ前後まで浸水。五〇〇年前後の周期性をもったきわめて反復性の高い自然現象であったことがわかる。


天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災
磯田 道史 (著)
中央公論新社 (2014/11/21)
P191



天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 (中公新書)

天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 (中公新書)

  • 作者: 磯田 道史
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/11/21
  • メディア: 新書



 





DSC_1627 (Small).JPG普明山高野寺


タグ:磯田 道史
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自然と向き合う [社会]

 自然の恐ろしさ、そして厳しさを一番よく知っているのは自然を相手に生きてきた漁師や農家でもある。
それゆえに傷つき落ち込みもするのかもしれない。しかし同時に自然の持つ大きな可能性や魅力を知っているのも農家であり、漁師である。

漁業の再生と食の未来
  結城登美雄(民俗研究家)

世界 2011年 05月号
岩波書店; 月刊版 (2011/4/8)
P242

世界 2011年 05月号 [雑誌]

世界 2011年 05月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 雑誌

  -28b0b.jpg平尾台1

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震災に際し、重要な視点 [社会]

第一に、一人ひとりが能動的に考え、行動すること。未曾有の事態に、マニュアルはない。
一人ひとりが、なにが大切か、なにができるか、自らの頭で考え、行動することが大切だと思う。

第二に、日々の、日常の生活を大切にすることである。
~中略~

最後に、最も重要なのは、共感だと思う。現場から私がメールを送り続けた、経験豊かな先生からは「なにもできませんが、すこしだけでも、共感を通して重荷を背負うことができました」というメールをもらった。
そしてその気持ちは、被災者の方々にも伝わるはずだと信じている。

医療支援はどう始まったか──岩手県からの報告
  山本太郎 (長崎大学熱帯医学研究所)

世界 2011年 05月号

岩波書店; 月刊版 (2011/4/8)
P223

世界 2011年 05月号 [雑誌]

世界 2011年 05月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 雑誌

 

-e1d20.jpg足立美術館


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豊かさ [社会]

友人たちに冗談で言ったことはある。-大震災でもあればオール電化生活は破綻する。だから半分は昔ながらの生活スタイルを維持しておいた方がいい―。

~中略~
 翌朝、水道は使い物にならなかった。車に大鍋、やかん、ポリ容器など、ありったけのものを積んで出発した。

~中略~
雑木林のふもとに一軒家が見えた。煙突から白い煙が立ちのぼっている。薪ストーブの煙だ。一軒家の前に、樹齢千年と言われれば思わず信じ込んでしまいそうな桂の巨木がそびえ立っている。
秋には燃えるような黄金色の葉群があたりを圧倒する。その根元から清水が湧き出ているのだ。
 一軒家の中川さん宅の薪小屋に積まれている薪の量は半端ではない。働き者の家だ。

戸口を開け、大声で、「神様の水をもらいにきた」と叫ぶ。すると、中川のおばさんが居間からふくよかな顔をみせた。
「 久しぶりだこと。山が揺れたから、少しは砂が混じっているかもしれねえよ」

幸ひ思ひ出立申すべし
  簾内敬司 (作家)

世界 2011年 05月号

岩波書店; 月刊版 (2011/4/8)
P232

世界 2011年 05月号 [雑誌]

世界 2011年 05月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 雑誌

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現代版流言飛語のシステム [社会]

 一九二三年九月一日、相模湾を震源とするM七・九の地震に襲われ東京は灰燼と化した。関東大震災である。
~中略~
 NHKのラジオ放送が始まったのは一九二五年であり、国民の情報源は専ら新聞であった。多少誇張した噂話が「朝鮮人と社会主義者の諜略と暴動」という流言飛語となって増幅され、被災者の恐怖心を煽り、とんでもない惨劇を生んだ。
~中略~

芥川龍之介は「中央公論」一九二三年一〇月号に「大震雑記」と題して寄稿し次のように述べた。
「僕の所見によれば、善良なる市民というものは、ボルシェヴィッキと○○○(伏字で挑戦人の意)との陰謀の存在を信ずるものである。もし万一信ぜられぬ場合は少なくとも信じているらしい顔つきを装わねばならぬものである」

彼らしい歪曲な言い回しだが、異様な時代の空気を伝えている。

 今日メディア環境は激変し、活字媒体に加え電波メディア、さらに際立った特色として一億台を超すまでに普及した携帯電話とツイッターなど、ネットワーク情報技術の進化がある。
安否確認から事態の展望まで驚くほどの情報がネットを駆け巡る。しかも国境を越えて。
これが現代版流言飛語のシステムともなる。

脳力のレッスン 109
緊急編 東日本大震災の衝撃を受け止めて──近代主義者の覚悟
  寺島実郎

世界 2011年 05月号

岩波書店; 月刊版 (2011/4/8)
P78

世界 2011年 05月号 [雑誌]

世界 2011年 05月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 雑誌

 

  -222a9.jpg龍蔵寺12

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国会 [社会]

民主主義制度のもとでは、法律を作るのは、国王でも、大統領でも、総理大臣でもなく、国民自身なのである。そこでは、国王でも、大統領でも、総理大臣でも、その他いかなる公務をつかさどっている人々でも、国民の作った法律には従わなければならない。
ただ、国民が直接に法律を作る代わりに、それを国民の代表者たる国会に任せるのである。国会の仕事がいかにたいせつなものであるか、有能で忠実な国会議員を選ぶことが国民にとってどんなに重要であるかは、これによってよくわかるであろう。~中略~
今日の国家の法律は非常に複雑な発達を遂げている。したがって、よい法律を作るためには、専門の知識がいるし、よくよく利害得失を考えてかからなければならない。
それを、法律についてはしろうとが多い国民が決めるということになると、かならずよい結果が得られるというわけにはいかない。まして、国民が、いいかげんな判断や、物好きな気持ちなどで投票をすれば、せっかく苦労してできたよい法律案が否決されてしまうということにもなる。
それに、何千万というような人口を有する国家で、一々の法律案を国民に示し、国民の投票によって可否を決するということは、たいへんな手数と暇とがかかる。そこで、実際には、高い見識と深い経験とを持った人々を集めて国会を組織し、法律の制定は国会に任せて、国民は国会議員を選挙するにとどめておく方が、かえってぐあいがよいということになる。
それが代表民主主義であって、今日の大部分の民主国家では、この方法が制度として採用されている。

民主主義
文部省 (著)
KADOKAWA (2018/10/24)
P88

民主主義 (角川ソフィア文庫)

民主主義 (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 文部省
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/10/24
  • メディア: Kindle版

DSC_5916 (Small).JPG宝満山


タグ:文部省
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不況の時は減税 [社会]

魯の哀公が、有若(ゆうじゃく)にたずねられた。
「ことしは不作で、財源が不足している。どうして補ったらよかろうか」
有若がかしこまっておこたえした。
「どうして十分の一をとる徹の税法になさらないのですか」
哀公がいわれた。
「十分の二の税を取り立てても、まだ不足しているのに、十分の一税法にしたらどうなるだろう」
有若はかしこまってこたえた。
「人民たちの生活が足りていれば、殿さまはいったいだれといっしょに足りないといわれるのですか。
人民たちの生活が足りないならば、殿さまはだれといっしょに足りるといわれるのですか」


                  論語

           孔子 (著), 貝塚 茂樹

                       中央公論新社 (1973/07)

                       P334

論語 (中公文庫)

論語 (中公文庫)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1973/07/10
  • メディア: 文庫


台湾DSCF0002 (33).JPG

つづき


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地域社会が無くなる [社会]

 国土交通省の「国土のグランドデザイン2050」(2014年)が、三大都市圏を除いた地域において主なサービスごとに立地必要な需要規模を、「存在確率50%」と「存在確率80%」という形で計算している。
「存在確率50%」とは、その人口規模を下回ると、廃業や撤退するところが出てくるラインだ。逆に「存在確率80%」とされる人口規模であれば、ほぼ存在し得る。
 次ページの図をご覧いただきたい。たとえば、食料品の小売店や郵便局、一般診療所の存在確率は80%は500人だから、その人数規模の集落であればこうした事業は成り立つ。
一方、介護老人福祉施設では4500人の人口規模なら存在確率は80%だが、500人では50%。銀行は9500人の人口規模の自治体であれば存在するが、6500人になると撤退を始める。一般病院は2万7500人規模の自治体ならほぼ存在するが、5500人になると、あったりなかったりする。
~中略~
 2040年時点での人口規模が2万人以下になるとペットショップや英会話教室が、1万人以下では救急病院や介護施設、税理士事務所などが、5000人以下になると一般病院や銀行といった日常生活の中でよく利用するサービスまでもが姿を消す。 

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること
河合 雅司 (著)
講談社 (2017/6/14)
P90

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

  • 作者: 河合 雅司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/06/14
  • メディア: 新書

KIMG1812 (Small).jpg北九州市

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親や仲間と過ごす権利 [社会]

 一日の終りに疲れてテレビをつけると、チンパンジーが面白おかしいことをしている。それを見て、人があっはっと笑う。
 それは人間としてよくない。
 チンパンジーを見世物や金儲けの道具にしてはいけない。
母親や仲間と離れて暮らすと、チンパンジーの挨拶や性行動ができなくなる。

おぼえておいてほしい。テレビにでてくるチンパンジーの顔は肌色だ。あれは子どもの特徴だ。
子どもは肌色の顔をしていて、大人になると真っ黒な顔になる。
つまり、テレビの番組やコマーシャルに出てくるのはみんな子どもである。本来は母親と一緒にいなければいけない年齢の子どもだ。
そういしたチンパンジーを、いろいろな理由をつけて母親から引き離している。
~中略~

 どんな理由があっても、たとえ死にいたったとしても、チンパンジーの子どもを母親や仲間から引き離してはいけない。
彼らには親や仲間と過ごす権利がある。
それを踏みにじってよいという権利は人間の側にない。

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心
松沢 哲郎 (著)
岩波書店 (2011/2/26)
P126

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心

  • 作者: 松沢 哲郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/02/26
  • メディア: 単行本

 

-e0896.jpg金剛輪寺本堂1

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ブランド水産物 [社会]


いま、日本のいたるところで多種多様な「ブランド水産物」が行政の支援を受けて喧伝されています。
大分県の佐賀関の「関アジ」や「関サバ」などは全国的に著名で、有名デパートなどでびっくりするよな値段で売られています。それ以外にも、「××イカ」「△△漁港のブリ」等々、様々な「ブランド魚」の名前を魚屋やスーパー、居酒屋などで目にします。
 しかし、このようなブランド化は必ずしも生産者に安定的な利益をもたらしている訳ではありません。大間のマグロ一本釣り漁師や、佐賀関のアジ・サバ一本釣り漁師は、実際にはそれほど儲かっていないのです。

日本人が知らない漁業の大問題
佐野 雅昭 (著)
新潮社 (2015/3/14)
P123


日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書)

日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書)

  • 作者: 佐野 雅昭
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/03/14
  • メディア: 新書

 


DSC_1920 (Small).JPG旭川市旭山動物園


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イチャモンつけて楽しむ人 [社会]


 ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんが、息子さんの「ニンテンドー3DS」を真っ二つ折って壊した。平日のゲームは禁止という決りを九歳の息子さんが破ったからだという。
 その顛末(てんまつ)を高嶋さんが新聞のコラムに書いたところ、忽(たちま)ちネット上で大炎上した。
それを「ゲーム機バキバキ事件」というそうだ。ネット上の大炎上とは「子供への虐待」「やり過ぎ」とか「子供の気持ちをわかろうとしない親はバカ」とか、「任天堂に謝れ」なんてものまであったらしい。なぜ任天堂に謝らなければならないのだろう。私にはよくわからないが、要するに当節は興奮すると味噌もクソもいっしょくたにして文句を楽しむ人がイチャモンをつけて溜飲を下げる趣味というか、生甲斐というか、いや、流行性の病のようなものというべきか。
イチャモンつけの元祖である私でさえただ呆気にとられるばかりである。


九十歳。何がめでたい
佐藤 愛子 (著)
小学館 (2016/8/1)
P180




九十歳。何がめでたい

九十歳。何がめでたい

  • 作者: 佐藤愛子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/08/01
  • メディア: 単行本












DSC_2657 (Small).JPG荒神谷遺跡

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リアルな死がない時代 [社会]

 生の重みが「現実感を失っている」と言われて久しい。イラク戦争やイスラエル軍のガザ地区侵攻など、テレビのニュースで大量の死を日々、目にする。 ゲームの仮想画面では、キー操作で簡単に登場人物の生死を操ることもできる。一方で、家庭ではなく病院で死ぬ人が増え、死にゆく姿を間近で見ていない子どもが増えた。
 子どもらの死に対する意識調査をしてきた上越教育大学(新潟県上越市)の得丸定子教授(57)は、「身近な誰かが亡くなったとき、大人が死の話題を避けたり強く悲しんでいたりすれば、子どもたちはなおさら「言っちゃいけないんだ」と抑え込んでしまう」と話す。
 子どもの心に抑え込まれた悲観は、心身症や自殺の衝動にも、つながりかねない。「泣いていい、話していいんだよ、と大人が言うだけで違ってくる。適切なケアを受けないまま、死別の痛みを引きずり、成長してからも苦しみ続ける人が多い」と得丸さん。
 松本短期大学(長野県松本市)の常勤講師、山下恵子さん(47)も「生命倫理」の授業で、自らが三歳の長女を亡くした体験を学生たちに話している。葬儀に「一度も出たことがない」という学生も多いが、「死を子供たちから隠すのではなく、自然な形で教える必要がある」と考えている。
「まずは、子どもを育てる大人自身が、死の受け止め方を学ぶ必要がある」と、長野大学の小高教授は二〇〇九年五月、地域の医療関係者や主婦らといっしょに「上田・生と死を考える会」を設立した。悲嘆のプロセスや「死への準備教育」などを学ぶ勉強会を開いている(→解説32)

大切な人をどう看取るのか――終末期医療とグリーフケア
信濃毎日新聞社文化部 (著)
岩波書店 (2010/3/31)
P162

大切な人をどう看取るのか――終末期医療とグリーフケア

大切な人をどう看取るのか――終末期医療とグリーフケア

  • 作者: 信濃毎日新聞社文化部
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/03/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

TS3E0624 (Small).JPG戸上神社秋季大祭

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ファストフィッシュ [社会]

  ファストフィッシュ(Fast Fish)は「現代の魚のファストフードを目指す。ファストファッションのように、気軽に楽しめるおいしい魚食という意味」と定義されています。
「ガイジン」化する若者に焦点を合わせた消費拡大策は正しいし、そこを何とかしなければなりません。
 しかし、「ファスト○○」というのは、そんなに持てはやされるべきものなのか。グローバル化・大規模化・効率化を徹底的に追及することで低コスト化と企業利益の最大化を図るというのが、ユニクロに代表されるファストファッションでした。それと同じような発想で、水産物の消費拡大を考えるのはどうなのか。
本当に「魚の国のしあわせ」にたどり着けるものでしょうか。
 すでにスーパーの水産物売り場では、「ファストフィッシュ」のロゴマークが付いた商品がたくさん並べられています。これらの中には、「安価な輸入魚を骨取り加工し、冷凍・解凍を経て失われた旨味をチーズやガーリックなどのスパイシーな洋風ソースで補った、電子レンジ加熱用のレトルト食品」などもみうけられます。魚本来の旨味が抜け、骨抜き作業で形崩れしたものを結着剤で形を整えているから、魚には合わない濃いスパイシーなソースやタレが必要になるのです。
 複雑な加工や国際的な物流にはコストがかかります。しかし「ファスト」であるためには、安く売らなければなりません。当然、原料費は余計に低く、抑える必要があります。多くが安価な輸入物を原料としており、国産で質の高いものはなかなか使えません。コストの低い海外での加工も見られます。

日本人が知らない漁業の大問題
佐野 雅昭 (著)
新潮社 (2015/3/14)
P137


日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書)

日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書)

  • 作者: 佐野 雅昭
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/03/14
  • メディア: 新書

 



DSC_1924 (Small).JPG旭川市旭山動物園

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養殖の矛盾 [社会]


 現在の養殖はとても安定的に利益を生み出せる産業ではありません。現実に、廃業も相次いでいます。
では、なぜ、こうなるのか。それは、養殖の対象となる「価格が高い」はずの高級魚が、養殖が発展すればするほど「価格が安い」大衆魚になるからです。養殖魚がずっと高級魚のままなら、回転寿司では食べられません。
~中略~
 利益が大きい養殖には新規参入者が増え、全体の生産量はどんどん拡大していきます。
並行して養殖技術が向上し、生産効率もさらに高まっていく。他方、それを販売する国内市場の規模は限定されているので、やがて飽和状態になり、供給量が需要量を超えるようになると値崩れを起します。

日本人が知らない漁業の大問題
佐野 雅昭 (著)
新潮社 (2015/3/14)
P77


日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書)

日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書)

  • 作者: 佐野 雅昭
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/03/14
  • メディア: 新書

 



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価格の向こう側 [社会]

   モノの価格とは不思議なものだ。その高さを自慢する場合もあれば、いかに安く買ったかを競うこともある。まさに評価はその時と場合による。

~中略~
「お客様のために」を旗印に、価格競争を競う流通。その裏で、命の糧を生産する一次産業に後継者がいない最大の理由は、食べ物を作る人が食えない状況にあるからだ。「外国と仲良くしておけば、いつでも買えるさ。」という考え方もあるが、将来日本に米を作り、魚を捕る能力、すなわち「自給力」がある人々がいなくなれば、農地はただの地面であり、海はしょっぱい水にすぎない。国力は衰え、量の安心・安全は確実に揺らぐ。

食卓の向こう側〈第12部〉価格の向こう側
西日本新聞社 (2009/09)
P4


食卓の向こう側〈第12部〉価格の向こう側 (西日本新聞ブックレット)

食卓の向こう側〈第12部〉価格の向こう側 (西日本新聞ブックレット)

  • 作者: 西日本新聞社「食くらし」取材班
  • 出版社/メーカー: 西日本新聞社
  • 発売日: 2023/08/26
  • メディア: 単行本

 

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水産物の流通 [社会]


 まず漁業者が漁獲物を漁港に水揚げします。それを漁協が受け取り、漁港内にある荷捌(にさば)き所で競売(セリか入札)を行います。
競り合うのは「買受人」と呼ばれる業者たちで、干物や缶詰などの原料を仕入れる加工業者、地元の消費者に販売する小売店、他に転売する「仲買人」などがいます。セリでは他の業者よりも高い価格を提示しないと欲しいものが買えないので、彼らの競争はシビアです。
 漁業者はセリで売ったお金をもらい、そのうち5%程度を手数料として漁協に支払います。~中略~ ここまでが「産地卸売市場」になります。
 さて店売目的で水産物を購入した仲買人のうち、消費地に水産物を出荷していく業者を特に「出荷業者」と呼びます。出荷業者はセリで落札した水産物を「目利き」し、それが一番高く売れそうな全国の「消費地卸売市場へと出荷します。彼らは全国各地の消費地卸売市場における相場情報を常時収集し、その魚をどの市場に出荷すれば一番高く売れそうか、を的確に判断します。
 出荷された魚を消費地卸売市場で受け取るのが「荷受」(卸売会社)です。荷受は全国の出荷業者から、消費地で食べられる大量かつ多種多様な水産物を毎日集めています。例えば築地市場は、東京都民のために魚を集める国内最大の消費地卸売市場です。
 そこで二回目の競売が行なわれます。出荷業者はセリで決まった売上金額を手に入れますが、そのうち5~7%程度を、セリの手数料として荷受に支払います。~中略~
 消費地卸売市場での競売に参加する業者の多くは「仲卸」と呼ばれる業種です。仲卸は卸売市場内に小さな店舗を構え、競り落とした水産物をそこで販売します。一般人がそこで買うことは禁じられていて、許可を与えられた「買出人」(小売業者や寿司屋などの飲食店)だけが、仲卸の店舗で水産物を買うことができます。
~中略~
 各業種の中で厳しい競争があることで高い品質と公正な価格が守られ、経路全体としての効率性が高められています。漁師と個々の消費者の双方にとって信頼できる公共インフラと言えるでしょう。多くの食品流通研究者に「近代の傑作」(例えば秋谷重男「中央卸売市場」、日経新書)と称される所以でもあります。

日本人が知らない漁業の大問題
佐野 雅昭 (著)
新潮社 (2015/3/14)
P97


日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書)

日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書)

  • 作者: 佐野 雅昭
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/03/14
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魚食文化の崩壊 [社会]

そこまでして、ウナギを食べなければならないのか。「食べられなくなる」と騒ぐ前に、そもそもの前提を考える時期ではないでしょうか。
 もともとウナギは自然の川の賜物で、希少な天然資源でした。美味しかったので、値段も高かったのは当然です。しかし高価格に惹かれて、日本で養殖が開始されました。~中略~
 食文化を守るために、養殖業者は規制を順守する。私たち消費者は、厳しい状況で踏ん張っている業者を応援するために、すこしぐらい高くても国産ウナギを選んで食べる。
行政は、早急に河川環境の回復に努める。未来にウナギという食文化を遺すには、そうやってみんなが少しずつ努力するしかないのです。


日本人が知らない漁業の大問題
佐野 雅昭 (著)
新潮社 (2015/3/14)
P14


日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書)

日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書)

  • 作者: 佐野 雅昭
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/03/14
  • メディア: 新書



 


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多死社会 [社会]

 人間は誰しも、遅かれ早かれ、いつかは最後の時を迎える。日本は高齢社会にあるが、次にやってくるのが「多死社会」ということになる。
2016年の年間死亡者数は130万7765人で戦後最多を更新した(厚生労働省の「人口動態統計月報年計」)。
 社人研の推計では、2030年に160万人を突破し、2039、2049両年の167万9000人でピークを迎える。その後ももしばらくは160万人レベルで推移する。
 その一方で、「多死社会」への備えはいまだに十分とは言えない。死亡者数の増大で懸念されることといえば、斎場や火葬場の不足だが、とりわけ逼迫(ひっぱく)しそうな地域が、高齢化が急速に進むとみられる東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)である。  

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること
河合 雅司 (著)
講談社 (2017/6/14)
P104

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

  • 作者: 河合雅司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/06/14
  • メディア: Kindle版

DSC_4397 (Small).JPG宇佐神宮

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効率主義は進歩だろうか [社会]

 まげものの底に、和紙または金あみを張った容器に、番茶をいれ炭火にかざして、ほうじる。
火が通ったら土びんにとり、すぐあつい湯をさす。しゅうっとさわやかな音をたて、芳香が立つ。
のんだあと、舌になんのなごりの味も止めていないのが身上の、ごく軽い風味である。だがさ湯とは全く違う。茶である。

お茶をほうじなくなったのは、ガスや電熱が炭火にかわったことと、人手間を省くことからだろうから、これは進歩である。 進歩は好きだが、私は炭火でほうじた番茶の味も、忘れかねている一人である。
即席というものは即席の役には立つが手間をかけたコクには及び難い。
(一九六三年 五十八歳)

 

幸田文 台所帖

幸田文 台所帖

  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2009/03/05
  • メディア: 単行本

幸田文 台所帖
幸田 文 (著) , 青木 玉 (編集)
平凡社 (2009/3/5)


P118
台湾DSCF0002 (45).JPG

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今必要なのは精神の向上 [社会]


進歩というものは、「人間の暮らしの向上」、ひいては「人間性の向上」のために必要なものであるべきだと私は考える。
我々の生活はもう十分に向上した。私は九十年生きてきているから、これだけははっきりいえるのだが、この九十年の間には国の浮沈にかかわる困難がありはしたものの、それをバネに私たちの生活は日に日に豊かになり便利にになり知的になった。そうして「もっと便利に」「もっと快適に」もっともっとと欲望は膨張していく。

九十歳。何がめでたい
佐藤 愛子 (著)
小学館 (2016/8/1)
P19


九十歳。何がめでたい

九十歳。何がめでたい

  • 作者: 佐藤愛子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/08/01
  • メディア: 単行本

 



DSC_2639 (Small).JPG一畑寺(一畑薬師)

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社会主観 [社会]

人間は自分一人で満足できるほど意志強固ではない。見せる相手がわかってくれる、世間みんなが認めてくれるものでなければ満足できない。つまり、人間の満足は主観的だが、その主観は世間の同意を得た社会主観なのだ。
 広告は、社会主観を創る。このブランドは高級だ、この店は一流だ、この俳優はすばらしい、巨人―阪神戦は伝統の一戦、サッカーのワールドカップは見る値打ちがある等々、いずれも「世間の評価」や「みんなの話」で創られた社会主観だ。
「「平成三十年」への警告」

堺屋太一の見方 時代の先行き、社会の仕組み、人間の動きを語る
堺屋 太一 (著)
PHP研究所 (2004/12/7)
P58

堺屋太一の見方 時代の先行き、社会の仕組み、人間の動きを語る

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  • 作者: 堺屋 太一
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2004/12/07
  • メディア: 単行本

 

IMG_0052 (Small).JPG大谷山荘

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地方創生人材を育てろ [社会]

P342
 「グローバル人材」とはせいぜい言われ出して一〇年ぐらいでしょう。九〇年代まではそんな言葉は使われなかった。
学生を採用する側の企業は、大学に対して、「学生たちにはぜひ基礎的な教養をつけてほしい」と言っていたのです。きちんとした日本語の読み書きができて、古典を読み、歴史や文学を学び、幅広い教養を身につけた人間を育てていただきたい、と。「専門教育は我々がやりますから、変な色をつけないでいただきたい。大学はリベラル・アーツ教育に専念して下さい」と。そう言っていたんですね。
 ところが、九〇年代に入ると話が変わる。採用する企業の側が「もう教養課程なんか要らない。第二外国語も要らない。一年生から専門過程を教えて、即戦力にして卒業させろ」と言いだしてきた。

P345
「世界で活躍できる機動性の高い人間として育てるのは教育的にはいいことじゃないか」と思う人もいるかもしれません。でも、僕はこれは学校教育の本質に背馳(はいち)する要求だと思います。<br.われわれが自分の子どもたちを成熟した市民として育てたいというのなら、そのとき理想とすべきは周りの人から「あなたがいなくなっては困る」と言われるような人のはずです。親族や地域社会の中心にいて、みんなから頼られる人、多くの人がその人の支援やアドバイスを当てにしている人、ネットワークのハブとして機能している人、利害が背反するような人々の間を周旋して、みんなが納得できる「落としどころ」を提示できる人、そういうのが成熟した市民の理想です。
その条件はひと言でいえば、周りの人たちから「あなたがいなくなったらとても困る」と言われることです。
"I can not live without you"というのはもっともつよい愛の言葉ですけれど、教育の目的はそのような言葉を告げられるような人間に育てることです。そのために学校教育をしてきたはずなのに、今「グローバル人材」として要求されるのは「いなくなっても誰も困らない人間」です。企業の都合であっちに行ったり、こっちに行ったり、定年まで世界中ぐるぐるまわることができる。そういう機動性の高い人間が求められている。
でも、これは言い換えると、「どこにも根をおろすことできない人間」のことです。親族からも、地域からも、誰からも頼りにされない。頼りにしようがない、すぐにいなくなってしまうんですから。誰とも親密な恒常的な関係を築けない。築くことができない。そういう人間がいま学生たちに自己形成のモデルとして提示されている。そういう人間であると宣言しなければ、就職試験に受からないんですから。

最終講義 生き延びるための七講
内田 樹 (著)
文藝春秋 (2015/6/10)

最終講義 生き延びるための七講 (文春文庫)

最終講義 生き延びるための七講 (文春文庫)

  • 作者: 内田 樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/06/10
  • メディア: 文庫

DSC_5027 (Small).JPG平尾台


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情けは人のためならず」のしくみの喪失 [社会]

  二〇世紀の社会科学がやってきたことは、理性の力だけでダイエットを成功させようとするようなことでした。自然科学の急速な発展をよそに、経済学や社会学をはじめとする社会科学がほとんど発展してこなかったのは、こうした間違った信念のためだったと言っても、決して過言ではないと思います。
~中略~
自分の利益を犠牲にして他人の利益をはかる人たちは、利己的な人たちに淘汰されて、とっくの昔に消え去ってしまっているはずなのに、そうなっていないのは不思議な話です。
~中略~
つまり、利他的に行動すると、結局はまわりまわって自分に利益が戻ってくるしくみが人間の社会にはずっと組み込まれていた。
~中略~ 
その結果見えてきたのは、現代の日本社会が直面している倫理の喪失とは、実は、倫理の底にある「情けは人のためならず」のしくみの喪失の問題だということです。

日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点
山岸 俊男 (著)
集英社インターナショナル (2008/2/26)
P2

日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

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  • 作者: 山岸 俊男
  • 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
  • 発売日: 2008/02/26
  • メディア: 単行本

 

DSC_6247 (Small).JPG 犬飼石仏

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デフレは社会問題 [社会]

インフレは経済問題だが、デフレは社会問題だ。
インフレの苦しみは、過去の蓄えが目減りする形で広く大多数の人々に降りかかる。
デフレの痛みは倒産や失業に陥る少数者に集中する。倒産も失業も心配ない公務員は、物価の値下がりと売り込みサービスの向上で、かえって楽しい満足が得られたりする。
徳川幕府八代将軍吉宗(在位一七一六~四五)以来、世の中を不況にした為政者の評判が良いのは、当時の武士、今なら公務員が褒めたたえるからだ。
「「平成三十年」への警告」

堺屋太一の見方 時代の先行き、社会の仕組み、人間の動きを語る
堺屋 太一 (著)
PHP研究所 (2004/12/7)
P101

堺屋太一の見方 時代の先行き、社会の仕組み、人間の動きを語る

堺屋太一の見方 時代の先行き、社会の仕組み、人間の動きを語る

  • 作者: 堺屋 太一
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2004/12/07
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IMG_0051 (Small).JPG大谷山荘


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プライバシーは死んだ [社会]

サン・マイクロシステムズの共同創業者であるスコット・マクニーリはかって
「プライバシーは死んだ。そこをは乗り越えろ(Privacy is dead.Get over it)」と言った。

 圧倒的な質と量のソーシャルグラフを誇るフェイスブックだが、そのデータ管理をめぐるプライバシーの問題は、今後さらに議論されることになるだろう。
また、私たちも自ら公開している個人情報が、思わぬ使われ方をされないという保証はどこにもないということを肝に銘じておくべきだろう。

 

山脇 伸介 (著)
Facebook 世界を征するソーシャルプラットフォーム
ソフトバンククリエイティブ (2011/1/19)
P137

Facebook 世界を征するソーシャルプラットフォーム (SB新書)

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  • 作者: 山脇 伸介
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2012/06/11
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-31f4b.jpg萩町城跡からの白川郷1

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