SSブログ

抗がんサプリメントは宗教である [医療]

抗がんサプリメントは医薬品ではなくあくまでも「食品」であるため、効果・効能を謳って販売することが薬事法によって禁じられている。
~中略~
本の裏表紙には「この本は特定の商品を推奨するものではありません」と印字されていた。
 そんなことを言われても、これが商品カタログに同封されていれば、患者はフコダインが効くのだと思いたくなるだろう。
藤倉善郎(ジャーナリスト)

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ
別冊宝島編集部 (編集)
宝島社 (2013/4/22)
P101

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ (別冊宝島 2000)

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ (別冊宝島 2000)

  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2013/04/22
  • メディア: 大型本

 

DSC_0914 (Small).JPG両子寺

さらに詳しく


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

病人はいなくなるのか [医療]

「医学が発達したというなら、病人が減らなきゃいけないのに、逆でしょ。事実は、増えている。病人だらけですよ。高血圧が3000万人とか4000万人。糖尿が2000万人いるとか。そんなバカな話はない。たいした証拠もないのに、上限が下げられている総コレステロール値。私が大学を卒業した頃は260以上だったのが、今は220。
血圧だって160以上だったのが140.糖尿の血糖値だって140以上だったのが今は126。学会が中心になって、下げてきている。下げてどうなるのか。病院ばっかり増えちゃう。
自覚症状はほとんどないのに、検診なんぞ受けるから、数値高いよと言われてしまう。誰だって異常だと言われると心穏やかじゃなくなるから、しょうがない病院いこう、となる。
中村仁一

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ
別冊宝島編集部 (編集)
宝島社 (2013/4/22)
P139

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ (別冊宝島 2000)

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ (別冊宝島 2000)

  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2013/04/22
  • メディア: 大型本

 

DSC_0920 (Small).JPG両子寺


タグ:中村仁一
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

アトピー [医療]

私がかつて勤めていた大学病院では、当時、奇病の研究には余念がなかったが、アトピーとわかると、研修医が当番制で務める「なんでも外来」に回されてしまい、まともな治療を受けられなかった。
 適当にステロイドの外用剤を出しておいて、それが効かなくなればもっと強いステロイドを出しておけばいい」といった具合で、どんどん症状を重症化させてしまうようなこともしばしばだった。~中略~
 街のクリニックの医師でも、皮膚科の専門知識がないにもかかわらず治療をおこなっているケースは多い。日本では、自分の専門外の分野であっても「標榜」して良いという制度になっているため、たとえば内科医であっても、「内科、、皮膚科」という看板を立ててクリニック運営することが可能なのだ。
 ~中略~ そういう医師に限って「皮膚科ではステロイドと抗真菌薬(水虫の薬)と抗生物質の軟膏のどれか適当に塗っておけば治る」と信じている。
 極端な例だと、これらを三つ混合して、「どれかの成分が効くだろう」と処方してしまうかなり乱暴な医師もいる。 ~中略~
 医師からしてこのような状態なのだから、患者さんが民間療法などに頼りたくなるのも無理はない。~中略~
 アトピーはたしかに原因が分かりにくく、治療にもかなりの時間がかかる厄介な病気だが、根気よく原因を探し出し、それを除去するという治療法を続けていけば、必ず良くなる病気である。


なぜ皮膚はかゆくなるのか
菊池 新(著)
PHP研究所 (2014/10/16)
P110


なぜ皮膚はかゆくなるのか (PHP新書)

なぜ皮膚はかゆくなるのか (PHP新書)

  • 作者: 菊池 新
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/10/16
  • メディア: 新書

 





平城宮跡 (10).JPG平城宮跡

さらに詳しく


タグ:菊池 新
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

自立した患者 [医療]

リサのケースでは、二番目の整形外科医は最近の医療文化の中で特に重視されている患者の自律性に影響を受け過ぎているようだ。
 リサは医師の言葉を引用して言った。「「やってもいいし、待ってもいい」と言われたんです。全然助けになりませんでした。だって「全てあなた次第ですよ」と言い続けるだけなんですから」
 ミシガン大学のカール・シュナイダーが明らかにしたように、医師がガイド役としての役を放棄して選択の重荷を全て患者の肩にのせてしまうという、自立性の原則の行き過ぎともいえるケースもみられる。
リサの得たセカンドオピニオン、「やりたいようにやりなさい」はこれにあてはまるだろう。
アリゾナ大学のコノリーは患者が決断時に自立性を発揮すればするほど、将来の後悔のリスクは高くなることに言及している。つまり、もしも結果が悪ければ、自分自身を責める羽目になるかもしれない、ということだ。
もちろん、これは微妙なバランスの問題ではある。というのは、悪い結果が起ったとき、自分が十分自立的に動かなかったからだ、と後悔する可能性もあるからだ。

決められない患者たち
Jerome Groopman MD (著), Pamela Hartzband MD (著), 堀内 志奈 (翻訳)
医学書院 (2013/4/5)
P112


決められない患者たち

決められない患者たち

  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 2013/04/05
  • メディア: 単行本

 


DSC_2131 (Small).JPG美瑛

さらに詳しく


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

「真実を伝える医療」か「ウソも方便」か [医療]

 医療が高度になるにつれ、心の問題を軽んじる傾向は、どんどん強くなっている。
 血圧にも、まさにこのことは当てはまる。数値という非人間性の極みから、人間性を取り戻すことが必要だ。
 例えば、患者の血圧が高くても(極端に高い時は別だが)、私はさばを読んで少々低めに言ったり、黙っていたりする。そのまま言えば、心配してもっと高くなるのは、目に見えているからだ。そして「今日は暑いから、家でゆっくりしてくださいね」と言うなどして、できるだけ患者に安心してもらえるよう心がける。
 医者はまず患者と顔を合わせ、コミュニケーションを取ることが大切だ。そして「ウソも方便」である。
「真実を伝える医療」が、かえって人間性を踏みにじることも少なくないのだ。



高血圧はほっとくのが一番
松本 光正 (著)
講談社 (2014/4/22)
P133



高血圧はほっとくのが一番 (講談社+α新書)

高血圧はほっとくのが一番 (講談社+α新書)

  • 作者: 松本 光正
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/04/22
  • メディア: 新書



興福寺 (2).JPG興福寺

さらに詳しく


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

ひとは患者である前に、まずひとりの生活者です [医療]

「ひとりで死ぬのだって大丈夫」(朝日新聞出版、2014年)の著書、奥野滋子医師は、在宅患者のことばとして「病院に入院すれば私の生活はすべて病気になるの。家にいれば病気は私の生活のたった一部なの」というせりふを紹介しています。
 そういえば「患者」という呼び方そのものが、医療者目線です。ひとは患者である前に、まずひとりの生活者です。家では誰もが生活者に戻ります。「患者」であることは、そのひとの全部ではなく一部。

おひとりさまの最期
上野千鶴子 (著)
朝日新聞出版 (2015/11/6)
P83

おひとりさまの最期 (朝日文庫)

おひとりさまの最期 (朝日文庫)

  • 作者: 上野 千鶴子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2019/11/07
  • メディア: 文庫

 

DSC_4960 (Small).JPG企救自然歩道


タグ:上野千鶴子
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

キュアからケアへ [医療]

P80
 「死の病院化」を経過したあとの在宅医療は、それ以前のものとはまったくちがうものになった、と言いました。
それを表現しているのが、「キュアからケアへ」のパラダイム転換です。
このパラダイム転換を領導する鹿児島市在住の中野一司医師によれば、病院は「キュア(治療)」の場、在宅は「ケア(看護・介護)の場。
病院は死と闘う場、在宅は死を受け容れる場。治療をしなければ医師の出番はあまりありません。医師は病院では主役ですが、在宅では、家族や介護職、看護師に寄り添う脇役になります。ケアの現場では医師は、介護職、看護職など多職種連携チームのワン・オブ・ゼムになりますし、そうなったほうがよいのです。
~中略~
 在宅看取りの現場を見ると、最近では「看取りに医師はいらない、訪問看護師でけでじゅうぶんだ」という声もありますし、もっと踏み込んで「看取りに看護師もいらない、介護職だけで看取りができる」という声さえあることは前にお話ししました。

P205
 もしかしたら、ケアとは「家族には向かない仕事」なのかもしれません。第三者だからこそ、目の前にいる老人をありのままに受け入れることができる、のかも。
 後藤さんもこう書いています。
「家族は、認知症で変わり果てた父親や母親に傷ついてしまう。他人ならば病気だから仕方ないと、調子をあわせられるのだが、家族だとそうはいかない。怒ったりいらだったり叱ったりし、悪循環になることも多い。病気を受け入れて、いままでの関係性を変えるのは、そう簡単ではないし、上手に励ましたり、おだてて行動させたり、ときには嘘も方便で演技をする、などということは家族だからこそ抵抗があるものなのだ」

おひとりさまの最期
上野千鶴子 (著)
朝日新聞出版 (2015/11/6)

おひとりさまの最期 (朝日文庫)

おひとりさまの最期 (朝日文庫)

  • 作者: 上野 千鶴子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2019/11/07
  • メディア: 文庫

DSC_4759 (Small).JPG英彦山


タグ:上野千鶴子
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

先生に治せますか? [医療]

  「先生に治せますか?」これは、かつて著者を受診してきたIBS(住人注;過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome))患者の言葉である。
この何気ない言葉に、IBSの治療のさまざまな側面が含まれている。この人は、多くの病院を受診したが、症状が続くために、転院を繰り返し、著者を受診したのである。
 読者の皆さんはこの言葉をどう思うであろうか。おそらく、その人の経験や立場により、さまざまな感想を持つのではないだろうか。
報道関係者の中には、医師は富裕層に属し、分不相応に儲けているという先入観を持つ人がいるようである。そんな人は、日本の医療のあり方の悪さのため、患者がたらい回しにされている、と問題提起をするかもしれない。
医療関係者の読者は、初診から失礼な言辞を弄する患者を、身を削って診療しているわれわれがなぜ腰を低くしなければならないのか、と思うであろう。
あるいは、特定の分野の専門家であれば、そこで「私になら治せます」と言えないようでは専門家ではないという意見の人もいるだろう。
 一方、医療機関で不快な思いをしたことがある人は、患者には権利があり、医者はサービス業なのでるから、このくらいのことを言っても当然と思うかもしれない。
世間の常識にうるさい人は、医師に道徳を求めるならば、患者も礼儀正しくふるまうことは当然であり、ここにも現代日本のモラルの低下が現れている、と分析するであろう。
 数多くのIBS患者の診察にあたっていると、こんな経験をすることはさほど珍しくない。
もっと言えば、医療ではどのような側面でも、医師と患者の関係が基本にある。
いくら技術が進歩しても、よい医師―患者関係なくしてはより良い医療はあり得ない。医師も患者も不必要な先入観にとらわれず、良好な医師―患者関係を作りながら医療を進めていくのが重要である。
 よい関係を作るには、医師の側の技術に裏打ちされた人間性が要る。
この患者の場合、「先生に治せますか?」という問いには、回復を阻む無意識の心理が潜んでいる。
「私になら治せます」「私には治せません」のいずれの答えも回復を阻む心理の陥穽(かんせい)に入ることになる。

内臓感覚―脳と腸の不思議な関係
福土 審(著)
日本放送出版協会 (2007/09)
P131


内臓感覚 脳と腸の不思議な関係 (NHKブックス)

内臓感覚 脳と腸の不思議な関係 (NHKブックス)

  • 作者: 福土 審
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2007/09/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 



DSC_0573 (Small).JPG斑鳩寺 (兵庫県太子町)

さらに詳しく


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

悪い知らせ [医療]

P1
 医療における悪い知らせとは「患者の将来への見通しを根底から否定的に変えてしまう知らせ」と定義されている2)。
例えば、交通事故で子どもが亡くなったことを親に伝えることや,精神疾患の診断名を患者に伝えることなどがあげられるが,かん医療においては、がん(とくに難治がん)の診断や再発、積極的抗がん治療の中止といった知らせが含まれる。

P37
 危機的状況に際してがん患者は衝撃を受ける。”頭が真っ白になった”と表現することもある。その後,がんという生命の危機への最初の防衛機制は”信じないこと=否認”である。「何かの間違いではないか!」という否認は,こうして心理的に距離をおいて,危機から自分を守ろうとする合目的的な対処方法である。
そのほか,”もう駄目だ,治療も無駄だ”と絶望感を感じる。
怒り(どうしてあいつでなく自分なんだ)や取り引き(きっといい治療法が間に合うに違いない)といった防衛機制を状況に応じて使って心のバランスを保ち,一貫して希望をもち続ける。がんの臨床経過にそって段階的に心理的過程を踏んで進んでいくというよりは,混在した機制をもっていると理解したほうがよい5)。
 この最初の2~3日間続く衝撃の時期の患者は,医師の説明が理解されていないこともあるので,治療計画などを伝えるには,沈黙を十分にとりながら動揺した気持への対応が必要である。 混乱・不安・恐怖・悲哀・無力感・絶望感などとともに,不眠・食欲不振などの身体症状や集中力の低下が感じられるようになり,一時的に日常生活に支障をきたす場合もある。

P40
 がん患者の約60%は,がんの再発,進行,死の転帰をたどる。再発を告げられた患者の心理過程はがん診断時のそれとほぼ同様である。が,がんの知識が豊富に整理されている分,事態はきわめて深刻で,現実を否認しきれず破局的な打撃を受ける。

P108
 がん医療における悪い知らせは,患者のみならず,がん患者家族にも伝えられる場合が多い。そのため,家族は医療者とのコミュニケーションの充実を望んでいる。また,がんに関連した悪い知らせが患者に告げられると,家族全体に大きな変化が生じる。それらの変化は精神的な面だけではなく,患者の身の回りの世話などの家族の仕事量の増加,家族間の役割の変化,経済的負担の増大など幅広い。
このようなことから,がんは「家族の病」ともいわれている。

P109
1998年に作成されたがん告知のガイドラインでは,「家族には患者より先に伝えない」,すなわち,まずがん患者に伝え,次に患者の了承を得た後に家族にがんを伝えることを推奨している3)。
また,がん診断告知の有無によって患者の精神的苦痛(不安・抑うつ)は変わらないことが示され4),「がん診断を患者に告知することで,患者の精神的苦痛が増すのではないか」という家族の不安は必ずしも真実とはいえないことが示された。
さらに2003年に実施したがん患者を対象とした悪い知らせを伝える際の意向調査では,悪い知らせを家族に先に知らせることを望まない70%,どちらともいえない23%,望む7%であり,患者自身も悪い知らせを家族に先に知らせることを望んでいないことが明らかになった5)(図11-1)。

P110
 医師から悪い知らせが伝えられた後,そのときの場面を思い出すとつらくなるのは,多くの患者や家族が経験することである。またその苦痛がとくに強い場合は,本人の意思に反して,今まさにそのトラウマ体験をしているかのような現実感を伴うフラッシュバックとよばれる侵入症状をはじめとした,PTSD(posttraumatic stress disorder)症状を呈する患者や家族がいることも報告されている。 家族は伝えられた悪し知らせの内容だけでなく,そのときの医師の口調,言葉遣いといった言語的要素や身振り,視線,表情といった非言語的要素を総合的に記憶している。このようなことから,悪い知らせを伝えるときには,患者や家族にできるだけ精神的苦痛を与えない伝え方の技術が必要である。

がん医療におけるコミュニケーション・スキル―悪い知らせをどう伝えるか
内富 庸介 藤森 麻衣子 (編集)
医学書院 (2007/10/1)

がん医療におけるコミュニケーション・スキル[DVD付]―悪い知らせをどう伝えるか

がん医療におけるコミュニケーション・スキル[DVD付]―悪い知らせをどう伝えるか

  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 2007/10/19
  • メディア: 単行本

 

 

 DSC_6281 (Small).JPG吉野

 


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

医は仁術 [医療]

「なにを云うか」と去定がいきなり、烈しい声で遮った、「医が仁術だと」そうひらき直ったが、自分の激昂していることに気づいたのだろう、大きく呼吸をして声をしずめた、
「―医が仁術だなどというのは、金儲けめあての藪医者、門戸を飾って薬札稼ぎを専門にする、似而非(えせ)医者どものたわ言だ、かれらが不当に儲けることを隠蔽(いんぺい)するために使うたわ言で」
 登は沈黙した。
「仁術どころか、医学はまだ風邪ひとつ満足に治せはしない、病因の正しい判断もつかず、ただ患者の生命力に頼って、もそもそ手さぐりをしているだけのことだ、しかも手さぐりをするだけの努力さえ、しようともしない似而非医者が大部分なんだ」

赤ひげ診療譚
山本 周五郎 (著)
新潮社; 改版 (1964/10/13)
P372

赤ひげ診療譚 (新潮文庫)

赤ひげ診療譚 (新潮文庫)

  • 作者: 周五郎, 山本
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/01/27
  • メディア: 文庫

DSC_3687 (Small).JPG海峡花火大会


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

AIが診断して治療法を選択する [医療]

P357
 膨大な情報に基づいた治療選択が必要な時代がやってきました。それは、ある患者さんの悪性腫瘍のゲノム情報であり、また、その悪性腫瘍に対する薬剤、治療法の情報です。よほどの専門家でない限り、それらすべてを頭に入れて適切に判断することは難しくなってきています。
現実はもっと進んでいて、人間の頭では判断しきれない時代になってきているというべきかもしれません。そこで必要になってくるのが人工知能、AIです。
~中略~
 たとえば、放射線診断、レントゲンを見て異常があるかどうかの診断、は、いずれAIに取って代わられるだろうとされています。症状や検査値からの病名診断はすでにかなりの確度でおこなうことができるようになっていて、よくある病気については、ベテランの医師と同程度の正しさです。それどころか、希な疾患については、AIが圧勝です。
 この本を書いている間にも、膨大な医学論文を学習したAIが、患者さんの白血病細胞のゲノム分析から、二次性白血病であることを言い当てたという報道がありました。

P359
 (住人注;IBMの)ワトソンは、開発当時から、医療や医学教育への応用が始められています。ワトソンだと、医学部の忙しい先生と違って、学生のアホな質問にも怒らず丁寧に答えてくれるだろうし、どんな時間帯でも教えてくれるだろうし、いいことずくめかもしれません。それに、すべての文献に目を通す、というか、すべての文献をデータベースとして記憶できるのですから、最新のことも教えてくれます。いずれ、医学教育も大きくかわっていって、教授なんかいらなくなるかもしれません。

こわいもの知らずの病理学講義
仲野徹 (著)
晶文社 (2017/9/19)

こわいもの知らずの病理学講義

こわいもの知らずの病理学講義

  • 作者: 仲野徹
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2017/09/19
  • メディア: 単行本

DSC_5003 (Small).JPG平尾台


タグ:仲野徹
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

時間が経過するのを我慢できるかどうか [医療]

P168
 まず、お二人とも、「保留」あるいは「中途半端さに耐える」といったことを重要な能力として強調されています。医療界ではこれまで、何もしない、あるいは保留する、ということは、一種の「敗北」とされてきました。
内田(住人注:内田 樹) めずらしいですよね、春日先生みたいに「待つ」あるいは「とりあえず棚上げしておく」といったことを書かれるお医者さんって。
春日 臨床では「判断に困る」状況がたくさんあります。そういうときにいちいち正論をぶつけられたりすると、議論の途中でめんどくさくなっちゃうんですよね。
~中略~
春日 その通りです。数日したら「なんかわかんないけどよくなっっちゃった」とか「全然関係ない理由で亡くなっちゃった」とか、議論の余地がなくなってしまうこともありますからね。

P171
春日 僕は、「中途半端なところで時間が経過するのを我慢できるかどうか」っていうのが、援助者の実力のひとつだと思っています。

「治らない」時代の医療者心得帳―カスガ先生の答えのない悩み相談室
春日 武彦 (著)
医学書院 (2007/07))

「治らない」時代の医療者心得帳―カスガ先生の答えのない悩み相談室

「治らない」時代の医療者心得帳―カスガ先生の答えのない悩み相談室

  • 作者: 春日 武彦
  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 2023/03/06
  • メディア: 単行本

 

DSC_3041 (Small).JPG宗像 大島


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

認知症の最初期の人への対応 [医療]

家族によっては、失敗したお年寄りに向かって「また忘れたの?」「ぼけたんじゃない?」などと言う人もいますが、これは禁句です。
そうでなくても「何か変」な自分に不安を抱いているのですから、追いつめてはいけません。
 むしろ基本は静かに見守りつつ、もし声をかけるなら、傷つかないように、否定しないように注意しながら、「こちらのほうがいいのでは?」と別の選択肢を示してはどうでしょう。あるいは、本人の気持ちの状態に応じて、フォローする程度にとどめたほうがいいと思います。
 もうひとつ、認知症の最初期に特有の問題として、本人に認知症である(あるいはその疑いがある)ということを伝えるか否かという、「告知」の問題があります。言わなければ前へ進めない、だが伝えることで相手を傷つけるのはためらわれる―介護者はこのようなジレンマに陥りがちです。
~中略~
 認知症と言っても、いきなり何もかも忘れてしまうわけではありませんし、先に書いたとおり、原因疾患によっては物忘れが比較的軽い認知症もあります。「何か変だ」と不安を感じている人にとって、やたらと告知するのは危険をともないかねません。病名を伝えるかどうかよりも、その人の不安感・恐怖感に寄り添って見守ることを、第一に考えた方がいいのではないでしょうか。

P147
 ほかに、認知症の人は行動にも特徴が出やすいので、介護者は注意して見てください。たとえば、認知症の初期の人は人前ではしっかりしていて見分けがつかないとよく言われますが、私の経験では30分もたつとそわそわし始め、畳を触ったり、座布団の端をいじったりと、落ち着かなくなることが多いように思います。  いわば長時間”いい子”状態でいるのに耐えられなくなるのでしょう。

認知症の人がスッと落ち着く言葉かけ
右馬埜 節子 (著)
講談社 (2016/3/23)
P81

認知症の人がスッと落ち着く言葉かけ (介護ライブラリー)

認知症の人がスッと落ち着く言葉かけ (介護ライブラリー)

  • 作者: 右馬埜 節子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/03/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

DSC_3220 (Small).JPG海峡花火大会

さらに詳しく


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

本当の治療 [医療]

 ナルコプシー(日中の過度の眠気、情動脱力発作委、睡眠麻痺(金縛り)、入眠時幻覚などを主徴とする過眠症。)という病気は今のところ治療法があまりないものですから、メチルフェニデートという覚醒させる薬をずうっと飲ませて、目を覚まさせておくしかあまり手がないんです。
 新聞に載っているように、それと同じような治療がうつ病の人に行われていて、メチルフェニデートを出すと元気が出るのよ。ちょっとやる気が出てくる。でも、それは緊急処置なの。だから、それはよくなるということじゃなくて、麻雀をやっていて眠くなったら覚せい剤を打って、また一晩ぐらい徹夜でやれるというようなことと同じで、緊急の足し、緊急処置です。
 それを、どうしようもない精神科医がずっと、メチルフェニデートを出したりするから、どんどん量が増えていって、だんだん嗜癖になる。それで今度、禁止になりました。
 禁止になって大変なんだよ。官庁はこれを禁止しましたが、医療で作られた嗜癖患者が大量にいますから、その人たちはブラックマーケットでメチルフェニデートを買って使うしかない状態で、今、医療現場で非常に困っています。~中略~
 では本当の治療とはどういうことか。その根本に置かれなければならない治療とは何かと言うと、それは自然治癒です。

神田橋條治 医学部講義
神田橋 條治 (著), 黒木 俊秀 (編集), かしま えりこ (編集)
創元社; 初版 (2013/9/3)
P202

神田橋條治 医学部講義

神田橋條治 医学部講義

  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2013/09/03
  • メディア: 単行本

黄檗山万福寺 (27).JPG黄檗山万福寺

さらに詳しく


nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

納得して治療 [医療]


 自分の病状や治療の見通しについて正しい情報を知ることで、ときにはつらい現実と立ち向かわなければなりません。

しかし、自分の体のことだからこそ、ありのままの情報を知って、自分で納得できる治療法を選びたいものです。がんの告知を受けた段階で、心理的な動揺から医師の説明を理解できないまま「おまかせします」といってしまう患者さんもいますが、納得のいかないまま治療を受けると、あとになって別の形で不満が出てくることがあります。
 また、がんの検査や治療には、副作用が出たり、手術によってどこかの部位の機能が失われるといったリスクやデメリットが伴うものです。
治療法を選択するときには、その治療法を行なう目的とそれに伴うリスクを患者さんがきちんと理解しておくことが大切です。
(住人注;中川恵一)

自分を生ききる -日本のがん治療と死生観
中川恵一 (著), 養老孟司 (著)
小学館 (2005/8/10)
P138


自分を生ききる -日本のがん治療と死生観-

自分を生ききる -日本のがん治療と死生観-

  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/06/06
  • メディア: Kindle版

 


おかげ横丁 (13).JPGおかげ横丁


タグ:中川恵一
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

予約診療は誰のため? [医療]

 たとえば、外来患者の予約制をとった病院はたいてい、無断でやって来ない患者が多くて困っているとききます。
仕方なく、五人一組にまとめ、そのグループごとに、一定時間内に診察する予約制を工夫した公立病院がありました。
するとこんどは、予約時間を少しでも過ぎると、「なんだ、この病院は約束を守らないのか」と、どなりつける患者がいるというのです。
予約制をとる以上、それだけの診療要員をしばりつけるのですから、コスト(費用)がかかります。それを支払わずに、キャンセル(取り消し)電話もせず、文句だけ並べるというのは、甘えです。身勝手な予約者が多くて、予約料金もとらないとすると、予約制そのものをやめるほかなくなります。一定の料金を支払っても、定時刻に外来診療をうけられるほうが、いまの日本では大きなサービスになると思います。
藤田 真一

患者本位の病院改革
新村 明(著),藤田 真一(著)
朝日新聞社 (1990/06)
P218


患者本位の病院改革

患者本位の病院改革

  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2023/01/24
  • メディア: 単行本

 

DSC_2384 (Small).JPG時計台


タグ:藤田 真一
nice!(8)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

インフォームド・コンセント [医療]

やっているときにリアルタイムに見せてくれると、そりゃあいいです。手術も全身麻酔をしないで、お腹を見せて、説明しながらしてくれる先生もいるらしいから、病気によってはそうすると非常にいい。
 それはどういうことかと言うと、ドクターの目がある位置に患者の目があるということです。これは情報開示です。
インフォームドコンセントは口で言うわけだから、ドクターからのまた聞きのようなものです。
実際に現場でそれを見せてもらっていると、とても安心感があるの。「ゆだねる」と言うよりも、むしろ「共に」という感じだね。このことを覚えていてください。「共に」ということ。

神田橋條治 医学部講義
神田橋 條治 (著), 黒木 俊秀 (編集), かしま えりこ (編集)
創元社; 初版 (2013/9/3)
PP165

神田橋條治 医学部講義

神田橋條治 医学部講義

  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2013/09/03
  • メディア: 単行本

 

黄檗山万福寺 (26).JPG黄檗山万福寺

さらに詳しく


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

日本人は太ることで、寿命を延ばしてきた [医療]

「コレステロール悪者説」を支えてきた二本柱は、どちらももうない。にもかかわらず、幽霊のような説が、いまだに信じられているのである。
 何の根拠もない「コレステロール悪者説」だけが、一人歩きをしているのが現状なのだ。
 それなのに、2010年、コレステロール低下薬の売り上げは、年間3000億円。約1000万人もの人が「コレステロールを下げるために」薬を飲んでいるのである。
 今の「メタボリックシンドローム」の基準によれば、220㎎/dLを超えると、高いとされる。
 一方、5万人を対象に、6年間行われた「日本脂質介入試験」はとても興味深い。この試験は、コレステロールと、狭心症や心筋梗塞などの関係を調べたものだ。
 調査の結果、死亡率が最も少ないのは、男女とも、コレステロール値が240~260のグループだった。
 ここから考えて、220という基準は、明らかにおかしい。
 また、コレステロール値が高すぎても低すぎても死亡リスクは高まるが、低いほうがより死亡率が高まることも判明した。
 コレステロール値が低いほど、ガンによる死亡が多くなり、160未満のグループでは280以上のグループの5倍にもなる。


高血圧はほっとくのが一番
松本 光正 (著)
講談社 (2014/4/22)
P104


高血圧はほっとくのが一番 (講談社+α新書)

高血圧はほっとくのが一番 (講談社+α新書)

  • 作者: 松本 光正
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/04/22
  • メディア: 新書

 


元興寺 (7) (Small).JPG元興寺 

さらに詳しく


タグ:松本 光正
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

患者の分類 [医療]


あるひとは自分の健康管理に関して積極的に手を打つことを誇る。こういうひとは「ほとんどの場合、多ければ多いほど望ましい」というのが信条だ。
このタイプの患者、そして実のところ一部の医師も、たとえそれを証明する確たる臨床データがなくても、血圧をきっちりコントロールしたり、「悪玉」コレステロールであるLDLを劇的に下げたり、あるいはBMIを推奨されるレベル以下に下げることで、より健康に、より長く生きられると信じている。
彼らは「大多数より抜きん出る」ことに情熱を燃やす。
それに対して最小限主義(ミニマリスト)のひとびとはできる限り治療を避けようとする。どうしても治療が必要となった場合でも、出来るだけ少ない種類の薬を最小限の量で飲んだり、もっとも控えめな手術あるいは処置を受けることを選ぶ。
最小限主義のひとたちは「少なければ少ないほど望ましい」、すなわちリスクと予想外の結果が起こる可能性の前には得られるであろう利益などいかほどでもない、という考えに固執する。
 さらに、信じる者と疑う者というカテゴリーが存在する。信じる者は、自分が抱える問題を解決する良い方法がどこかに必ず存在する、という気持ちをもって治療法の選択にあたる。
彼らはたいがいはっきりした方向性を持っている。一方疑う者は、強い懐疑主義を持って、全ての治療オプションを検討する。極めてリスク忌避的であり、薬や医療処置で起こりうる副作用やその限界に非常に敏感である。
治療を考えるとき、実際治療すればどのような利益が得られるのか、何らかの害がもたらされることはないのか、と彼らは問う。
 信じる者が強い自然主義志向を示し、自然の治癒力に信を置いて先端技術を用いた治療介入を避けることもあれば、同じ信じる者でも技術志向を示し、最新医療に期待をかけることもある。
最大限主義者かつ信じる者であれば、治療は徹底するべきで、治療を差し控えるのは近視眼的であると考える。一方、最小限主義かつ信じる者の信念は全く正反対である。

決められない患者たち
Jerome Groopman MD (著), Pamela Hartzband MD (著), 堀内 志奈 (翻訳)
医学書院 (2013/4/5)
P292

 


決められない患者たち

決められない患者たち

  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 2013/04/05
  • メディア: 単行本



DSC_2150 (Small).JPG美瑛


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

モノでなく知識と技術と経験値を売る医師 [医療]

 きちんと検査もせず確信もないままに、薬を処方し長期間かけても治らず、たくさん薬を塗らせても、結局治せない医師がいる。また、アトピーや湿疹に悩んでいる人を相手に、非常に高価な石鹸や化粧水やその他の食品を売る企業もある。どれも私には理解できない。
 なぜなら私は、薬や化粧品といった「モノ」を売るのが仕事ではなく、患者さんの現状を正しく評価し、治療法という「情報」を伝えることを仕事としているからだ。
 はっきり言わせてもらうと、こと病気に関しては、「モノを売りたがる」医師や企業を基本的に信じてはいけないと考えている。それらは、患者さんがいつまでも治らないほうが儲かるからだ。


なぜ皮膚はかゆくなるのか
菊池 新(著)
PHP研究所 (2014/10/16)
P200


なぜ皮膚はかゆくなるのか (PHP新書)

なぜ皮膚はかゆくなるのか (PHP新書)

  • 作者: 菊池 新
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/10/16
  • メディア: 新書

 




伊勢神宮 外宮 (12) (Small).JPG伊勢神宮 外宮

さらに詳しく


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

口臭は自分では気づかない [医療]

どんなに優しく接していても、満面の笑顔でいい話をしていても、口が臭いというだけで孫は逃げていってしまうものです。
 とはいっても、家族も一応は年上にあたる高齢の口臭をなかなか指摘しにくい。
すると高齢者は、「何となく避けられている気がする」「嫌われている」と思い込んで疎外感を感じてしまうのです。
 なぜ高齢者は口臭がするのでしょうか。
「おじいちゃんお口臭い」という入れ歯用製剤のCMが有名になったせいもあり、高齢者のニオイは入れ歯が原因と思われがちです。
でも、入れ歯だけではないのです。口臭は85%が口の問題で起こり、15%が胃などで起きます。1)年齢を重ねることで口内の殺菌と洗浄の効果がある唾液が減るために、2)口臭が発生しやすくなります。
 口臭というのはたいていがずっと同じ状態でつきまとっているため、自分では気づきにくいのです。 ~中略~
 ですから「自分は大丈夫」と思いがちですが、60歳を超えると43%に口臭があることがわかっています。

老人の取扱説明書
平松 類 (著)
SBクリエイティブ (2017/9/6)
P120

老人の取扱説明書 (SB新書)

老人の取扱説明書 (SB新書)

  • 作者: 平松 類
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2017/09/05
  • メディア: Kindle版

 

DSC_3774 (Small).JPG赤間神宮

さらに詳しく


タグ:平松 類
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

訪問診療はアウェー [医療]

病院での医療は、医師にとってホームグラウンドでの闘い。これに対して、患者の自宅での医療はアウェー(遠征試合)での闘い。まったく条件がちがう。
医師にとっても看護師にとっても、在宅のほうが、多様な能力と経験が要求されるのは当然だろう。

男おひとりさま道
上野 千鶴子 (著)
文藝春秋 (2012/12/4)
P262

男おひとりさま道 (文春文庫)

男おひとりさま道 (文春文庫)

  • 作者: 上野 千鶴子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/12/04
  • メディア: 文庫

 

P1000060 (Small).JPG南禅寺
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E7%A6%85%E5%AF%BA


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

臨床 [医療]

臨床のもとの意味は、病で床に伏している人に手をさしのべること、
さらにもっと解釈を拡げるなら、困っている人々を援(たす)けるために面と向き合い、そこから何らかの手掛かりを得て、救済の手立てを尽くすことである。
これは、医療の現場のみならず、一般社会でも数多く見受けられることである。

精神科医になる―患者を“わかる”ということ
熊木 徹夫 (著)
中央公論新社 (2004/05)
Pⅱ

精神科医になる 患者を〈わかる〉ということ (中公新書)

精神科医になる 患者を〈わかる〉ということ (中公新書)

  • 作者: 熊木徹夫
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/03/13
  • メディア: Kindle版

 

DSC_4686 (Small).JPG求菩提山


タグ:熊木 徹夫
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

医師の分類 [医療]

現状でいうと、日本の医師は大きく3つのタイプに分けられると思います。
まずひとつは、真面目で正義感が強く、がむしゃらに働く猪突猛進型の医師。
今の医療制度に疑問を持ちながらも目の前の仕事に忙殺されていくタイプで、過労のあまり心身に異常をきたし、離職してゆくのも彼らが中心です。

 続いて2つ目は、「ゴッドハンド」をめざす医師。
彼らは総じて金銭欲や出世欲とは無縁で、ひたすら己の職人的な技術の向上に喜びを見出します。
根っからの技術者タイプで、一般企業でいえば、エンジニアのような医師たちです。もちろんこれ自体はいいことですし、実際に国際的な評価を得て世界で活躍するゴッドハンドも多数登場しています。

 そして最後が、まともに働こうとしないお役人タイプの医師です。

北原 茂実 (著)
「病院」がトヨタを超える日 医療は日本を救う輸出産業になる!
講談社 (2011/1/21)
P113

「病院」がトヨタを超える日 医療は日本を救う輸出産業になる! (講談社プラスアルファ新書)

「病院」がトヨタを超える日 医療は日本を救う輸出産業になる! (講談社プラスアルファ新書)

  • 作者: 北原 茂実
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/01/21
  • メディア: 新書

 

-a34b1.jpg法輪寺3

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

病気と患者との三角関係 [医療]

 みなさんがお医者さんになって患者さんを診ているときに、いちばん最初に患者さんを保護するようにしてあげますよね。
そのとき保護することだけをやっていたら、患者さんは「される側」になってしまうし、こっちは「してあげる側」になり丸抱え込みになってしまう。そうすると、すばらしい治療者のようだけれども、これでは患者の自助能力を阻害するかもしれない。せっかく育つところをだめにするかもしれない。
 だから、それをするのはどういうときかと言ったら、自助の能力がないような状態のときだけです。赤ん坊とか、意識のない人とか、ひどい認知症の状態とか、そういうまったく自助能力が育ってくる見込みがない、差し当たって本人が無力だと思ったときにはこれでやる。
 しかし本人に何らかの自助能力があると思ったときには、みなさんにぜひこれおをしてほしい。ここは覚えていたらいいし、ここだけでも覚えて帰ってください。
 それは「三角形の関係」。三角形の関係とはこういうことです。ここに何か解決しなくてはならない問題を置きまして、ここに患者さんを置きまして、ここに治療者を置く。
これが三角形の関係になるようにするの。病気なら病気という問題を間に置いて、こっちに治療者がいて、あっちに患者さんがいて、二人でこの問題を眺めているという、この関係が今、医療関係の中でとっても大事なの。

神田橋條治 医学部講義
神田橋 條治 (著), 黒木 俊秀 (編集), かしま えりこ (編集)
創元社; 初版 (2013/9/3)
P233 

神田橋條治 医学部講義

神田橋條治 医学部講義

  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2013/09/03
  • メディア: 単行本

 

DSC_0336 (Small).JPG朝光寺


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

訪問看護 [医療]

 訪問看護は、専門の看護師が患者の過程を訪ね、主治医などと連携して看護サービスを提供する。定期的な訪問のほか二四時間の緊急対応もする。
「在宅ケアの要となる存在」と、長野赤十字訪問看護ステーション管理者の中村妙子さん。
~中略~
増えない原因の一つは、訪問看護の報酬の低さ。全国訪問看護事業協会の二〇〇七年の調べでは、事業所の三割以上が赤字に苦しむ。二〇〇八年度の診療報酬改定と二〇〇九年度の介護報酬改定で多少引き上げられたが、「微々たるものでしかない」と中村さんは言う。
もう一つの原因は全国的な看護師不足だ。
~中略~
 大北医師会会長の横沢厚信・横沢内科医院長(長野県大町市)は、「在宅の患者や家族からかかってくる緊急電話の九割は、訪問看護が対応してくれています。
すべてが医師が来たら、とてもこなせない。訪問看護が倒れたら在宅ケアは崩壊します」と心配を隠さない。 実際、大町市のステーションが担当する患者の在宅死は減っている。一九九六年度の四二人ンから二〇〇八年度は一八人と約4割まで激減した。
 横沢院長は「経済的基盤を整えるため十分な報酬が必要」と訴える。

大切な人をどう看取るのか――終末期医療とグリーフケア
信濃毎日新聞社文化部 (著)
岩波書店 (2010/3/31)
P116

大切な人をどう看取るのか――終末期医療とグリーフケア

大切な人をどう看取るのか――終末期医療とグリーフケア

  • 作者: 信濃毎日新聞社文化部
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/03/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

IMG_0004 (Small).JPG平山温泉 湯の蔵

さらに詳しく


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

インフォームド・パターナリズム [医療]


 もう八十歳を越された大先輩の外科医は、「インフォームドパターナリズム」がいいのではないか、とおっしゃっておられた。
患者には説明する。その過程で、まあこいつに任せてもいいかと思われるくらいには信じてもらう。そのうえで、「良かれと思って」、医者が決断する、というのである。

偽善の医療
里見 清一(著)
新潮社 (2009/03)
P160


偽善の医療 (新潮新書)

偽善の医療 (新潮新書)

  • 作者: 里見 清一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/03/01
  • メディア: 新書

 


さらに詳しく


タグ:里見 清一
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

リハビリテーションからみえる日本の医療水準 [医療]

 ここでリハビリについて考えておこう。リハビリには三つのカテゴリーがある。
歩く練習を中心にした運動の訓練Physical therapy (PT、理学療法)と、日常の仕事を中心とした訓練Occupational therapy(OT、作業療法)と、言語療法Speech therapy(ST)である。
この三つがなければリハビリとはいえない。アメリカではその三つがうまく機能するように、リハビリテーション医学が独立した臨床科学として成立している。

 しかし、日本では整形外科が中心となったリハビリテーション医学が、最近まで主流となっていたため、言語療法などは重視されなかった。ごく最近まで、整形外科的な病気、骨折後のケアーとかリウマチの手足の機能回復などマッサージに毛の生えたようなリハビリが主であった。
 東京大学でも、リハビリテーション科が独立したのはごく最近である。それもPT,OTだけでSTはまだない。
 その他の国立大学でも、事情は似たようなものである。むしろ一部の私立大学で、先見性のあるリハビリテーション医学が実現している。理由は、この医学が、地味な努力の積み重ねで成り立つので、古い体制を打破する力になりにくかったからであろう。
外科や一部の内科のように派手な科目ではないし、病院の収入源にもなりにくい。
~中略~

 一般市中病院では、一部優れた設備と高邁な理想で高度の治療が行われてはいるが、それは例外的なもので、一般の医療機関で水準の高いリハビリテーション治療を受けることは難しい。リハビリは、まだ正当な世間の理解を受けるにいたっていない。
~中略~

 行政も、長い期間、人手だけかかってコストに見合わない治療を支援するという考えはまったくない。
都立の大きな病院、たとえば駒込病院などは専門の医師もいないし、OT、PTの療法士の数も明らかに少ないし、レベルも低い。
それは病院当局がリハビリに力を入れていないし、当局に要求もしていないからである。

寡黙なる巨人
多田 富雄 (著), 養老 孟司 (著)
集英社 (2010/7/16)
P70

寡黙なる巨人 (集英社文庫)

寡黙なる巨人 (集英社文庫)

  • 作者: 多田富雄
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/10/03
  • メディア: Kindle版

 

-c4996.jpg善光寺参道

続きを読む


タグ:多田 富雄
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:恋愛・結婚

患者に優しい医療 [医療]

 患者、つまりペイシェントとは、耐える者、待つ者の意味である。
だから待つのはやむを得ないと、患者も病院も思っているらしい。しかし、度を過ぎた待たせ方は患者の人権にかかわる。
3時間待って三分の診療といわれるが、予約があったにもかかわらず一時間以上待たせられたら、私はその病院の信頼性を疑う。医者と喧嘩して帰ってしまったこともある。
~中略~

 近頃「患者さん」から「患者様」に呼び名は変わったが、耐え忍ぶ人、待つ人という点は変わらない。
終わった診療票を提出してから名前を呼ばれるまで、早くても三、四十分はかかる。
~中略~
患者に優しい医療は、名前に「様」をつければいいというものではない。

寡黙なる巨人
多田 富雄 (著), 養老 孟司 (著)
集英社 (2010/7/16)
P150

寡黙なる巨人 (集英社文庫)

寡黙なる巨人 (集英社文庫)

  • 作者: 多田富雄
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/10/03
  • メディア: Kindle版

 

  -03488.jpg崇福山 安楽寺6

さらに詳しく


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

今の医者が気に入らないからセカンドオピニオン [医療]


 私は「専門家」と目されている立場上、セカンドオピニオンなるものを求められることが多い。とはいえ、実際に来る患者や家族の圧倒的多くは、いまの担当医、もしくはそれまでの経過に不満で、ただ不平不満を延々と並べ立てられるばかりである。
他の医者の悪口を(間違いなくあることないこと)聞かされるのは苦痛きわまりないが、それでもまあ患者さんのためになるのならよしとしよう。
 しかし、問題なのは、「で、結局、何が知りたいの?」と聞いても、全く要領をえないことが多いことである。
「ご不満はわかりましたが、相当の先生からそれについてどうお聞きになりましたか?」
「聞いていません」
 こっちは今の担当医の代理人じゃないんだから、どんなつもりでそういう治療を行ったとか、方針になったとか、当て推量で説明しろと言われても無理だよ。まずは担当医によく説明を聞いて、その上での不審であったり、疑問でしょうが。なんいもならないよ、これじゃ。

偽善の医療
里見 清一(著)
新潮社 (2009/03)
P21


偽善の医療 (新潮新書)

偽善の医療 (新潮新書)

  • 作者: 里見 清一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/03/01
  • メディア: 新書

 


DSC_2921 (Small).JPG

さらに詳しく


タグ:里見 清一
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感