オペラント条件づけ [言葉]
オペラント条件づけというのは、私たちの行動は「報酬」と「罰」を操作されることによって変わる、という理論にもとづいている。
痛い場合、痛みについて不平をいう、同情を受けるような言動が多い、いやな仕事はしない、保険金で暮らすようになる、楽(らく)なことばかり追い求める、健康なときには受けたことのないようなよい待遇を受ける、すなわち、痛いことを理由に、際限なく自分に都合のよいようにしか行動しなくなる傾向がある。このことが、痛みをますます強くする因子として働く。したがって、これらの個々の行動を、痛みの「強化因子」とよんでいる。
確かに、この行動さえつづけることにより、「報酬」を得ることができるとわかれば、どこまでもその行動をつづける人は多いと思われる。そして、それによって得た「報酬」のうま味を一度おぼえると、まともな行動は馬鹿らしくなり、うま味が、それ以上のうま味を欲するようになる。
一度、社会保障制度の適用を受けると、もう今となってはその必要はなくても、その保障を打ち切られないように、痛みと、それによって生ずる行動パターン、例えば、異常な歩行などが強化されるものである。
痛みとはなにか―人間性とのかかわりを探る
柳田 尚 (著)
講談社 (1988/09)
P166
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