最後のスシ-値段を持ちださないこと- [処世]
キャラメルが一個一セントのとき、消費者一人当たりのキャラメルの数は平均3.5個だったが、値段がゼロに下がると、消費者ひとりあたりの数は平均1.1個に減少した。
キャラメルが無料のとき、学生たちはずいぶん自制したわけだ。
もっと言うと、ほぼ全員がごく単純な社会規範の決まりを適用していた。礼儀正しく、キャラメルをひとつだけ持っていったのだ。
言うまでもなく、、これは需要の第二法則(住人注:売価が下がれば、一人当たりの売り上げ個数は増える)に反している。
~中略~
こうしてみると、わたしたちは思いやりのある社会的動物だが、ゲームの規則にお金がからむと、この性向が押さえられることがわかる。
予想どおりに不合理[増補版]
ダン アリエリー (著), Dan Ariely (著), 熊谷 淳子 (翻訳)
早川書房; 増補版版 (2010/10/22)
P156
P158
このスシの魔法(住人注;パーティで大皿に盛りつけられてテーブルに於かれたスシ)は一体何なのか。
ざっくり言えば、共同の皿が食べ物を共有資源に変えてしまうということだ。
何かが社会のものになったとたん、わたしたちは社会規範の領域へといざなわれ、他者との共有するための決まりごとに従うようになる。
P160
つまりこういうことだ。需要の理論はたしかなものである。―ただし、値段ゼロを扱うときを除いて。価格が交流に含まれていないかぎり、必ず社会規範が絡んでくる。社会規範は人々に他者の幸福を思いださせ、その結果、利用できる資源に負担をかけすぎない程度まで消費を抑えさせる。
ひとことで言えば、値段がゼロで社会規範が問題になっているとき、人々は世界を共同体のものとしてとらえる。
以上を全部ひっくるめた重要な教訓?
値段を持ちださないことが社会規範をもたらし、社会規範があることでわたしたちは他者のことをもっと気にかけるようになる。
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