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僧侶 [言葉]


僧といういう字は、梵語の「サングハ」すなわち僧伽(そうぎゃ)であって、僧侶は梵語と中国語とを兼ねたものである。
侶というのは、同行、同志、同伴の義で、その意義は、この字に籠っている。
すなわち僧は三人一緒に集団をして暮らす人々を指して言うことになっている。三人以上伴侶をなして暮らして行くというところから中国語の侶字と梵語の僧伽の僧だけが一緒に合して、僧侶という熟語になったのである。
ところがここにまた出家ということがあって、人が世を捨てて出家するということがある。そして、この出家したということが世間の苦しみから離れてしまった特殊の生活をするところの人間であるとしたらならば、なるほど修行するには、具合がよいであろうが、宗教というものが、ただある特殊の生活をする人間だけを救うということを、その目的としているものならば、それはそれでもよいことである。
けれども、今宗教というものはすべてのものをやはり救わなければならぬのである。
救わなければ宗教にはならぬのである。また、そういうものでなければわれわれの心が安まらぬ。自分だけで満足しておられぬということになったならば、出家、乞食という僧侶の生活は、どうしても在家の生活に転じて来なければならぬ。
それで仏教も出家の生活の宗教というものでなくして、これが転じて在家の宗教ということにならなければならぬ。

禅とは何か
鈴木 大拙
角川書店; 改訂版 (1999/03)
P67


新版 禅とは何か (角川ソフィア文庫 H 101-2)

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