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疑似科学の方が人々の心をつかむ [社会]

そもそもモーツアルト酒がおいしいと言うなら、その科学的根拠を、作った側がデータを示すべきなのだけれど、彼らがレシピを示さない限り、私は実験のしようもないし、否定しようもない。これはたとえば「幽霊がいる」と信じている人から「じゃあ幽霊がいないことを証明してみなさい」と言われても、証明できないのと同じである。
 これは疑似科学に共通する特徴だ。科学哲学者のホパーは科学的なものの定義として「反証可能であること」を挙げた。  科学の世界では、何か新しい発見をした人が、論文で報告し、発見に至ったプロセスを細かく公表する。いろんな人がそのとおおりにやってみて、誰がやってもそのとおりになる。
ならない場合は反証され、淘汰されていく。それが科学の営みだ。「反証しようがない=このプロセスに乗せられない」限り、科学と呼べないという理屈である。
 とはいえ、科学らしさをとことん追求した成果より、ちょっと神秘的な色合いを持つ疑似科学の方が人々の心をつかむという現実があるのは皮肉なことだが、事実だ。
投書の中には「酒が音楽を理解するなんて、本当ならすてきだと思います」というのが少なくなかった。 いや、わかりますよ、ほんとうだったらすてきですけど。

気になる科学 (調べて、悩んで、考える)
元村有希子 (著)
毎日新聞社 (2012/12/21)
P24

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タグ:元村有希子
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