DNAの生存が第一 [雑学]
チータに宿っているDNAの配列は、宿主のチータをしてガゼルを殺すように仕向けて、自らの生存を最大化する。ガゼルの体に宿るDNAの配列はその反対の目的を強く推進することで自らの生存を最大化するのである。
しかし、いずれの場合も最大化されるのはDNAの生存である。
遺伝子の川
リチャード ドーキンス (著), 垂水 雄二 (翻訳)
草思社 (2014/4/2)
P150
島根県松江市熊野大社
P151
野外個体群における性比―雌雄の割合―はたいてい五〇対五〇である。
このことは少数の雄がハーレムよろしく雌を不当に独占する多くの種では、経済的見て理屈に合わないように思われる。
あるゾウアザラシの個体群のくわしい研究によると、四パーセントの雄がすべての交尾の八八パーセントを独占している。
この場合、神の効用関数が独身の大多数にとっていちじるしく不公平であることは気にかけないとしよう。さらに悪いことに、経費節減を旨とする効率一点張りの創造主なら、恵まれない九六パーセントが個体群の食料源の半分を消費している(実際には、ゾウアザラシの成獣の雄は雌よりも体格がはるかに大きいので、半分より多い)ことを見抜いていることだろう。
はみだした独身者は何もせず、ただ四パーセントにあたるハーレムの主にとってかわる機会を待つばかりである。こうした不条理な独身者の群れの存在をどう正当化できるのだろうか?
社会の経済効率に少しでも注意を払う効用関数なら、独身者などなくしてしまうだろう。そのかわり、雌に生殖させるのにちょうどよい数の雄が生まれるようにするだろう。
この一見異常と見えることも、真のダーウィン的効用関数、つまりDNAの生存を最大化することを理解すれば、明快かつ単純に説明できるのである。
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